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死獣神~誕の書~  作者: 天馬光
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闇への崩壊(4)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の始まりの物語。

 メモリースクリーンを通して一連の出来事を見たペガサス達は電源を切り、片付けを始めた。

 皆が共通して思ったのは、龍に対する同情。

 唯一無二の大親友で好意を寄せられていた初恋の人を自らの手で殺す。リセットするには十分すぎる内容である。


 一方で功績もあった。彼が黒龍達を殺し、例のデータが入ったパソコンやSDカードを粉砕してくれたおかげで、第3次世界大戦が起きずに済んだ。彼の行動によって、戦争で命を落とす可能性があった命を救ったのである。

 代償として、彼はもっと大切なものを失ってしまったが。


「ほんま、なんでこいつだけこんな目に遭うねん……見てて辛いわ」


「ですね。龍さんの人生は絶望と狂気で彩られています。まるで、底無しの闇のようです」

 雲雀と澪の言葉に大牙らは同感し、すっかり気持ちが沈んでしまった。


 場の空気を感じ取ったペガサスは、今後のためにある提案をした。

 それは龍の過去を外部に漏らさないこと。

 部外者が興味本位で詮索し、未来のことを思い出した龍がまた暴走しては困るからである。

 秘密の共有なんてまどろっこしいことをせず、ペガサスの力で記憶を封印することもできるにはできるのだが、箍が外れた時の危険性を考えると、とてもベストとは言えなかった。

 了解した死獣神メンバーは、龍の記憶の処置はせずに、死獣神のトップシークレットとして自分達のことを知る忍や宙達にも口外しないことを約束にした。



 それからしばらくして、龍は意識を取り戻し、再び殺し屋になった経緯を思い出そうとしたが、雲雀らからメモリースクリーンで見たと説明を受けたことで納得した。



 数十分後。雲雀の店は閉店時間となり、龍達は店を出て帰路についた。


 その帰り道、翔馬とペガサスはメモリースクリーンに映ったことを思い返し、闇という名の構成員とシルエットと声だけしかわからなかった若い構成員・蠍のことが気になり、一抹の不安を感じた。

 これを払拭し、龍のためにできることは無いかと考えたペガサスはあることを閃き、回れ右して()()()()()に向かった。

 リスクを伴うが、自分にしかできないことを果たすために………………

 『誕の書』はこれにて完結となります。

 お世辞にもハッピーエンドとは言い難かったですが、これが龍が殺し屋となるきっかけです。

 尚、最後に書いたペガサスと翔馬の行動や蠍と闇は後の話に深く関わってきます。

 お楽しみに。

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