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死獣神~誕の書~  作者: 天馬光
22/23

闇への崩壊(3)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の始まりの物語。

 そこへ、蝙蝠の通信を受けた影達が加勢しに来た。

 両腕を失ったものの、この物量。勝負は決したと思った黒龍は勝ち誇った態度をとった。


 その時、龍が何かを呟いた。


「ん? 何だ? 『降参します』か?」


「…………黙れ……黙れ。黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ、黙れぇっ! お前達なんか、死ね死ね死ねーっ!」

 鬼のような形相で龍がそう怒鳴った数秒後、体育館に大量の血飛沫が舞い、断末魔と斬撃音だけが響き渡った。



 午前3時。体育館は一面血の海と化し、ロープカッターによる傷が至る所に刻みつけられていた。

 例のデータが入ったパソコンもネジ1本に至るまで粉々になり、仲間に逃がされた蠍以外のブラック・ナイト全員と未来の遺体も、肉片すら無くなるほど細かく微塵切りにされた。


 そんな残忍なことをした張本人である龍は、返り血を浴びて血の海の中心に静かに立っていた。

 しばらく沈黙していた龍だったが、周囲や自分に付いた血を見て、高らかに笑った。

 その様はまるで狂ったようだったが、現に彼はこの時、とうに狂っていた。


「あはははは、ははははは、ははははは……! 人殺しって、こういうのだったんだ……あー、スッキリしたぁ。父さん達に捨てられたこととかがどうでもよくなるよ……あれ? そういえば僕、なんでここに来たんだっけ?」

 怒りに任せて黒龍達を皆殺しにした龍。彼はその過程で殺しに快楽を見出し、狂った殺人者となってしまった。

 そのきっかけとなったブラック・ナイトや未来に関する記憶を全部忘れて………………


 だが龍は、何事もなかったかのように思い出すことを放棄し、当たり前のようにロープカッターと火炎放射器を家に持ち帰った。



 夜が明けると、この惨事は当然ニュースになり、龍のクラスメートや京介達は事件後、未来がいなくなったことから、彼女も巻き込まれたと考えた。

 未来を忘れた龍は案の定、正人らから真っ先に疑われたが、子供1人でできる芸当ではないと警察が判断したことで、容疑が晴れ、友を失ったショックによる記憶喪失だと診断された。


 もっとも、それら全ては間違っており、間抜けな大人達のおかげで見逃された龍は、それをいいことにその後も殺人を繰り返した。

 それは、殺人衝動に突き動かされてやったのもあるだろうが、何かの拍子で未来のことを思い出し、自分が親友を殺した忌まわしい記憶をリセットするためというのも要因の1つだった。

 何故なら、龍は記憶を失ってるのではなく、忘れているだけなのだから。



 そんな日々を送っていた龍は、ブラック・ナイトとの一件から3ヶ月後、近所の青年から貰ったパソコンを使ってサイトを立ち上げた。

 そう。殺し屋・青龍として活動するためのサイト『青龍の逆鱗』を………………

 以上で龍の過去回想は終了です。次話からは再び現在に戻ります。

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