青龍vs黒龍(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋の始まりの物語。
「おままごとは済んだか?」
「あなたにはそう見えましたか?」
「あぁ。君らを初めて見た時からな」
今日が初対面のはずなのにそう言われ、龍はいつから未来を監視していたのか尋ねた。
黒龍は普段、ブラック・ナイトというのを隠しつつ本業に役立てるため、探偵業をしており、未来がここに転校してきた日から彼女を調査していた。
「ストーカーみたいな人ですね。名前も黒蛇に変えた方がいいんじゃないですか?」
「ははは。少年、面白いことを言うな。だが、残念ながらそのコードネームの者は、すでに我が組織の参謀にいる。それに……蛇にこんな飛び道具は無いだろう?」
そう言うと黒龍は、トンファーを握っている左拳を龍に向け、超小型拳銃4丁を内蔵したフィストガードの銃口から4発斉射した。
龍はいきなりの発砲にびっくりしながらも、なんとか回避した。
「驚いただろう? 俺専用の武器・ガングローブだ。至近距離で撃てば確実に死ぬし、意表も突ける。欠点は装填数が少ないことぐらいだ」
「そこまで教えてくれるのは、鴉さんと同じで冥土の土産だからですか?」
「いや。ただのハンデだ。年の差とキャリアのな。ついでに言うと、右手には火薬を仕込んだ手袋・火薬掌。両腕には鱗状の刃の籠手・龍鱗腕を装備している」
「そんなに多くの武器、使いこなせるんですか?」
龍に素朴な質問をぶつけられた黒龍は自信満々に答えた。
「心配無用だ。俺はありとあらゆる武器を使いこなせる。それを為せるのはお前と同じ紋章の持ち主だからだ」
黒龍はそう言いながら、左目に龍の紋章を浮かび上がらせた。
それを見た龍は、体育館に行く途中のガラスに映った自分の目と似ていると思った。
「ふっ。不思議だろう。俺もこいつの正体はよくわかっていない。だが、力を与えてくれるものだということは理解している。俺はさっき言った武器の適応能力。お前は……超人的な身体能力といったところか。まぁ、いずれにしても、もしかしたら俺達こそが、生まれながらの特殊能力者・ミュータントかもしれないな」
自分は人間ではない。その可能性を突きつけられた龍は、多少の不安を覚えた。
「まぁ。君に興味は尽きないが、紋章使いは俺だけでいい。任務のためにも、君には消えてもらうぞ」
そう言いながら黒龍はトンファーを振り回し、
「紋章を発動させる鍵である精神高揚。その中の1つ……殺人欲求の赴くままにな!」
と、言って襲いかかった。
死闘のゴングが、今、鳴らされた。
後の『死獣神』シリーズでも述べるかもしれませんが、人を殺すのに大切な要素は3つ。
その内の1つは自分に合った凶器を用いること。それを怠ると、確実に絶命させることができませんから。
その点だけで言えば、黒龍は類い希なる殺人者と言えるでしょう。




