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ヒーローライクヒール  作者: 手頃羊
6話:危険地帯
28/33

その2・森+ゾンビ=

翌朝、ハゼットが馬車を用意してきた。


ハゼット「マキノから借りてきた。」


クロノ「あの人何でも用意出来るんですか?」


ハゼット「作れる物なら何でも、というのが奴の方針だそうだ。」


クロノ「すげぇなぁ…」


(ってことは作ったのか…)


ハゼット「そのマキノにゾンビの事を話したんだが、サンプルとして死体でもいいから一体持ってきてほしい、だそうだ。」


クロノ「何ですか?薬でも作るとか?」


ハゼット「あぁ。」


エリー「薬?」



アクアが手綱を握り、急いだペースで馬を走らせる。


エリー「この事って、王様には言ったんですか?」

エリーから質問が飛んでくる。


ハゼット「この事?レイネデに向かうことか?」


エリー「それもですけど、ゾンビのことも。」


ハゼット「ゾンビに関しては、ガイアに任せた。だが、レイネデに関しては、クロノが言うなと言っていたから言っていない。」


クロノ「言いました。」


エリー「何故です?」


クロノ「ゾンビは大抵陰謀論とセット、みたいな話は前にしましたよね?」


アクア「なんだい、まさか王様疑ってんのかい?」


クロノ「確証はないんですけどね。ただ怪しいと思ったことは一応。」


エリー「なんでです?」


ハゼット「国がゾンビの事に関して、何も発表していないんだ。」


エリー「発表していない?」

首を傾げながら復唱する。


ハゼット「ゾンビは戦闘力こそ少ないものの、噛まれたら感染するという超が付くほど危険な魔獣だ。いや、病気だったか。とにかくそんな危険なものが近くで現れたら、注意喚起するはずだ。だが実際は、近くで巨大なゴブリンが現れ、ギルドと軍が協力して撃退した、ということしか言っていない。」


アクア「ほーう。そりゃ確かに怪しい。あたしもその辺のやつがゾンビの話してるのは聞いたことがない。」


クロノ「もし国が何か企んでるなら、ヤバいです。」


エリー「ヤバいの一言で済むんですか…」


クロノ「逆に、企んでで欲しい、とも思ってます。」


エリー「と、言いますと?」


クロノ「俺がこの世界に来た事に、絶対関係していると確定するからです。」


エリー「すごい自信ですね。」


クロノ「というか、ゾンビに関わってるなら絶対関わってて欲しいです。じゃないと戻るヒントも得られないし。」


アクア「どっちにしろ面倒だねぇ。」


ハゼット「ところで、2人はゾンビの対処法は分かっているのか?」


アクア「近づかれる前に頭を射抜く。」


エリー「近づかれたら顔を抑えて何かされる前に攻撃、ですよね?」


クロノ「まぁそんな感じですかね。ただ、奴ら無駄に力が強いんで注意してください。」



レイネデから少し離れた場所に着く。

既に何体か、フラフラと歩いているゾンビがいた。

村の方は、広さだけはなかなかあるが、外から見る限り建物は全て木造といった感じの、あまり繁栄しているとは言えない村である。

生存者がいないからか、とても静かになっている。


エリー「活気を感じませんね。」


ハゼット「中々広い村だ。散開した方が早いだろうが…」

ふと、村の横にある大きな森の方を見る。


(森の中にもゾンビが…)


クロノ「いや、森の中から来てる?」

森の中からゾンビが次々と出てきている。


ハゼット「森の中?ふむ、あそこの方に何かあるかもしれない、と。」

魔獣もチラホラ見かけるが、それらもゾンビ化している。


(森の中でピクニックでもしてて、そこで襲われたとかなら、中から来るのはあり得る。でも、ピクニックどころじゃない人数だし、そもそも魔獣がいるような森でピクニックもおかしいだろ。)


クロノ「村から森に逃げた人が森の中でゾンビにされた…」


エリー「本当ですか⁉︎」


クロノ「え?いやいや⁉︎想像ですよ‼︎」


アクア「でも怪しんでんだろ?」


クロノ「まぁそうですけど。」


ハゼット「どうするんだ?任せるぞ。」


(うわぁー、期待されると心臓が痛くなってくるな…)


クロノ「…ハゼットさんは2:2で分かれても戦えますよね?」


ハゼット「あぁ。どちらかというとお前の方が心配だ。」


クロノ「それはまぁ…じゃあ2:2に分かれましょう。僕は森の方を調べます。」


アクア「ならあたしがクロノについて行こう。」


クロノ「え?」

ハゼットに同行を頼もうとしたらアクアが立候補してきた。


ハゼット「ならアクアに任せよう。」


クロノ「え?」

ハゼットが許さないかと思っていたらサラッと許可した。


アクア「どうした?不満かい?」


クロノ「いや、そうじゃなくて、単純にハゼットが同行してくるんじゃないかなと…」


ハゼット「森の中でのアクアは最強だ。俺が行くより安心できる。」


クロノ「マジすか。」


アクア「森の中での方が動きやすいんだ。」

余程の自信があるのか、ドヤ顔をしてくる。


エリー「なら私はハゼットさんとですね。」


ハゼット「よし。何か注意する点は?」


クロノ「えっと…基本的には見つからないように。1体見つかると次々と押し寄せてきたりしますから。」


ハゼット「分かった。よし、行こう。」



クロノは森の方に向かう。


(でもなんで森に逃げたんだろ。普通に他の村の方まで逃げればいいのに。)


アクア「クロノ、あいつらは殺っちゃっていいのかい?」


クロノ「んぇ?」

こちらに気づいたゾンビ達が押し寄せてきた。


クロノ「おぉ…それじゃあお願いします。」


アクア「あいよ!」

弓を水平に構え、矢を同時に5本射る。

矢と矢の間を魔力が線のようにつながっている。

魔力の線に触れたゾンビから、切り裂かれていく。


クロノ「うっわ!レーザーかよ!」


アクア「どうだい!まだまだこんなもんじゃないさ!」


クロノ「すごい技術っすね…いやでも、森の中はどうなってるか分からないし、油断禁物ですよ?」

ゾンビ+森=超危険。


(鬼が出るか蛇が出るか…いっそそいつらが出てきてくれた方がいいのにな。)



アクアと共に森の中に入る。

森の中にもゾンビは見かけたが、気づかれる前にアクアが射抜くので何も問題なく進む。

時々、頭上でガサガサと音が鳴り、その度に警戒を強める。


アクア「やばいと思うかい?」


クロノ「かもしれませんねー…アクアさんは自分の身を守ることに集中してください。」


アクア「はいはい。暇だったら守ってやるから安心しな。」


(アクアさんの弓の腕前超やばいんだよなぁ…距離とか障害物とか関係なくちゃんと当てるし…)

実際、森に入ってから半径10メートル以内にゾンビが近づいてきていない。



森に入ってから少し時間は経ったものの、特に何かを発見する気配がない。


(俺の思い過ごしだったか?その方がありがたいっちゃあありがたいんだが…)

突然、上から何かが覆いかぶさってくる。


クロノ「うわっ!」

考え事に気を取られ、抵抗もできずに両手を抑えられて武器を手放してしまう。


クロノ「げぇっ!ゾンビ!」

ゾンビが大きく口を開ける。


クロノ「待て待て待て待て!」

間一髪矢が飛んできてゾンビの頭に命中し、ゾンビが倒れかかる。


クロノ「うおっ…おぉ…よいしょ。」

ゾンビを押しのけて立ち上がる。


アクア「油断しないって言ったのはあんたじゃなかったっけ〜?」


クロノ「すいません…考え事してました…」


アクア「考え事?」


クロノ「いや、森の中探索に来たけど、何もないんじゃないかって。」


アクア「え?この奥にかなりゴツいのいるけど?」

逆に気づいていなかったのか、とでも言いたげな顔である。


クロノ「え?」


アクア「だから、多分この事にでも関係してそうな、森で生きてるには少し不自然な感じの魔獣の気配がすんのさ。てっきり、あんたも気づいてたかと思ったよ。」

妙に自信マンマンである。


クロノ「なんでそんなこと分かるんですか?」


アクア「あたしは森の中だったら通常の3倍の力を発揮すると思っておきな。森の中だったら、初めて入る場所でも大抵のことは分かる。どこに何がいるかとかな。」


クロノ「何そのチート。なんでそんなこと分かんの?」


アクア「魔獣が蔓延る森の中で1年間くらい狩りで生活してみな。イヤでも分かるようになるさ。」


(この人何して生きてきたんだよ…)



奥の方へと向かう。

だんだんと不気味な匂いがしてきた。


(これが死体の匂いってやつ?腐ったような…なんだこの匂い。)

空中を黄色い霧のような物が舞っているのも見える。


クロノ「花粉…の類じゃないっすよね…」


アクア「分からないが、少なくとも森の物ではないな。この奥にいる魔獣が出してるものと見た。」


(この状況でこんな物を出す魔獣…絶対嫌な予感しかしないんだよなぁ…)



少し開けた場所に出てきた。

そしてその中央に、あからさまに怪しいボスの雰囲気の巨大生物がいる。

球根のような体で、目と大きな口が胴体にドドンとある。

口から黄色い霧のようなものが出ており、これが発生源だと分かる。

巨大生物の周りにも結構な数のゾンビがウロウロしている。


クロノ「なんなんだよこれ…」


アクア「あからさまに…原因だろ。あそこ見てみな。」

巨大生物の口の中に何かいる。


クロノ「人間⁉︎食われてるのか⁉︎」

意識がないのか、全員グッタリと倒れている。


アクア「どうだろうね。人間だけじゃない。」

人間と共にゾンビが入っている。

しかし、ゾンビが人間を襲っている雰囲気はない。


クロノ「ゾンビに襲われていない…?大丈夫…ってわけでもないと思うけど…」


アクア「周りのゾンビ共、あたしらを見てもシカトしてるねぇ。」


クロノ「ホント?」

確かに、クロノ達には気づいていない様子。


(なんでだ?人を襲わないゾンビ?)


アクア「どう思う?あたしはこの霧みたいなのが怪しいと思うけど。」


クロノ「それは、ゾンビが襲ってこない理由ですか?」


アクア「あぁ。ゾンビになるってのは…」

口の中を見る。

口の中で灰色の液体が溜まっているのが見える。


クロノ「あいつの口の中に液体っぽいのがあるのが見えますか?」


アクア「ん?口?あぁ、なんかあるねぇ。」


クロノ「あれがゾンビ化する原因ではないかと。」


アクア「へぇ。この霧、あたしら大丈夫なのかね?」


クロノ「……やべぇ、全く考えてなかった。」

もしこの霧の方がゾンビ化する原因だった場合、大惨事である。


アクア「まぁその時はその時さ。」

巨大生物がこちらを捉えた。


クロノ「気づいた?」

武器を構えて警戒する。


(何か仕掛けてくるか…?)

巨大生物の背後から触手が3本伸びてきた。

クロノとアクアに目掛けて一本ずつ迫ってくる。


クロノ「よっと!」

触手を避ける。


(もう1本は?)

まだ伸び続けている触手の先を見ると、ゴブリンが1匹捕まっていた。

ゴブリンを口まで運び、放りこんだ。


(なるほど、ああやって口の中に入れられる、と。)

今度は4本の触手が飛んでくる。


クロノ「またか!」

2本ずつ飛んでくる触手を避けるのは難しく、剣で斬りつけながら避ける。

アクアも魔力で矢を作り、触手に突き刺しながら避ける。


巨大生物「グォォォォォォォォォォ‼︎」

叫び声を上げ、宙を舞っていた霧が吹き飛ばされる。


クロノ「うるっせ‼︎」


アクア「クロノ!周りを見ろ!」


クロノ「え?」

ゾンビが明らかにこちらに気づき、迫ってきている。


アクア「やっぱあれはゾンビを抑制するなんかだったんだ!」

巨大生物の口の中から叫び声が聞こえてくる。


クロノ「口…そういや口の中から出てたんだっけ…」

口の中のゾンビが人間を襲っている。


クロノ「アクアさん!」


アクア「こうも敵が多くちゃ、好き勝手動けないねぇ。」


クロノ「俺があのデカイのの相手をします。アクアさんは周りのゾンビを倒しといてください。終わったら、援護お願いします。」


アクア「よし、任せときな!」

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