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ヒーローライクヒール  作者: 手頃羊
5話:譲れない魂と意志とかわいさと
26/33

その4・カッコいいもカワイイ

レオとシレイノが試着室から出てくる。


レオ「どう?」

真紅のドレスに身を包むが、


クロノ「うーん、赤いドレスはもうちょい大人向けだったかな?」

レオが着るには早すぎた。


レオ「そっかぁ。」


(しかし…)

あれから既に2時間が経過している。


(試着だけでこれだけ時間を食うとは…しかもまだ3分の2しか終わってないとは…)


シレイノ「クロノさんもどれか着てみては?」

背後からメイド服を持ったシレイノが近寄ってくる。


クロノ「俺にそんな趣味はねぇですよ?」


シレイノ「ウィッグを付けてみれば似合うと思うのですが…」


クロノ「着ないから!」


シレイノ「それは残念です。」

がっかりしたようにメイド服を戻す。

呆れたクロノもため息をつく。


クロノ「…そんなにカワイイに飢えてるんですか?」


シレイノ「はい。私は自分がカワイイ系ではなく、カッコイイ系だと自覚しておりますので、カワイイ服は似合わないんです。カワイイ服というのは、それはもう好きでした。だから、それはもう苦痛でした。ですが、他の人に着せて愛でる分には自分の見た目は関係ありません。ですから子供の時から私の夢は、可愛い服を着た可愛い女の子と一緒に働く、でした。」


(そんな過去が…)


クロノ「それでこんな変態具合になったと。」


シレイノ「本音が口に出てますよ?」


クロノ「わざとです。」

ハハハと笑い合う。


クロノ「でも、好きなのに似合わないってのは確かに辛そうですね。」


レオ「でも髪型変えたら似合うと思う。」


クロノ「レオ!」

次の服を持って側に立っていた。


レオ「シレイノさん、髪型がキチッとしてるから、もう少し可愛い髪型にしたら変わると思う!」


シレイノ「いやいやいや、髪型でそんなに変わったりは…」


レオ「見た目が1番変わるのは髪型だよ!ちょっと違うだけで全然印象違うんだから!ほら、これ着てみよう!」

そう言ってチャイナドレスを用意する。


レオ「ほら、早く!」


シレイノ「ちょ、ちょっと⁉︎話聞いてます⁉︎聞いてる⁉︎」

レオがシレイノを試着室に引きずっていく。


店員「あのー。」

店員が横から声をかけてくる。


クロノ「はい?」


店員「こちらの服などは似合うのでは…」

バニー服。


クロノ「着ません!」



シレイノとレオが試着室が出てくる。


クロノ「わーお。」

頭の左右にシニョン。

ミニスカチャイナ。


クロノ「チャイナ娘か…」


店員「ああ…あああ……」

店員が鼻血を出しながら震えている。


シレイノ「何とか…言ってくれないだろうか…」

恥ずかしいのか、口調も敬語から素になっている。


クロノ「最高に可愛い。」

本音で答える。

キリッとした顔つきだからこそ、チャイナドレスに似合ったかもしれない。

それに加えて、恥ずかしそうにする仕草が普段のクールな印象とギャップを出していて相乗効果を発揮している。


シレイノ「…‼︎」


レオ「でしょー!やっぱり髪型変えると可愛いんだよ!」


シレイノ「いや…あの!」


クロノ「1回失敗すると怖くなって、2回目以降もどうせダメだって思っちゃうんですね。」


レオ「でもちょっと変えるだけで全然違うよ!すごく可愛い!」

レオが1番生き生きしている。


シレイノ「その…その…」

泣き崩れてしまった。


クロノ「え?あれ?なんかマズいこと言いました?」


シレイノ「ちが…その、嬉しくて…」


(服が似合うってのがそんなに嬉しかったのか…)



その後はシレイノとレオで試着大会が始まった。

基本的に口を出さずに見守るだけのクロノだったが、スク水に手を出しそうになった時はさすがにNGを出した。


クロノ「というか何故これがこんなところに…」


(これもまた、異世界に連れてこられた被害者か…)


シレイノ「森を歩いていたら落ちていてな。おそらく、下着か何かなんだ。せっかくだから拾っておいたんだが、素材が全く分からない。見たことないんだ。」


(そりゃ、うちの世界のもんだしな。

こっちの世界に素材がホイホイ落ちてるとは思えんし、あっても作れんだろ。)


シレイノ「誰かに着せようかと思ったんだが、中々体にピッチリしそうな下着だし、サイズ的にレオが1番良いのではないかと…」


クロノ「いや、ダメっす。」


レオ「お兄ちゃん…」

うるうるした目で訴えてくる。


クロノ「これ、下着じゃなくて水着です。女物の。」


シレイノ・レオ「水着⁉︎」

声を揃えて驚く。


シレイノ「こ、これが⁉︎」


クロノ「そんなに驚くことか?」


シレイノ「水着と言ったらこんな…ビキニとかだろう!こんなピッチピチで、体の形が布越しにモロに見えてしまうようなものが水着なのか⁉︎水着よりエロいぞ⁉︎」


クロノ「うちの世界ではそういう文化なんです。」


(間違ったことは言ってないはずだ。)


シレイノ「これが…水着…これは可愛いとかではないぞ……」

手をワナワナと震わせながら水着を凝視する。


クロノ「まぁ、泳ぐのに水の抵抗を受けないとかそんなんじゃないですかね。」


レオ「着れないんだ…」

だがギュッと握ったまま放さない。


クロノ「…試着室から出てこないなら、着てもいいよ。」



気がつけば既に日も落ちてきていた。


シレイノ「今日は本当に楽しかった。」


クロノ「こちらこそ。レオも楽しそうだったし。」

シレイノからプレゼントと貰ったメイド服を振り回している。


クロノ「シレイノさんもいつの間にか、素の口調ですし。」


シレイノ「あっ…別にいいだろう?」


クロノ「むしろありがたいっすかね。」


レオ「シレイノさん!今日はありがとう!」


シレイノ「あぁ、また来てくれ。店の方でも、私の方でも。クロノも。」


クロノ「女装させてこないならいいですよ。」


シレイノ「ちっ。」

聞こえない程度に舌打ちをしたつもりだろうが、丸聞こえだった。


シレイノ「そういえば、クロノ達はどこから来たんだ?」


クロノ「『ラフ』って分かります?」


シレイノ「あぁ、ギルドだったか。そこの団員だったのか?」


クロノ「レオもですけどね。何かあったら手伝いますよ。それでは。」


シレイノ「もう1つ。」


クロノ「はい?」


シレイノ「世界がどうこう言ってたが…あれは?」


(言ってたな…)

レオの説得の時に元いた世界のことを言っていた。


クロノ「また今度来た時に話します。あんまり言いふらさないでくださいね。」

シレイノに別れを言って、ギルドに戻る。

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