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吸血鬼の冒険録  作者: ノア
第一章 聖女の葛藤
38/44

旅立ち

年内におわった~

「ってことで今日からお世話になるわ」

「どういうわけだよ!」


 唯神教の強襲から三日、メリッサの手続きが終わったためグランに紹介するために連れてきました。

 いきなり連れてきたので驚くグランですが別に伝え忘れたわけではありません、故意に伝えなかっただけです!

 だってメリッサの事伝えて逃げられたら誰が彼女の溢れる性動リビドーを抑えられるというのですか。


「とりあえずグランは好きにしていいですのでおとなしくしてくださいね」

「ちょっ、姫何を言って──」

「やった、たくましくてとっても美味しそう」

「じゃあわたしは出かけるからごゆっくり~」

「姫~~~~っ!?」


 グランの悲鳴が聞こえますがさくっと無視してわたしは旅の買い出しに出かけました。



 



 この三日間街中は騒然としていました。

 安全と思っていた街中でテロがあったのですからそれも仕方ないで事でしょう。

 ですが聖神教の聖女たるアリスが自ら事態収拾に務めたため混乱は最小限で収められたようです。


街中の被害もアルスやグラン、聖神教の人らの活躍によって大きな被害なく終結してたようです。

しかし唯神教の部隊は不利と見るや即座に撤退していったようで捕まえられた者はほとんど居ず、わたしとアリスが戦った使徒だけが貴重な情報源となっています。

 アリス自ら尋問するそうですから近く情報は手に入るでしょう、アリスは尋問とか得意そうですからね腹黒そうですし。


 まあ、いろいろ言いましたが結局は三日もすれば街の人も日常に戻り平和を謳歌しています。

 被害が少ない分亡くなった人の家族でもない限りは他人事で被害がなかった人は普通の生活に戻りますよ人間はそういうとこで薄情でしたたかですからね。なのでこの賑わう大通りを見るだけで被害が少ないことが目に見えてわかります。


 そんな日常に戻った街中で今日の予定は旅に向けた準備です。

 メリッサを引き取りに行った際に教会御用達の馬屋の場所を教えてもらい紹介状もくれたのでまずは馬屋

へ向けて歩き出します。

 ちなみに馬車の方も見せてもらいましたが5~6人用の馬車で、てっきり貴族の乗るような乗車専用の箱型の華やかな馬車かと思ったら行商に使うような幌馬車ほろばしゃでしたよ。旅をするならこちらの方が向いているとのことでわざわざ準備してくれたようです。


 幌馬車を引くのに必要な馬の数は一頭で良いみたいなのですが酷使するつもりもありませんし乗馬も憧れるので二頭ほど買う予定です。

 馬も命ある生物故に維持費と言うなの食費等掛かるため一頭でいいとこを二頭買うなんてバカなことしないのですが生憎とお金はあるので贅沢しましょう。


 

 街並みを歩みたどり着いた馬屋は街門の近くに建ちドッシリした石造りに大きな馬の絵が書かれた看板が印象的でした。

 シルキアに着た人が馬を預けるにしろ売るにしろ街門近くなので良い立地ですね。

 でも予想した知る人ぞ知る店や裏路地にある一見お断りの有名店でなく普通の大手の馬屋です。なんかがっかりです。


 とはいえ、大手なら多くの馬がいるはずですしハズレではないですよね。

 

 馬屋に入ると多くの人が馬を預けたり売ったりしています。

 中は思いの外清潔で店舗兼馬小屋と言うことはなく別になっているようで動物臭もありません。


 とりあえず紹介状もあることですし適当な女性店員を捕まえると、「いらっしゃいませ~お引き取りですか~?」と言われたので紹介状を渡すとにこやかに「お預かりします、少々お待ちください」と裏に消えていったのでブラブラと店内を意味なく歩いて待ちます。

 大手だけあって引っ切り無しにお客が来てますね、その客の連れている馬を見ていると馬だけでなくロバや大きな鳥になんかごつい四本足の生物など多種多様な動物がいます。

 どうやらこの馬屋は馬以外も扱っているようですね、それなら馬屋じゃなく別の名前にすれば良いんじゃないでしょうかね?


「フェイス様~お待たせしました。こちらへどうぞ~」

 

 どうやら確認が終わったようでわたしは先ほどの女性店員に連れられて二階の個室へと案内されました。

 馬屋だからなのか馬の絵画や彫刻が並べてありましたがセンスは微妙ですね。


「ようこそ当店の利用誠にありがとうございます、わたしは店長のマイーズです。本日は馬車用の馬をお探しでよろしいですかな?」

「そうだよ、二頭ほど買う予定だからよろしくね」


 担当してくれるのは白いお髭がチャームポイントなお爺さんで、女性店員はわたしを案内し終えるとそそくさと出ていってしまいました。

 お爺さんがおおよその馬の値段を教えてくれましたが余裕で二頭買えそうなので、当初の予定通り二頭を買うことを伝えるとオススメの馬を選んでくれるそうで建物の裏手にある放牧場兼馬小屋に案内されていきます。


「この馬なんかどうでしょう?まだ若いですし性格もおとなしいので初めて方にはおすすめですよ」

「大きいし毛並みも良いね」


 おすすめされた馬は黒い立派な馬で背中までの高さでわたしの身長くらいありますよ、そんな黒馬がわたしに顔寄せてきたので触れて撫でて上げると気持ちいのか鳴いてくれました。

 こう見ると結構愛嬌がありますよ、わたし結構動物が好きなんですかね。


「おやおや、随分馬の扱いがうまいですね。 それにこいつもお前さんを気に入っておるし一頭はこいつでいいか?」

「そうだね、わたしにはどの馬が良いかイマイチ分からないけど懐いてくれているんだからこの子にしようかな」


 わたしのその言葉を理解したのかしていないのか分かりませんがこの子も喜んでくれている気がしますね。

 どうしましょう鞍は無いですがちょっと乗ってみたくなりました。

 

 いくら移動は自身の力で飛んだほうが速いとは言え馬に乗って優雅に駆ける姿は憧れますもんね。

 申し訳なく聞いてみると普段なら危なくてさせないみたいですけどアリスが書いた紹介状に色々書いてたみたいで馬から落ちたり踏まれたくらいじゃどうにもならないと思われたようで乗って良いそうです。

 まぁそれはそれで複雑ですけどね、一応女なのですから。



「うぉー、わたしは今風になっているー!」

「馬に乗っているというよりも駆ける馬に座っているだけですが楽しそうで何よりです」


 鞍が無い馬にただ跨るだけのわたしをにこやかに見つめる店長に手を振ってみます。

 もちろん乗馬の経験がないわたしが鞍が無い馬を操れるわけもなく馬の上に座りうまくバランスを取っているだけでとても乗馬といえるような優雅なものではありませんが馬に乗ってさえいれば乗馬ですよね!


 ……ちゃんとした乗馬を習いませんとね。

 きっとグランが乗れるはずです。


 そんなこんなで、試乗を終えたわたしは少しの間初めての乗馬の余韻に浸ってから二頭目候補の馬を何頭か見せてもらい真っ白い白馬を購入することにしました。

 黒と白のモノトーンカラーになりました、二頭に馬車を引かせると目立ちそうですね。


 とりあえず購入の手続きをするため選んだ二頭の馬を馬小屋に移し建物へと戻ります。

 提示された金額を見ると払えない額ではないし、生き物を値引きするのはなんとなく気がひけたので掲示された金額を即決で払いました。


 とは言えアリス……教会からの紹介状のおかげで安くはなっていたようですけどね。


「じゃあ、あの子達は明日に引き取りに来るから」

「かしこまりました。馬を最高の状態にしてお持ちしております」


 お礼を言いわたしは店を後にしました。

 次は旅に必要な食料や雑貨を買いに向かいます。食料に関してはわたしは必要ありませんしグランも少量で大丈夫ですしメリッサはグランを与えておけば生きていけますから最悪現地調達でいいのですが、折角アイテムバックあるので保存食を買っておきたいですよね。


 生憎とアイテムバックには中の時間が進まないって言う機能はついていないので生物を買ってもすぐ痛むんで保存食くらいしか買えないんですけどね。

 世の中には時間が進まないアイテムバックもあるそうなのでいつか手に入れたい物ですね。今持っている物の数十倍の値段だそうですけど。





 あれから旅の用品を色々と物色していたらすっかり暗くなってしまいましたよ。

 快適な寝袋に魔石を用いた水筒、簡単に火を起こせる魔道具など便利なものから名所などを記したガイドブックに暇つぶしの本なども売られていて、ついつい長居してしまいました。


 こういう道具などを物色するのは楽しいですよね。


「流石にメリッサ達も終えているでしょうし戻って夕飯でも行きますかね」


 こないだのココナ亭へシルキアを出る前に行っときたいですからね。

 わたしはグランとメリッサが待っている宿へと向かいました。




 戻ったわたしが見たのは、つやつやになっていて満面の笑みを浮かべるメリッサとすべてを吸われ真っ白に燃え尽きているグランでした。

 グランはかろうじて腰下に布団が掛けられていたので大事なものは見えませんでしたよ、まあそれくらいで動揺はしないのでいいのですけどね。


 そんなことよりも部屋の臭いがきつくてたまらないです。

 とてもじゃありませんが今日はこの部屋で寝れません、仕方ないのでアリスのとこにでも厄介になりましょうかね。


 その後虚ろなグランと元気なメリッサを連れてココナ亭で夕食を取りました。

 夕食後は未だ虚ろなグランをメリッサに預け寝床を借りるため教会に向かいます。グランはこの後も搾り取られるのでしょうけど明日旅立てるのでしょうかね?

 まあ無理そうなら世界樹の葉か実でも与えとけば復活するでしょう。


 教会に着いたわたしをアリスは快く受け入れてくれました。

 明日旅立つことを知っていたのでアリスは色々とおしゃべりしたかったそうです、アリスも年頃の女の子ですから友人と夜通しおしゃべりとかをしたかったそうですけど気軽におしゃべりできる人は教会にはなかなかいなかったそうです。

 さすがは聖女ですね。


 そんなんでアリスとともにお風呂に入ったり、同じ布団の中でおしゃべりしたりと楽しい夜を過ごしていたらあっという間に朝を迎えました。

 名残惜しいですが仕方ありませんね、後ろ髪を引かれながらも出て行く支度をします。


 よく考えると急ぐ理由はないですがこのままアリスといると居心地が良くて居ついてしまいそうになりますから出ていきます。

 リノアの世界樹の麓にアリスとの語らい、この世界は誘惑が多いですね。でもわたしはリノアとの約束がありますから必ずリノアのとこへと帰ります。

 リノアはアリスと違って完全にぼっちですからねわたしがいないと可愛そうです、アリスは色んな人に好かれている聖女ですからぼっちにはなりませんもんね。


 そうです、アリスが次代の聖女に役割を継で隠居するなら一緒にリノアのとこでゆっくり暮らすのを提案しましょうか。

 その頃にはアリスはおばあちゃんでしょうがこれも長命種の宿命、例えアリスがおばあちゃんになってもわたしは変わらずに接しましょう。


その事をアリスに伝えたらアリスに殴られました。

痛いです……


いきなりおばあちゃんとか言ったのはわたしが悪かったですが殴ることはないでしょうに。

まあ、アリスがおばあちゃんになるとしてもまだまだ先ですから置いておくとして、ちょくちょくアリスに会いには来ましょうかね。


アリスに別れを告げグランたちを迎えに行こうとするとお見送りにアリスも来てくれるそうで二人で宿へと向かいます。





「うっ、」

「まだ凄く臭うね」

「あっ!姫様おはよう。いやー久々に濃いの取ると止まらなくなっちゃった!」


部屋の中に充満する生臭い臭いにわたしとアリスは顔をしかめます。

 そんなわたしたちに気づいたメリッサは溢れる笑みで挨拶してきました。もちろんグランは寝たまんまです。


「止まらなくなっちゃったはいいですがグランは大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ手加減はしたから……生きては、いるはずよ」


 なんとも安心できない言葉が帰ってきましたよ。

 確かに生きてはいるでしょうが……仕方ありません、わたしはアイテムバックから世界樹の実を取り出しグランの口の中に押し込みました。

 

「ふぐっっ!」


 いきなり世界樹の実をまるごと押し込められたグランが苦しみながらも飛び起きました。

 それでも世界樹の実の効果は素晴らしくグランに生気が戻ったようです。

 なにげに世界樹の実を回復に使用したのは初めてですね、こんな使い方が初めてですか……やるせないですね。


「あんな死に体だった人を回復させるなんて、随分いいものを持っていましたね」


 換気をするため窓を開けていたアリスが飛び起きたグランを見てそう言います。

 魔法を使い換気してくれたので大分臭いは楽になりましたね。


「って姫!なんちゅう奴を置いてくんだ、マジで死ぬかと思ったぞ」

「腹上死なら男の本望でしょう」

「っんなわけあるかっ!」


 うんうん、ほんとに元気になったようですね。

 それに飛び起きた拍子に腰にあった布団が落ちて丸見えになっています、朝だからか世界樹の実の影響なのか知りませんが下もとても元気になっていますね。

 平然としているようなアリスですが実際は顔を真っ赤にしながらじっくり見ていますよ、まあそういうのが気になる年頃なんでしょうね。


 しかしあまり教育に良くないので注意しますか。


「グラン」

「あんっ?」


 グランの名を呼びつつ指を下方向にやりグランが全裸なことを示します。

 一応乙女なので口には出しませんよ。


「ギャー!」


 下半身の状態に気づいたグランの悲鳴が宿中にこだましました。

 普通は女性が叫ぶ側なんですけどね……


 とりあえず元気になったグランに着替えてもらってから宿を後にし、みんなで馬屋に行きました。

 

 二匹の馬と再会するとどちらも喜びながら近寄ってきて頬ずりしてきました。

 やっぱり可愛いですよね!

 

 そんな二匹を引取って馬車の置いてある教会へと向かい馬車をつけます。

 馬屋で取り付け訓練もしていたようで暴れずにおとなしく取り付けることができました。

 二匹とも鼻息を荒くしやる気十分のようです。


「そういえばフェイスたちはこれからどこへ向かうんですか?」

「特に予定はないな~」

「でしたらミスリアル帝国よりもアルカスト王国がいいですよ、ミスリアル帝国は最近きな臭いですから治安的にもアルカスト王国が安全ですね。それにアルカスト王国は聖神教の信仰国ですからね」


 ドヤ顔で自身を聖女と崇めてくれる国をすすめるとは、やりますねアリス。

 戦争するみたいに聞いた帝国ならイベントが多くありそうですけど折角アリスが勧めてくれるんですもんねアルカスト王国に行きましょうか。

 ちなみに聖神教の聖都も考えたんですけどメリッサを連れて行くわけにも行かないのでまた今度にしました。


「ならアルカスト王国に向かいましょうか」

「それがいいですよ、それとこれがアリスとメリッサの身分証になります」


 そうしてアリスから蒼色の身分証を手渡されました。

 ふふふ、事前に身分証についてアリスに相談して作ってもらったのです、聖神教は大国並みに影響力があるので身分証としては心強いですしね。

 

 手渡されたわたしの身分証を見ると聖女関係者と書かれていました。

 これでアリスの威光も簡単に借りれますね!

 ちなみにメリッサの身分証には要注意監視対象者と書いてありました。


「ちゃんとメリッサのこと監視しておいてくださいね」

「グランを与えとくから平気だよ」

「それもそうですね、聖神教(うち)もグランさんくらい丈夫な人がいれば楽だったんですけどね」

「まじでやめてくれよ、あんなの後半はただただきついだけだよ」


 どんよりとした言葉で返すグラン。

 それでも前半は気持ちよくヤッていたのですからいいじゃないですか。


「じゃあそろそろ行くよ」

「そうですか……フェイス今回は本当に有難うございました。わたしも巻き込まれましたが特に大きい被害なく唯神教の使徒を捕えることができたのはあなたのおかげです。

使徒二人相手ではどれだけの被害が出たことか……」


 被害が出るだけで負けるとは言わないのですか。


「気にしないでいいよ」

「そうですか……あなた達のこれからの旅路に神の祝福があらんことを」


 アリスが手を合わせるとほんわかとした白い光がわたしを包みこみわたしの中で弾けました。

 呆けた顔をするアリス。

 どういうことでしょう?


「神の祝福が弾かれましたね、ですが発動はしたので神からは拒否されていないはずなのですけど……」


 考えるとわたしの中のリノアの加護が活性化しているのがわかりました。

 あれですね、神の祝福を弾いたのはリノアの加護ですね。

 まったく嫉妬深いのですねリノアは。


「どうやらわたしの中にある加護が神の祝福を弾いたようですね」

「加護ですか?神からの直接の祝福ではないので弱くはなりますが、聖女のわたしが行う祝福を弾くほどの強力な加護ですか……良ければ教えてくれませんか?」


 神の祝福を弾くほど強い加護が気になったのか申し訳なさそうに少し考えてから聞いてきました。

 隠す必要もないですしそんな顔しなくてもいいんですけどね。


「世界樹リノアの加護だよ」

「世界樹っ!? 嘘とは言いませんがその意味わかってますか?」


 そう言えばリノアもかつての勇者すらも加護を受けたことはないと言っていましたね。

 

「珍しいみたいなことは言ってたね」

「珍しいなんてものではないですよ!過去に世界樹からの加護を賜った話など聞いたことがありません。それに世界樹の精霊はエルフ族の長くらいにしか姿を見せないと聞きます」

「そうみたいだね、リノアも世界樹の周りに結界を張って簡単に入れないようになっていたみたいだし」


 昔は繁栄していたみたいだから騒がしいのが嫌なわけではないのでしょうけど、なぜ結界を張っているのでしょうか?


「とりあえず世界樹の加護があるのでしたら祝福程度は意味ないでしょう。

ですが気をつけて下さいね、何かあったらわたしを頼ってくださいね。」

「ええ、その時は遠慮なく頼らせてもらうよ」


リノアにアリスが助けてくれるのは嬉しいですね、世界樹と宗教の聖女が味方なら百人力ですよ。この世界での出会いに感謝ですね。

まあ頼ってばかりでは友人なり得ないと思うのでわたしも力をつけて頼られるようにならないとですね。


「姫、準備は終わったぞ」

「そうですか、ではアリスまたいつか会いましょう」

「はい、その時は聖都にいらしてください」


別れの挨拶をしアリスと軽い抱擁をして馬車に乗り込みます。

馬車はグランが操り、メリッサとわたしが馬車の中で待機です。

メリッサも軽くは操れるみたいなのでグランとメリッサが交代で運転します。


「じゃあ行ってくるよ」

「お元気で、楽しい旅であることを」


ゆっくりと動き出す馬車に揺られながらアリスに大きく手を振りアリスもそれに返してくれます。

だんだんアリスが小さくなっていき完全に見えなくなったとこて手を振るのをやめます。


さあ、この先の旅でどんなことがあるのでしょうか。

期待を胸に秘めたわたしを乗せ、馬車は真っ直ぐな道を歩み続けます。


第1章 聖女の葛藤 完

みなさん良いお年を

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