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吸血鬼の冒険録  作者: ノア
第一章 聖女の葛藤
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襲撃

新章開幕

「計画通りに行くよ、アルスGO」

「グォォ」


 目の前の街道を移動する馬車に目掛けてアルスが走り出す。

慌てだす商人たちだが時すでに遅くアルスの拳が馬車に当り馬車は横転してしまった。


護衛の人たちが商人たちを守るようにアルスへ攻撃をするも強靭な毛皮に阻まれ反対にアルスの一撃くらい負傷していく。

 そうわたしたちは今商人の馬車を襲撃しています。なぜそのような盗賊まがいな事をしているかというと訳は少し前に遡ります。






 山脈を超えたわたしたちは人里が近くなったことで羽を使った空中移動から歩きの移動へシフトしました。不用意に吸血鬼と晒す必要もないですし日が昇り遮蔽物のない空を飛ぶのもだるかったですし。

 ちなみに吸血鬼とはいえ太陽で消滅することは無く直射日光の当たらないところなら割りかしだるくなることもなく行動できます。それに昼間寝てましたが基本は特段寝る必要もなくただやることがないから寝ていただけですし。


「姫これからどちらに行きます?」

「どっちが大きい街になるの?」

「さあー」

「さあーって」

「俺来たことありませんしはっきり言ってここが何処だか知りません」

「はへえっ!?」


 何か変な声が出ましたよ知らないって何ですか!


「姫が悠々と飛んで行くんで知っていると思ったんだが」

「知るわけ無いじゃん」

「俺だってあの森で迷ってたんだからすでに来た道すらわからないからここが何処だか知らんよもしかしたら俺が来たデイトリニ王国かもしれんが街道だけじゃ見分けがつかん」


 まいりましたねグランが来た方に向かえばいいと思ってましたがまさか迷ったあとだったなんてどうしましょう。


「小さい街道じゃないし待ってれば商人が通るだろうし捕まえて聞いてみるか、金があれば乗せてくれたかもしれんが無一文だしな」

「グラン、お金も持ってないんですか」

「言っちゃ何だがあの時の俺だぞ貯金って概念があるわけ無いだろう」

「そうですねあの時はかなりひどかったですからね」


 場所もわからないお金もない目の前に街道がなければ遭難状態ですよ。


「いっそ商人が来たら襲いますか」

「俺も清い身ではないから姫が言うならそれでも良いが実際追われると面倒いぞ衛兵や騎士も無能じゃないから目撃者皆殺しにしてもどこからか足がつくんだよな」

「それはグランの爪が甘いからじゃないですか?どうせ積んであった商品そのまま売ったり雑魚だから欠片も気に留めてない子供なんかに逃げられたんじゃないですか」

「ははは、否定できねー」


 テンプレならここでちょうど良く馬車が盗賊に襲われて助けると優良商人や貴族で仲良くなってコネが手に入るのですけどね。

 そうですよその手がありました。


 なければ起こせばいい。


「グラン馬車が来たら襲いなさい適度に襲ったらわたしが助けに行きますからやられた振りをして逃げなさいそうすれば恩を売れて尚且つ救出料もらいますからさらに護衛の代わりに着いていけば街につけて護衛料も手に入ります」

「姫それは酷いぜこれからも着いてくんだから俺だけ犯罪者になると行動しづらいすよ」

「捕まったあと引き取りますよ」

「いやいや国によっては即処刑だからな!」


 いい考えだと思ったのですがわざわざ眷属を殺されたはありませんね。


「姫、俺じゃなくて適任がいるじゃないですか俺の同僚の……」

「ああ!アルスですか確かにアルスならただの襲撃に見えて終わったあとはわたしの血の中に入れればバレませんからね」


 人間が一人で商人の馬車を襲うよりも野生動物が襲う方が自然で商人の人にはわたしとグランの二人旅と説明すれば女のわたしの一人旅よりおかしさは無いので信用もされやすそうですし。

 そうなるとグラントとの関係を事前に決めとかないといけないですね敬語だけならともかく姫姫言われてはあらぬ疑いを掛けられそうですし。てかグランは微妙に敬語が使えてませんし。


「妥当なとこで親子ですかね」

「何がだ?」

「外向けのわたしたちの関係です誰かさんが姫と呼ぶのでそれだと本物と勘違いされることはないと思いますけど流石に変なので親子ですかね」

「子供に姫と呼ぶのもおかしいと思うがてか俺一応28だから姫くらいの歳の子はおかしいぞ」

「そこは名前で呼びなよ、てか28だったんだグランってもっと老けて見えるから大丈夫だよ」

「姫さすがにそれはひでーよ」


 28と16の親子はおかしくても30前半と16ならギリセーフですよね。


「とりあえず親子設定で行きますからフェイスと呼びなさい変ならあとで設定を変えます」

「了解だ姫」

「だからフェイスです。あと親子のような口調ですよパパ」

「ああ、わかったよ」


 パパ呼びはおかしくないですよね?

 暫く口調の練習をさせ大分良くなってきたので本格的に襲撃準備に取り掛かります。


「折角だからコネの大きそうな大商隊を狙おうよ」

「そうだな小さな商隊や辻馬車襲っても仕方ないからなだが大商隊は護衛もそれなりにいて強いぞアルスには敵わないだろうがな」

「なら大丈夫でしょアルスも強いですからいざとなったら逃しましょう」


 そして小さい商隊や辻馬車が数度通り抜けやっと馬車10台ほどの商隊が通り抜けようとしたので襲うことにして最初へと戻ります。


「大分護衛も減ってきましね」

「そろそろいくかあまり被害が大きくなって騎士団が派遣されたら面倒い」

「じゃあ行きますか」


 そして今まさにアルスからの一撃を受けそうな護衛の人の前に入りアルスの一撃を剣で受け止めます。

 アルスが咄嗟に力をセーブしてくれたおかげで吹っ飛ばなくすみました。


「おう、手を焼いているようだな少し手を貸してやるよ」


 さて一芝居うちますか恩を盛大に売りますよ。


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