結局他人との競争は子供の頃から始まっている
最近体力が付いてきたのか筋肉痛になる回数が大分減った。それに伴い少しではあるが筋肉もついてきた今日この頃である。
筋肉がついた事で一度に運べる量も増えてきたので手伝いにかかる時間も短縮されているが最近少し心配な事がある。
小さい頃から筋肉を付けすぎると身長が伸びないとよく言われている。そして俺は今5歳である。
このまま筋肉を付けて行って身体の成長が止まらないか心配なのだ。
そもそもこの村の大人の男達の身長は大体160cm程である。 もちろん全員が全員160cmという訳ではないし、背の高い人もいるし、さらに低い人もいる。そして不幸な事に俺の親父は低い方に分類される人間で、その遺伝子を受け継いだ俺も身長が低くなる可能性は多いにあるという事だ。
それなら筋肉を付けるのをやめればいいと思うかもしれないが、そうできない理由がある。
男にとって体力があるというのはそれだけで有能かどうかを判断するバロメーターなのだ。
なぜなら生活に必要な物は大部分が村全体で管理されており、各自の働きに応じて分配される事になる。
つまり働き者程多くの財産を得る事ができる、つまり生活が楽になるのだ。
一方、体力の少なく多く働けない者は財産を貯めることが難しく生活に余り余裕はない。だからそんな処に嫁に来るような女性は少なく、一人物として生涯を終える者も多くはないがいるのだ。
それでも体力が少ない者が財産を貯めようとするならば希少で体力が余り必要でない仕事に就かなければならない。
つまりそんな仕事に就こうと考える俺にとってそんな奴らはライバルであり、競争して勝ち抜かなければならない相手なのだ。
しかし必ず勝ち残ると言えない以上は保険として体力を付けておかなければならない。それに希少な仕事でも体力が必要な仕事は結構な数があるから選択肢を増やす意味でも体力を付けた方がいいというのが理由である。
結局どこに行っても小さい頃からの積み重ねが将来勝ち組になれるかどうかの重要な要因になることは変わらないらしい。
つくづく現実的な異世界である事感じる5歳の春だった。
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