片鱗
片鱗、タイトル通りです。
「藤丸さん特製、派手に暴れて実はハズレ大作戦だ…!」
ビーーー!模擬戦終了、勝者息吹・藤丸ペア
「やったね!武尊!」
「うっす」
藤丸が駆け寄り武尊を揺する。
「戦闘向きじゃねえとか、新しく能力使えるようになったとことかわざとらしく見せてきたのも、全部お前に集中させるブラフってことかい、やられたよ」
小田桐は頭を抱え、困ったように笑った。
「すごいな!誰も傷つけないすごく賢い作戦だな!」
郷原はキラキラした目でこちらを見ている。
「うん、いいから早くこの髪の毛解いてくれ」
「皆様お疲れ様でした。軽傷であったとしてもお怪我のある方もいるでしょう、怪我のある方は医務室で治療を受けていただいて、作戦会議の後、休憩を挟んで第2試合を行います。」
大林に渡された紙には第2試合の組み合わせが書かれていた。
久瀬・森田ペア
VS
郷原・小田桐ペア
息吹・藤丸ペア
VS
三浦・柿沼ペア
「どうする?医務室行く?」
「まあ、ちょっとしたかすり傷なんで大丈夫っす」
「そっか、じゃあ軽く作戦会議でもしようか」
藤丸と武尊は医務室に向かう途中、待合室にいた久瀬を見つけた。
「お!久瀬くん!」
久瀬はこちらを見て軽く会釈した。
「すごかったねえ、久瀬くん、一瞬じゃない」
藤丸が久瀬に言う。
「いや、僕はなにも。」
「またまたぁ、謙遜しちゃって」
「いえ、ホントになにも。」
「んなわけねえだろ!」
小田桐が部屋に入ってくる。
「なんにもしてねえだ?謙遜も大概にしとけよ、謙遜ってのは、やりすぎると鼻につくんだよ!」
小田桐が久瀬に詰め寄る。
「次はあたしたちとやるんだからな、次は勝つ!」
「郷原くんは?」
藤丸が小田桐に問う。
「医務室行ったよ、挨拶しないとって」
「律儀だね、彼は」
「あたしも今から行ってくる、石投げられてキレイな身体に傷がついちまったからなあ」
小田桐は武尊を睨みつける。
「すんませんね…」
小田桐は待合室を出ていった。藤丸は久瀬に向き直った。
「総当たり戦だから、君とも当たることになる。くれぐれもお手柔らかにね」
「分かりました。」
「次の相手は三浦さんと柿沼くんのペアだ。柿沼くんが手のひらを高温に出来る能力、三浦さんが水を蓄える能力だね。」
「高温ってどれぐらいの?」
「詳しくは僕も覚えてないんだけど」
「強めのホッカイロぐらいで考えときます、水の方は?」
「身体に大量の水を蓄えられるらしい。そしてそれを任意で放出できるみたい。」
「魚みたいっすね」
「君は言葉を選ばないね」
「で、どうします?」
「武尊が石を動かせるようになったことは多分向こうには知られてない。僕らが久瀬くんたちの戦いがどうだったか知らされてないことが証拠だ。郷原くんが聞かれてたら答えちゃいそうだけど、まあないと思っていいだろう、これはアドバンテージになる」
「なるほど」
「柿沼くんの能力はそんなに気にしなくていい。直接戦闘で考えた場合はかなり危険な能力だけど、相手を極力傷つけないという制限がある以上、むやみに触れてきたりはしないだろう。となるとこのルールの場合は三浦さんの方がやっかいだね」
「水か…」
「まあでも制約のある条件下なら、能力汎用性で見ても僕らの方が理はある。そんなに難しい相手じゃないと思うよ」
「じゃあさっきと同じ作戦でいいすかね?」
「いいのかい?また囮で」
「いいすよ、俺なんもできないし」
「そんな明るく言わなくても」
「じゃあそれで!」
「では第二回戦目、はじめ!」
「今度は適当に突っ込むんじゃねえぞ!私が捕縛する!お前は撹乱して隙作れ!」
小田桐が郷原に声をかけた。
「了解!!」
郷原は駆け出した。その前に一人の男が立っている。
「キミは、メガネの人!?」
郷原が驚く。小田桐が飛び出す。
「久瀬は後回しだ!森田!悪りぃけど先お前のもらうぞ!カミトリ!」
小田桐の髪が森田を捕縛にかかる。
「うわぁ!」
森田が避けながら倒れた。
「とりあえず森田のストラップは頂きだ!」
「すまん!メガネの人!浮筋浮筋ィ!」
倒れた森田を小田桐へ投げつけた。森田が小田桐の髪の毛に捕まる。
それと同時に黒い影が森田の後ろから飛び出した。その黒い影は郷原と小田桐の間を縫うようにして飛び出していく。
「ワンっ!」
その黒い影は2人のストラップを取っていった。
「は?!」
ストラップに巻いた髪の毛がはらりと足元に落ち、小田桐が驚いた様子で声を出した。
森田は小田桐に捕縛された状態で動けずにいる。
「すみません、僕の友達のポチです。」
森田の側には水墨画のような犬が尻尾を振っている。森田が言う。
「現示物語、僕の能力は本の世界から友達を呼ぶ能力です。」
ビーーー!模擬戦終了、久瀬・森田ペア勝利
奥から久瀬が歩いてくる。
「だから言ったでしょう、僕はずっと『なにもしてません』よ。」
「終わった!?」
武尊はまたも久瀬・森田ペアの一瞬の出来事に驚きを隠せない。
「まあ久瀬くんがいるしね、このルールで彼とやるのは、誰でもハズレくじでしょ。」
「バカと小田桐も弱くないっすよね…」
「まあそうだけど…僕らはやれることをやって、勝とう。」
「うっす!!!」
読んで頂きありがとうございました。
次回、武尊たちの2戦目、本格開戦!




