人間ホイホイ
エヌ星では、全年齢・全性別の日本人を対象にした実験を行おうとしていた。
エヌ星人は比較的に平和的な考えの持ち主だった。最小限の干渉に抑えるために、一度実験を行ったら、被験体は連れ去った後の記憶を消して、元の場所に送り返さなければならなかった。
「皆、被験体の日本人をどのように集めている?」
「私は、日本の首都東京にある、国会議事堂という施設自体を罠にしようと考えています。日本という国の代表者たちが集まるので、実験には最適かと。」
「いや、ダメだ。全年齢対象の実験である。いくら代表とはいえ、年齢層と性別に偏っては実験にならない。今すぐにやめなさい。」
「私はその点をしっかり踏まえております。映画館に設置しようと思っています。今、日本では子供から大人まで夢中になっている映画がありまして、その映画館に設置しようとしているのですがいかがでしょう?」
「それも、あまり良くない。そこにはその映画を見たい人たちが集まっているため、そこに趣味の偏りがある。それに、実験中の数分の記憶が無くなったとしても、映画を観ている人たちの、夢中になっている映画の記憶とどのように干渉するかが分からないため、避けたい。」
「私も一つ考えがあります。暑い日の都市の道路の脇に、何もない空間を用意すれば、と。」
「そこに日本人が集まるのか?」
「ええ、絶対に集まります。この仕掛けの大事なところは、外の道路に冷たい空気が流れるように、罠のドアを開けっぱなしにするんです。すると、たちまち何も考えずに人々は吸い寄せられるように入ってきます。」
「何の目的もなしにか?」
「はい、とりあえず入るかと思います。」
「よし、それで行こう!」
「例年のこの時期だと、気温が低くなり効果が半減してしまうと思うので、今回は少し荒業ですが、日中の気温が高い日が長引くようにして・・・。」




