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仁王立ちで帰還を命じた私を魔術師さんは口を開けてぽかーんと呆けてみていた。
なんて大きなお口。飴を入れてみたいわね。きっと大玉のザラ飴も軽く入るわよあの大きさ。
なんとなく弟妹達が驚いた時の顔と重なって見えてしまい微笑ましさに思わず噴出してしまう。
ぽかーんと口を開けてさ、ひどい時は涎まで垂らしちゃったりして……見ようによっては餌を待つ鳥の雛にも似ていて……可愛くて可笑しくて……。
ぷっ……くくくっ……だめ、そっくり過ぎて笑いが堪えきれない。
口を手で覆ってどうにか笑いを堪えようとするけど肩が震えてしまう。
せめてもの情けとばかりに顔を背けてみるが心の底からこみ上げてくる笑いの衝動は治まらない。……ううん。寧ろ酷くなっている。
「ぷぷぷっ……」
「……笑うなら堪えず爆笑したらどうだい?堪えられている方が腹が立つからさ」
え?
笑っていいの?
憮然とした顔の魔術師さんからお許しが出たので私は容赦なく笑うことにした。
「あはははははははははははははははははははっ!」
「………………(ぴきり)」
笑ってもいいと言ったくせに盛大に笑ったら魔術師さんの頬が盛大に痙攣した。もしかしたらフードに隠れた額にも青筋が浮んでいるのかもしれない。が、今更爆笑を止められるわけもなくしばらくの間私は盛大に爆笑し続けちゃったのでした。
「ぷぷっ……はぁ~~笑った笑った!」
漸く笑いの衝動も治まり目じりに溜まった涙を指で拭う。
あ~~笑い過ぎて腹が痛いわ!
「僕には何がそんなに君の笑いのツボを突いたのかサッパリ分からないんだけどね?」
酷く不貞腐れたように廊下の石畳を爪先で蹴る魔術師さんはいつも通りの私がよく知っている彼にしか見えなかった。
先ほどまでの怖い「哂い」を浮かべていた人物の面影はどこに逃げ出したんだと言いたくなるぐらい見当たらない。今の魔術師さんは私の良く知る彼そのものだった。
一体先ほどのやり取りは何だったんだとは思うが今は脇において置いて。
「魔術師さん」
「……なに?まだ僕のことを笑うネタでも見つけたの?」
「……話を最初に戻しましょう」
「最初?」
「ええ」
いぶかしそうにこちらを見返してくる魔術師さんに私は頷き返す。
「リカルド君を私がどうするつもりか、についてです。ついでに魔術師さんにはちょっと手伝って欲しいこともありますしね」
にかりと笑う私に何を感じ取ったのか魔術師さんも面白げに肩を揺らした。
「さて、興味深そうな話だね、聞かせてもらえるかなぁ?」




