表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の涙と愛の花  作者: 久保田弥代
7/7

風の涙



        七


 深い青い空の下。

 風に撫でられ、とりどりの色を波打たせる花園は、誰に踏み荒らされることもなく、かつてそこで育まれた愛を包み込んでいた。

 封を切られた手紙が、花々に囲まれ、風に揺れる。

 果てた生命がやがて土に還るのならば、この花園の花は、一体どんな生命を糧として、美しく優しく、そして誇らしく咲いているのであろう。

 そこにいるべき少女の姿は、どこにも見当たらなかった。

 天使も、堕天使もいない。

 花園に建つ『地獄門』もまた、黙して語らない。

 ただ――

 風に揺られる手紙の隅に、誰かが落とした涙の跡が、一粒、二粒――残っていた。






   ―了―





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ