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第一話 転生の日々は

前書き


『魂式の魔法使い』をご覧くださり、ありがとうございます。

『魂式』と書いて『こんしき』の魔法使いです。


この世界は魂が夜空に昇る光がみえる世界。


その世界に転生した小林蒼真はリシア・アルネスとして様々な人たちと関わっていく。


そんなリシアを応援いただけると幸いです

 視える者もいれば視えない者もいる。ただ、この世界の通例として人が死ぬと、夜空に光が昇る。それは昔から、変わらなかった。その光を誰もが視ることができて、その理由も解明されていればそれはもうオカルトじゃない。よっし、今日も徹底的に調べてやるか。

 俺——小林蒼真(こばやしそうま)ことリシア・アルネスは日本からきた転生者だ。そして今世でも男らしい。俺はこの世界に生まれてから不思議な光を見ていた。その光の正体を解明すべく家の書物庫へ向かった。普通聞けばいいと思うかもしれない。だが、俺にしか見えていないそれを、人に聞く勇気はなかった。

「お帰りなさいませ。リシア様」

 学園から帰宅して執事のローディスが迎えてくれた。ローディスと目が合ったまま数秒待つ。この世界では挨拶の後も目線を相手に向けることが、話があるという合図になる。

「ただいま、母さんはいるか?」

「いいえ、いらっしゃいません。奥様は本日も診療所の方に出向かれております。」

「そうか、ありがとうな」

 俺は目線を外す。よし、これで心置きなく家の書物を見られる——。

 アルネス家は医療貴族という優秀な医療従事者を生むこの国の貴族だ。俺はその三男坊。本はたくさんある。どれから読もうか。この前読んだ人体構造の医学書もよかった。専門家じゃない俺でも、地球の医学とほとんど変わらないように思えた。名称は違うが感染症やがんのような多数の病気まで載っていた。そう思い巡らしているとある一冊の本が目に留まった。

 『魂医療学』

 著者はエルディアスだった。その背表紙は古く傷んでいるが長いこと大切にされてきたのだとわかる状態だった。魂——前世ではスピリチュアルの分野で医療学などつけられたものなら医学者にもスピリチュアル界隈に怒られそうだ。

 その一ページ目に目が釘付けになる。そこには魂粒子とあった。魂粒子なんて名称でいいのか?俺が初めてそれを見たときの印象だった。そして、ページをめくるたびに、俺の中で点と点が繋がっていく。俺が視ていた光の正体もわかった。俺が視てきたものは魂粒子だったのだ。生者、死者関係なく見えるのは10領域のうちの魂領域——視覚である。

 「大多数が見えていると言ったのに、俺にしか見えないとはどういうことだ」と思ったかもしれない。実は、見えているものが違う。大多数が見ているのは、魂粒子同士が干渉したときに生じる発光現象だ。一方、俺には魂粒子そのものが光の粒のように映る。ここは俺が考えていたものへの答えをくれる世界だった。

 魂領域——視覚が使える者を魂式(こんしき)の方の魔法使いと呼ぶらしい。

「リシア、今日も学園お疲れさまでした。ずっと勉強していて疲れていない?」

「いや、疲れてない。むしろ楽しいくらいだ」

「では、お母さんがその本の講座をしてあげましょう」

 そう言う母の声は優しかった。疲れているだろうにそれを全く感じない。

「この世界の魔法を使う領域には10つの領域があるのは知っている?」

「魂・物質に関係する視覚、聴覚、触覚、読解、接続がある。そして魂領域——視覚、物質——視覚は別のものである。だよね?」

 俺は目をキラキラさせた。

「えぇ、この魂医療学は主に接続疾患を治療する者に向けた本なの。」

「接続疾患?」

「接続疾患は生まれた感情や意欲が肉体へ十分伝わらなくて喜びや達成感、動きたいという気持ちが弱くなったり、悲しみや不安だけが過剰に感じてしまうような病気なの。」

「それは……大変だね」

「そうね、そして私は魂領域——接続の魔法使いよ。難しい症例も多いけれど、治せる患者さんはたくさんいるわ。でも、私が接続の魔法使いだからお父さんと結婚できたのよ」

 その後は父とのなれそめがメインになってしまったので省こう。

「今度、診療所へ来なさい。リシア。そこでみて勉強するのもいいと思うの」

「わかった、明日、行くよ。」

 この出来事により、父と母の俺への対応が変わることになるとは思わなかったリシア——10歳だった。

あとがき


ここまで『魂式の魔法使い』を読んでくださり、本当にありがとうございました。

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