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さくらのはな  作者: 日縒 千夜
春は出会いと花見酒
15/59

15. 作戦会議


 ――新月。

 夜空に輝く星とは逆に、月の光を失った地上は闇が支配する。

 一寸先は闇。そんなことわざがあるが、まさに目の前に闇が広がっている。そんな夜だった。


 そんな日に、真琴は雄太の通っている高校へと訪れていた。

 学生が帰り、静まり返った校舎。闇夜に紛れる様にひっそりと建つそれは、言い様の無い不気味さがあった。

 暗い校舎を歩く……のは怖い為、目的となる場所へ直接窓から入った真琴は、そこにいた者達を見て安堵の表情を浮かべた。


「遅くなりました」

「いいのよ! 真琴ちゃんは昼間頑張ってくれたんだから」


 暗い校舎の中、唯一明かりの付けられた部屋――職員室の一画。その喫茶スペースを陣取っているのは、前に真琴の葬式に来ていた面々だ。室内には、体育教師と思われる体格の良い教師もいるが、こちらに気付く様子も無い。

 今回、集まった理由はただ一つ。柏木雄太を虐めていた者に、報復をしようというのだ。


 真琴の言葉に答えた片桐が、「ね?」と周りを見回すと、隣の藤井が頷いていた。他にも、この前は見なかった顔が数名いるが、片桐が声を掛けた精鋭達なのだろう。


「そっれにしても! アイツがそんなくだらねぇ事してるとは思わなかった。今回は我が弟ながらほとほと呆れたわ」

「弟?」

「この子は主犯格の子のお姉さんで、眞弓(まゆみ)ちゃん。今回の事を知って、自ら手を挙げてくれたのよ」


 片桐の説明に、真琴はその少女を見た。姉というだけあって、未だ大学生程の年に見える。金色に染められた髪に、じゃらじゃらと付けられたピアス。俗に言うヤンキーの様に見えるが、話を聞く限り筋の通った娘のようだ。今も、弟の愚行に拳を震わせている。


「ターゲットは四人。本当は見てただけの子達も許せないけど、これが最低ラインね」

「四人? 虐めてた子は三人だったんじゃ?」

「担任もよ。大人の癖に、知ってて見過ごしたのだから同罪よ!」


 生きていた頃は、PTAをした事もあったという片桐が熱く語る。怒りにより大量に放出された霊気に、同じ部屋にいた教師は寒気を感じた様で身を震わせた。

 良い意味でも悪い意味でも、猪突猛進型の片桐。彼女により、担当が割り振られる事となった。


夜の学校って怖いですよね。

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