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職業リア充の異世界無双。  作者: すみを。
第二章 アマルーナ編
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敗北と絶望。

「一応参考までに聞いておきたいんだが、どうして俺だと思った?仮定にしちゃぁこのイノマ様が犯人だと確信していたように聞こえたんだが?」


そう言ってイノマは木から飛び降り、目の前に着地する。


こちらを見てヘラヘラと笑うその顔からは、ばれても問題ないという余裕が伺えた。


「その前に1ついいか?」


「なんだ?質問に質問で返すたーいい度胸してんじゃ----」

「いつまでイノマの振りをしているつもりだ?団長さん?」


その瞬間、初めてイノマ、いや、団長の表情から笑みが消える。


「へー、その事にも気づいてやがったのか、スライム(笑)君?」


そう言って団長はイノマの変装をとく。


「やっと本性を見せたな。いや、これももしかしたら偽物の仮面かもしれないけどな。それで、本物のイノマはどこだ?」


「さあな、今頃はどこかで眠ってるかもな」


「ちょ、ちょっと待って!どういうことなの!?芝崎君!」


川口が混乱した様子で俺に聞いてくる。


「川口は不思議に思わなかったか?

転移直後に面白いくらい魔物がわかなかった理由。

そして、図ったように突然出てきた騎士団。

ここから導き出せる答えは簡単だ」


「…騎士団の人が私達の周りの魔物を全部狩っていたってこと?」


「正解だ。

つまり、あの時いたイノマも、団長も同じ目的を持っていたってことだ。

まあ、同一人物だって言ったのは完全にハッタリをかけただけなんだけどな。

そして、そんな真似が出来るのは俺達が森のあの場所に転移することが分かっており、なおかつ俺達の中に『コンパス』の支給品を持っているやつがいると知っている人物だ。

そうだろ?オミスの部下さん?」


俺が問いかける。

果たしてその答えは-----


「ははは、なかなか面白い推理だなぁ!

だが、それだけだとまだ足りねえな。そこからはどう推理する?」


俺は思いがけない返答に戸惑いながらも答える。


「そ、それからは魔物使いが出ていかなければならない状況を作って、俺達だけを森に向かわせれば」


「はい、そこがおかしい。さっき言ったことと矛盾が生じてるじゃねえか」


「矛盾?」


俺は言ったことを思い出すが思い当たる節はない。


「お前、さっき言ってたよな?

『川口を見ていたのではなく、その手を見ていたのだとしたら辻褄が合う』って。

てことはお前は俺の狙いが指輪だと思ってるわけだろ?」


そう言って団長は川口の指輪を指さす。


「ああ」


「だが、お前は今、『魔物使いが出ていかなければならない状況を作る』と言った。

今回は偶然その女がお前について行ったから良かったが、本来ならお前しか城を出ないはず。

それだったら俺は指輪を手に入れることは出来ない。違うか?」


「そ、それは……」


悔しいが団長の言う通りだ。


もしも川口が城に残っていたとしたら、勇者の強さを知っているはずの団長は手を出すことが出来ない。


そんな抜け目のある作戦を神であるオミスの部下が考えるとは思えなかった。


「ということで、ここまで考えることの出来たスライム(笑)君に大サービス!特別に答え合わせをしてやろう」


だからこそ、俺は自分から作戦を教えようとする目の前の男の意図が余計に分からなかった。


「何のつもりだ?」


「そう警戒すんなって。これから殺す相手だが、一応俺はお前のことを気に入ったんだぜ?死ぬ前に答えを教えてやろうと思えるくらいにはな」


そう言って団長は再度ヘラヘラ笑う。

既に余裕は取り戻したようだった。


「まず1つ目。

俺の狙いがその指輪かって話だ。

これに関しては答えは〇だ。

支給品の中で唯一その指輪だけが効果が分かっていないからだ」


ちょっと待てよ、なぜオミスの部下のくせに支給品の効果を分かってないんだ?


もしかして俺は根本的な勘違いをしているんじゃ……


「2つ目。

俺の上に立つ人物がいるかって話だが、今回の件については俺の独断だから上はいない。

よって答えは〇だ」


俺が頭を整理する前に団長はどんどんと答え合わせをしていく。


「そして3つ目。俺がオミスの部下だと言ったな?

ぶっぶー、答えは✕だ」


「なっ!?」


そして俺はその言葉を聞いて衝撃に包まれた。


「俺からしたら何故俺があんな老いぼれの部下だと思われたのかが理解出来ねえがな。大方、異世界転移や支給品の事を知っているのがオミスだけだとでも思ったんだろう?」


俺は言葉を返せない。

全て団長の言う通りだったからだ。


「そもそも、もしオミスがこの計画を実行したとして、あいつに何の利益がある?自分が連れてきた異世界人を自分で殺そうとするなんぞ、自分で自分の首を締めるようなもんじゃねえか」


俺は言い返せない。


「てことで答えだ。

当たり前の話だが、オミス以外にも神はいる。

どの神とは言わねえが、俺はその神の幹部さ。もちろん神ならお前らのことは知っているさ」


衝撃の話の連続に頭の整理が追いついていない。


だが1つだけ分かったことはある。


「……俺が、読み間違えたってことか?」


「まあ、そういうことだな!

惜しいところまでは行ったんだけどな。

ただの人間でここまで考えれるヤツは珍しいから凄いと思うぜ」


この男が言うと皮肉に聞こえる。

実際、俺はこの男との勝負に負けたようなものだしな。

勝負をしていたわけではないが、俺も少し推理とかには自信があったので敗北感はある。


「次に4つ目。

転移直後に周辺の魔物を狩ったかどうか、それは〇だが、何故そんなことをしたか分かるか?」


「…どういうことだ?」


「だってさ、支給品を奪いたいのなら転移直後を俺が殺せばいいし、それが出来ないのならスライムにでも殺させればいい。わざわざこんな面倒な計画を立ててまで竜に殺させようとしたのは何故だと思う?」


「それは……」


またしても俺の考えに穴があった。


「…考えて無かったな」


「まあそうだろうな。これはお前の本にも書いてないことだからな。

まず俺がお前らを直接殺さなかった理由だが、罪のない人間を殺すと特殊ジョブに『犯罪者』が追加される。俺はそれをつけたくなかったから、直々に殺すことはしなかった。当然、自分の眷属が殺ったとしても同じだ。

次にスライムに殺させなかった理由だが、それは簡単だ。スライムは自分から攻撃すると、その攻撃した部分を溶かしてしまう性質がある。万が一支給品が溶けちまったら困るからな。これは能力では無いから本には載っていないことだ」


何故本に載っていないことを男が知っているのか、何故こうも親切に教えてくれるのか、疑問に思うことは山ほどある。


「そして最後に5つ目。

さっき言ってた矛盾についてだ。

これは簡単な話、『偶然』その女がついて行ったのではなく、『必然的に』ついて行かせるようにすればいい。

そのために俺は、その女に『魅惑の魔法』を使ったのさ。お前を好きにさせるためのな!」


だが、その言葉を聞いた瞬間、俺は全ての希望が失われた様に感じた。

怒涛の展開ですが、ついてきていただけると嬉しいです!


話におかしな点があれば教えてくださいm(__)m


感想もよろしくおねがいします!

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