表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
満月鬼  作者: 安倍椿
15/15

移ろう時

朝日が三人を照らした。


そこには何もなくだた呆然とする三人しかいなかった。


すべてが終わったのにむなしかった。何もかもが灰色だった。


正頼は何も言わずその場を去った。


高次は泣き崩れた。


一識は空を見た。そして、こぶしを強く握り締めた。



数ヵ月後



帝を失った朝廷は亡き帝の唯一の娘を帝に置き、職を退いた左大臣に代わり、一識の父右大臣による摂政政治が始まった。


しかし、一識は父の元へはいなかった。


父が摂政に就任する日、一識は出家した。


一識はこの世界に嫌気がさし、隠居することにしたのだった。


そして、都から遠く遠く放れた地で余生を過ごすことにした。


高次は都に残り、皇族たちに楽を教えたり、宴で披露したりと政治には関わらなかった。


高次は国の現状をしるため旅をし、そして、現状のひどさに己のおろかさをしり、自分にで


きる限りの行いをしようと政治の場に出たのだか、右大臣から疎まれてしまったのである。


高次は自分のふがいなさを感じながら、時々は空を見て望を思い出すのだった。


そして、この国の行く末を不安に感じながら、ただただ笛を吹くしかなかった。


正頼は右大臣の元を離れ、望の菩提をひっそりと守りながら大宰府で暮らした。


望の前夫であるため、検非違使や参議たちの追及が厳しかったが、一識や高次、左大臣の助けにより難を逃れた。



すべては望のせいということで事件は終わったのだった。


そして、また都は平和を取り戻した。幸せに包まれたわけでもないが、差別や貧困、無用な搾取に苦しみながらも人々はまた日々の生活を取り戻した。


そして、いつしか満月鬼は人々の心から消え去り、望のことを思い出すのは三人の男たちだけしかいなくなった。


そうやって時は移ろっていくのだった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ