↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代の工場勤務だった俺、董卓に転生したので酒池肉林を楽しむつもりが、気づけば天下を統一していました  作者: 水原伊織


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/27

外伝 各支社CEOの日常と、遠き涼州への感謝

中華全土が「後漢グループ・ホールディングス」という前代未聞の持株会社体制に移行してから、1年の月日が流れていた。


かつて都で不眠不休の社内政治に追われ、激務で白目を剥いていた英雄たちは今、それぞれの支社で「CEO(最高経営責任者)」として忙しくも充実した日々を送っていた。


【魏支社(許昌オフィス)】

「いいか! 本日18時をもって『ノー残業デー』とする! 締め切り間際の決裁書類がある者は、今すぐ私のデスクに持ってこい! 爆速でハンコを押す!」


許昌に新設された魏支社の執務室。

CEOである曹操そうそうの声が朗々と響き渡っていた。


かつての目の下の酷いクマは綺麗に消え去り、その表情には経営者としての圧倒的なキレと自信が蘇っている。


「さすが曹操CEO! 決裁スピードが以前の朝廷の百倍速いッス!」

「現場の現場による現場のためのカイゼン! 働きやすさが違いますよ!」


部下の夏侯惇かこうとん荀彧じゅんいくたちが、感無量といった様子でテキパキと書類を処理していく。


かつては「前例がない」「万が一の責任は誰が取る」と突っぱねる老害官僚たちに胃を痛めていた曹操だったが、今は違う。董卓会長から「現場の判断で即断即決しろ」と全権を委任されたおかげで、インフラ整備も人員採用も思いのままだった。


「……ふぅ、本日分の業務終了だな」


定時の鐘が鳴ると同時に、曹操は高級な茶を一口すすり、遠い西の空――涼州の方角を仰ぎ見た。


「やはり、あの御方は偉大だった……。かつては『暴君』などと難癖をつけていた自分が恐ろしいよ。董卓会長の提示されたホールディングス構想がなければ、私は今頃、都のドロドロした足の引っ張り合いで潰れていたはずだ……」


曹操はデスクの引き出しから、大切に保管された一枚の竹簡を取り出した。

そこには董卓の手書きでこう記されている。


『カイゼンに終わりなし。現場の従業員を大切にな。 董卓』


「……ハッ、相変わらず金言ばかりだ。よーし、今夜は社員全員で福利厚生の焼き肉パーティと行くか!」


「「「おーっ!!」」」


【蜀支社(成都オフィス)】

一方、はるか南西の益州――蜀支社のオフィスでは、アットホームな熱気にあふれていた。


「兄者! 今日もエンジェル投資で引いた資金を使って、新しい用水路の工事を開始したぞ!」

「張飛、声を落とせ。CEOを『兄者』と呼ぶなと社内コンプラ研修で習っただろう。……で、本日の目標進捗率は?」


COO(最高執行責任者)の関羽と、現場監督の張飛が、活気あふれる声で報告してくる。

デスクに座るCEO・劉備りゅうびは、感極まったように目頭を押さえていた。


「うぅ……関羽、張飛……。昔は資本金もなくて、君たちにろくな給料も払えず、路頭に迷わせてばかりだったのに……」


「兄者、泣かないでくれよ! 全部、涼州の董卓会長のおかげじゃないか!」


「そうだぞ。無利子で莫大な事業資金を出資してくださり、経営ノウハウまで叩き込んでくださった。会長はまさに、我らスタートアップの恩人だ」


劉備は深くうなずき、胸ポケットから「後漢グループ株主優待券」を大事そうに取り出した。


「ああ……。会長は『アットホームな社風こそ君たちの強みだ』と言ってくださった。この蜀支社を、中華一社員に優しいホワイト企業にしてみせる! それが会長への一番の恩返しだ!」


「「応!!」」


【涼州グループ本社(会長室)】

その頃。

グループ全体の「最高顧問(会長)」として君臨する董卓はというと――。


「会長~、魏支社の曹操CEOと、蜀支社の劉備CEOから、今年度の業績報告と感謝の詰まった高級お中元(特産品)が届きましたわ~」


「おお、そうかそうか! あいつらも元気にやってるみたいだな!」


夕暮れの涼州。

広大な庭園の特等席で、俺は贅沢な羊肉に舌鼓を打ちながら、キンキンに冷えた果実酒を楽しんでいた。


「会長! 今日の治安パトロールも異常なしッス! 赤兎馬のオイル交換(蹄のメンテナンス)もバッチリッス!」


元気に報告してくる最高セキュリティ責任者・呂布。

両脇には、笑顔で酒を注いでくれる健康的で魅力的な涼州美女たち。


「よしよし、奉先もご苦労! さあ、今夜も定時退社で宴の始まりだ!」


「「「かんぱーい!!」」」


現場を優秀な若手に任せ、自分は最高顧問として適度なアドバイスと投資だけを行い、夜は健全な酒池肉林。


(1周目の死の恐怖を乗り越え、完璧な組織体制ホールディングスを構築した甲斐があったぜ……!)


満ち足りた風が、涼州の心地よい夜を吹き抜けていく。

叩き上げサラリーマン・董卓の「カイゼン」がもたらした平和は、これからも末永く続いていくのだった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。