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箱庭の進化 〜世界にダンジョンが現れた日〜  作者: 観測者
4章

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80/80

閑話、報告

六層で奴らを見つけた時、自分たちの運の良さに歓喜した。

高校生らしきガキが二人に端正な顔立ちの女。

ガキ二人は、ただのガキにしてはまともそうな装備をしている。

それに比べて女の方はフードがついたパーカーだ。

妙な異質さがあった。


女はフードをかぶっていてよく見えなかったが、売り飛ばせば良い金になるのは明らかだった。

売り飛ばす前に、自分たちも楽しめるかもしれない。

そんな邪心もあった。


七層行きの階段の前では問題を起こせない。

他の探索者の目もある。


パーティの一人が抑えきれずに声をかけた。

女は少しだけ反応してこっちを向いたが、男二人は完全に無視。

舐められていることに腹が立つ。


奴らはすぐに七層に降りて行った。

ダンジョンでバレないように殺してしまうのは簡単だ。

ダンジョンは広い。

その上、潜って帰って来ないものも少なくない。


しかし、誘拐は難しい。


ダンジョンから出るためには必ずゲートを通る。

ゲートの前には協会の人間がいる。


俺たちは、今日は早めに探索を中止し、協会で奴らが出てくるのを張っておくことにした。

今日の成果はポーション2本。

協会の買取には出さない。

今月のノルマにはまだ足りていない。


街中で幅を効かせるためには後ろ盾がいる。

大人は面倒臭い。


しばらく経った頃、ゲートから出てきたのは高校生の二人組だった。

女はどこに行った?ダンジョンに置いてきたのか?


どれもこれも、あいつらに口を開かせれば良いだけのこと。


協会から出た二人組の後ろを、距離を保ってついていく。

都合のいいことに、人通りの少ない道を通るようだ。


路地に入り、完全に人けが消えたところで、俺は奴らに声をかける。


これまでもこう言うことはあった。

探索者相手の人攫い。


ただ、今回は少し違った。


ただのガキじゃない。


俺たちの中で一番のアホが瞬殺された。

あいつはアホだが、それでも七層は超えている。


それでもこっちには後四人いる。


俺たちは気を引き締め、高校生二人を囲うように陣取った。

一斉に飛びかかった次の瞬間。

俺は持っていたナイフを落とされ、次の瞬間には地面に伏していた。


奴らは強かった。

もしかしたら梶さんと張り合うかもしれない。



ビルの一室。


「おい、お前ら!何があった」

ボロボロの服を着た俺たちのことを梶さんが見る。


「い、いえ、高く売れそうな女が居たんですが…」


俺たちは今日あったことを全て話す。


「そいつらがダンジョンから出てきた時、女はいなかったんだな?」


「は、はい」

梶さんの威圧感に他の四人は声が出なくなる。


梶さんは俺たちの高校の先輩。

高一の頃には高三を締めて、頭を張っていたらしい。


卒業後、この辺で急に幅を利かせ始めた新しい組、黒蛇會に入った。


組自体は薬、人身売買など、手広く行っている。

ダンジョン災害が起きた時は稼ぎ時だった。

店員のいない銀行を襲い、人を攫う。


災害の被害自体が多く、大きな問題になることもなかった。


この組にも後ろ盾として大きな組織があるらしいが、下っ端の俺たちが知ってることはない。


ダンジョンができてから、梶さんは一人で、組の誰よりも早く七層を攻略した。

以降、梶さんは探索に回る連中を束ねている。

俺たちは後輩として可愛がられ、おかげで七層を周れるぐらい強くしてもらった。


「七層周れるガキが三人。連れの女はダンジョンの中で消える。思ってる以上にでかい山になるかもしれねぇぞ」


そう言った梶さんは、少し考えてからスマホを取り出す。

俺たちに向ける顔とは違う。

真剣で少し緊張している顔。


「まだ上にあげるノルマが終わってねぇ、お前らはそれに集中しろ。その三人の見張りには、別のやつを動かす」


「で、でも、俺たちにもおこぼれ、ありますよね」

パーティでも頭が足りてないやつが梶さんに意見する。


「見つけたのはお前らだ、少しはやる」

梶さんはこういった機微をわかってくれる。


俺たちが梶さんの下につけたのは運が良かった。

これで、あのガキどもも終わりだ。


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