二十一話 ほねのこ ぼこぼこ ボス かんかん
骸骨達に一人で立ち向かうラビ。ダメージを覚悟しつつ戦いを始めようとしたら外から爆音が鳴り響いてきた。
爆音が異様な速さで村に近づいてくる。村に居る全てが音源に目を向けると黒い魔導車が猛スピードでこちらに近づいて来るのが見えてきた。
ボブが叫んだ。
「試作7号機改ちゃん?! 試作七号機改ちゃんじャァッ!」
窓からリュースケが顔を出してラビに叫ぶ。
「ラビさんッ!! 付与をッ!!」
「はアッ!!」
直ぐに幽霊干渉魔法を付与する。新手の敵を倒そうと魔導車に注意を向ける骸骨達、武器を大量に宙に浮かせて車目掛け射出する。
「しっかり捕まるヨっ!」
ボスが警告すると急ハンドルを切る。そのままスピンターンを行い車体へのダメージを分散させる。いくつかの武器が突き刺さるがそれを物ともせず回転しながらラビ達の方に進む。骸骨達が逃げるよりも先に車が骸骨達を轢き殺してラビの前で停車した。
車から千鳥足でリュースケとティラが下車し、そのままラビに倒れ込む。
「お二人とも大丈夫ですの?!『大丈夫だ……』『俺もです……それよりラビさんは?』正直助かりましたわ……援軍はもしかして……」
「ソウッ! ワタシが来たネッー!」
どや顔で下車するボス。ボスの姿を見た途端に骸骨達の殺気が膨れ上がる。涼しい顔でボスが骸骨達に言い放つ。
「久しぶりネ~~また会うなんテ……ビックリヨ!……また倒して差し上げますよ……」
骸骨達以上の殺気をあふれ出させるボス、恐怖で思わずラビに抱きつくリュースケ。完全にガチモードになったボスが指示を出す。
「ラビチームはレック氏に当たれ! 私が骸骨達全てを引き受ける! 村の方々は陣形の立て直しと防衛に専念を! 総員! 行動開始!」
ボスの号令に一同が動き出す。
まずボスの装備に干渉魔法を付与するラビ、そのままリュースケを抱えて移動する。後退した村人達に代わりレックと戦っているチームメンバーと合流を目指す二人。村人達は後退して負傷者の手当てや村長の拘束と陣形の立て直しを始める。
その様子を見届けたボスが殺気立つ骸骨達に言った。
「さっさと掛かってきなさい……雑魚風情が……」
ボスの挑発に残りの骸骨達全てが怒り、一斉に襲い掛かった。
チームメンバーと合流したリュースケ達はレックとの戦いを始めようとしていた。しかしラビが何かに気付き叫ぶ。
「ティラさん?! 後ろに下がって居て下さいまし! 危ねぇですわ!」
「一人くらいはでかいのが居ないとだめだ! それに娘の私がやらねぇで誰がやるんだ!」
そう言い終えるとティラは竜型に変身してレックに攻撃を始める。諦めたようにリュースケを下ろしラビが指示を出す。
「皆様! ティラさんに続きますわよ! リョウコさんは後方から魔法と牽制を! グレイさんも牽制を頼みますわ! 残りはワタクシに続いて下さいまし!」
早速行動を始める一行。リョウコがレックの目を狙い火炎魔法を放つ。視界が悪くなった隙に残りの面々がレックに接近した。
誰よりも速く駆けたグレイはレックの顔目掛けて爆弾を投擲する。爆弾はリョウコの火炎魔法に引火して顔周辺で爆発する。それは昼にラビが精製していた聖水の失敗品を結晶状にして爆弾に仕込んだ物だった。失敗品だからそこまでダメージは与えられないが、多少は効果はあったようで煙から現れたレックの顔には細かな傷が大量についていた。
思わぬダメージを眼球に負い、動きが鈍るレック。
その隙にティラは尾を振り払い、叩き付けて転ばせる。まだリュースケは追いついていないが残りのメンバーはレックの前に到着する。
そして動きを抑える為にレックの足の腱を集中して狙い始めた。しかし竜族なだけあり、皮膚が分厚く攻撃が腱に届かない。尾を叩き付けながら起き上がるレック。後ろに下がるラビチーム、ようやくリュースケも合流する。
再度レックに攻撃するティラは口から火炎魔法を放った。直撃して爆発が起こるがそれを物ともせずティラに体当たりを食らわせる。ティラも踏ん張りはしたが抑えられず後ろに吹き飛ばされてしまう。
「ティラさん!!『父ちゃんを!』分かったァァッ!」
完全には目が回復しておらず命中精度が落ちた肉体攻撃を続けるレック。
少しでも妨害をとリョウコが魔法を放ち、グレイが先程の爆弾攻撃を続ける。ラビチームは爆弾でひるんだその隙に攻撃を加えようとするが足音から位置を把握して的確に反撃をする。霊に対しては一撃必殺のスキルを持つリュースケといえどこれでは接触出来ない。
ラビチームが攻めあぐねている中でようやくティラも復帰し、一同は再攻撃を始める。しかし地竜の男達の大半でやっと動きを抑えられる実力の持ち主に対してティラとラビチームだけでは戦力が足りない。更に各自に疲労が蓄積されていることもあり、後ろの村人達に近付けさせないようにするので手一杯だった。
そんな中でラビは必死に頭を回転させて策を考え続けていた。
どうやったら動きを止められるか?
どうしたら確実にダメージを与えられるか?
一撃必殺ならリュースケだが簡単に近付けない。
全員に疲労が貯まり余り長くは持たない。
考え続けるラビ。
記憶の中からも必死に手がかりが無いか探す。
村長一味の手荒い歓迎、療養所跡地の襲撃、歓迎会、深夜の襲撃、たこ殴りしたことで真実を語る村長、再度の襲撃、本部に旅立つリュースケ達、戦いの準備、三回目の襲撃、改造魔道車で救援に来たボスとリュースケ達、現在。
閃いた。
この一件での記憶を全て思い返したラビは起死回生の策を考え着く。直ぐに各自に指示を出した。
「考えがあります! ワタクシとリュースケさんは一旦離脱して別行動を取ります! 皆様! 準備の為に足止めを頼みますわ! 『『『『了解!』』』』『頼んだぞ、ラビちゃん!』行きますわよリュースケさん!『はいっ!』」
駆け出す二人、残りの力を振り絞りレックに立ち向かうチームメンバーとティラ。リュースケとラビは後ろに居る村人達に協力してもらいつつ準備を始める。
残されたラビチームの面々。ライガーがユミルに指示を出した。
「ユミル! スキルを使ってくれ! リョウコは後方からの攻撃を継続!」
「分かったわ! 後は任せたわよ! ”バーサーカー”!」「任せて……」
ボブがティラに言う。
「ティラは後ろに下がれ! ユミルの巻き添いを食らいかねん!」
「一体何だ?!」
「ユミルのスキルはな、簡単に言うと目茶苦茶強くなる代わりに思考がすごく子供になるスキルなんじゃ! 辛うじて敵味方の判断はつくんじゃが……会って間もない、しかもあの竜と同じ見た目のお前さんが出てくれば混乱してお前さんを襲いかねん! はよう下がれ!」
「わ、分かった!」
子供のように得物の大剣をブンブン振り回しながらレックに襲い掛かるユミル。普段の彼女からはとても考えられない目茶苦茶な動きだった。とにかく彼女が攻撃しやすいようにレックの気を引くライガー、チャールズ、ボブ、グレイ。回避にやっとだった尾の振り払いを剣で受け止めるユミル、それだけでなく打ち返した。驚愕の表情のレックにユミルは言う。
「あなた! ちゅよいのね! わくわくしゅる!」
無邪気に笑いながら接近するユミル、異様さにドン引きつつ再度振り払い攻撃をするレック。それを打ち返すユミル、負けじと蹴りをするレック。両者一歩も引かずに激しい打ち合いを始める。
ライガーたちは援護しようにも打ち合いが激しすぎて近寄れない。リョウコがユミルに当たらないように魔法攻撃を続ける。いつまでも打ち合いが続くことやリョウコの攻撃に苛立ったレックは後ろに下がり、周囲の瓦礫を浮かせてユミル目掛け発射してきた。
迫るそれを叩き切り続けるユミル、その隙に噛みつき攻撃を仕掛けるレック。ユミルはキャッキャと笑いながらジャンプして頭に飛び乗り頭をかち割ろうとする。しかしレックは頭を大きく上に振り上げることでユミルを上に打ち上げた。
「たか~い!」
大喜びのユミル、彼女の真下にジャンプし大きく口を開けるレック。
焦ったグレイがリョウコに言う。
「ユミル!? リョウコッ!」「”ハイストーム”!」
グレイはリョウコの魔法に乗り、ユミルの救助に向かう。
「間に合えぇぇぇぇっっ!」
グレイはフック付の縄を投げてユミルを回収、更にレックの口の中に残り少ない爆弾を全て放り込んだ。それが口内で爆発し悶えながら落下するレック。ユミルとグレイはライガー達に受け止められる。
痛みに顔をゆがませながら起き上がるレック、ライガー達を鋭く睨み付けながら駆け出した。ライガー達も自分の得物を構える。第二ラウンドが始まった。
一方、指示を出した後のボスは一体、また一体と骸骨達を静かに粉砕していく。
戦い方はラビと同じく肉弾戦ではあるが少し種類が違った。
放った拳や蹴りが相手に当たった瞬間に魔法を炸裂させて物理攻撃と魔法攻撃を同時に食らわせている。手足のゴツい鎧に魔法杖の仕組みが組み込めれているからこそできる戦闘スタイルだった。遠くの敵には手や足から風魔法を発動し推力にすることで異常な速さで近づき攻撃を叩き込んでいく。
どんどんと数を減らす骸骨達、逃げようとするもボスが先回りして攻撃してきて逃げられない。
ボスがあきれたように言う。
「情けないですね……まだ生きてた頃の方がもう少し強かったですよ? まあ生きてた頃のあなた方でも私に敵いませんでしたが……あぁ~イライラしますね……戦後にまた遭うなんて思いもしなかった……復活した事を後悔させてあげますよ」
怒りを募らせるボス、その足を骸骨達に進める。最早やけくそ気味に襲い掛かる骸骨達、ボスは素早い攻撃の連打で迎え撃ち残りわずかとなった。
村人達と打ち合わせを終えたラビはこっそりとチームメンバーに合流して作戦のための指示を出す。それを終えると再度後ろに下がり作戦を始めた。
焼き肉喰いてェ……
次回は三日後同時刻の予定です。
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