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薄明を告げる鐘の音  作者: 桐谷瑞香
番外編 日常の穏やかなひと時
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幸せの再来 (300字SS)

 白い小さな花が一面咲き誇る景色を見る度に、この世にはいない兄のことを思い出す。


 兄とスズランの花畑を何回か見に来ていた。

 私が好んだのもあるが、兄も好きそうな感じであった。


 今、兄はいないが、兄以上に大切な青年と出会った。

 様々な事件をくぐり抜け、想いを伝えあった人。

 この景色を見る度に私は涙ぐんでしまうが、彼はそれをすべて受け入れてくれた。


「……もう少し見ていってもいい?」

「気が済むまで付き合うって、いつも言っているだろう。きっとお兄さんも思い出してくれて、嬉しいさ」


 不意にそんなことを言うから、目から涙が零れてしまう。

 そっと拭ってから、しばらく二人で手を握りしめながら、眺めていた。



2024年1月、第13回 毎月300字小説企画参加作品。お題『白』。

本編終了後、テレーズ視点でのマチアスとのお話。スズランを前にして。


これにて番外編は更新終了です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

皆様にとって、少しでも楽しい時間をお送りできたのなら幸いです。

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