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薄明を告げる鐘の音  作者: 桐谷瑞香
番外編 日常の穏やかなひと時
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55/60

圧巻の光景 (300字SS)

 夜、仕事がひと段落した後、彼女に呼ばれて屋上にあがった。そこには一人の女性が、手すりにもたれかかっていた。

 彼女は振り返ると、目を丸くし、夜空に指をさした。


「ほら、流れ星!」


 つられて振り返ると、星々が次々と夜空を駆け抜けていくのが視界に入った。瞬きする隙すら与えぬほど、大量の星の軌跡。

 圧巻――そう言葉にするのが適当な光景だった。


「今日は流星群が来る日って、世間は騒いでいたのよ。仕事にのめり込んでいたから、知らなかったでしょう?」


 否定はしない。今が大切な時期だ、この都市をさらに発展させるには――。

 彼女が俺の額に指を当てた、


「たまには息抜きしよう?」


 その笑顔は俺の心の焦りを流していった。

2022年8月、第90回Twitter300字SS参加作品。お題『流れる』。

本編終了後、マチアス視点のテレーズとのお話。

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