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スポーツテストで追いかけっこです

「前にも言ったが、今日はスポーツテストをする」

朝のホームルームで、神奈子が俺たちに話す。

学校行事の1つであるスポーツテスト、もちろんこの幻想郷学園でも行われる。

「今日高等部がスポーツテストを行い、明日は初等部と中等部が行うのだが、私たちはスポーツテストの手伝いをしなければならん。よって、明日高等部は自習となる」

「いよっし・・・!」

神奈子の言葉に真がガッツポーズをした。

「・・・しかし、お前たちを除いてだ」

神奈子は俺たち生徒を見る。

俺たちを除いてと言うことは、高2は何かすることがあるのだろうか。

「お前たちは明日、先生方と共にスポーツテストの手伝いをしてもらう」

『えぇ!?』

神奈子の言葉に生徒たちから声が漏れた。

「仕方ないだろ?高等部2年がスポーツテストの手伝いをするのがこの学園の決まりだからな」

そういえば昨年、先輩たちも面倒だと不満を口にしていたような気がする。

「まずどこからするかは体育委員が決めてくれ。後は任せた」

そう言うと神奈子は教室を出て行った。



神奈子の指示通り体育委員が動き始める。

「俺たち男子は先に身体測定をするからな」

体育委員は男女に1人ずつおり、男子代表の流が俺と真に指示を出す。

この学園はスポーツテストと一緒に身体測定も行なっているのだ。

「了解」

「ちぇー、女子と一緒じゃないのか」

「当たり前だ。行くぞ」

俺たちは保健室に着き、身長測定を始めた。

「え~とぉ・・・岳君は165.7cmね」

保健室の先生である西行寺(さいぎょうじ) 幽々(ゆゆこ)が言った数値を、流が記録帳に書き込んでいく。

ピンク色の髪に水色の着物を着た幽々子は温和な性格で色っぽい見た目から、生徒たちの癒しになっている。

実際、霊夢や早苗などの女関係に関して問題が起こると、俺は癒しを求めて保健室に来ることがある。

「やばい・・・0.1cmしか伸びてない・・・」

「真君、168.2cm」

「よし!1cm伸びたぜ!」

「マジかよ!?良いなぁ」

また真との身長差が広がってしまった。

「流君172.4cm。岳君、メモしておいて~」

「はい」

俺は流の身長を記録した。

去年よりも背が伸びている。

流との差もさらに広がってしまった。



身体測定が終わった俺たちはスポーツテストを始めた。

種目は50m走、ソフトボール投げ、走り幅跳び等といたって普通のスポーツテストと変わらない。

しかし、唯一この学園にしかないものもある。

それは弾幕測定だ。

人間や妖怪の中で使える者だけがこれを行い、弾幕の威力を計測するらしい。

さらに、これ以外で人間と妖怪で力の差が出るようなものは、その種目の間だけ先生たちによる力を制御する結界が張られている。

しかし、それだけだと一部の生徒が持つ強すぎる力までは抑制できないらしく、購買を担当しているにとりが作ったさらに力を抑制するリストバンドを着用することになっている。

これで、人間と妖怪に差が出なくなった。

これも人間と妖怪が共存するために必要なことらしい。

俺たちは外で行う種目、体育館内の種目と順に進み全ての種目を終えると、流を残し教室に戻る。

「なぁ、岳」

俺と真の2人で戻っていると真が口を開いた。

「どうした?」

「あれ見たことあるか?」

「あれってなんだよ」

「弾幕測定」

「いや、見たことないな」

「だろ?だから見に行こーぜ?弾幕撃てる奴ってそんな多くないしな!」

実際撃てる生徒は、高等部では同級生、後輩を含めて20人程しかいない。

「でも、見れるのか?確か紫先生が結界を張って、その中で計測してるんだろ?」

「俺に任せとけ!」

真はグッと親指を立てた。



俺と真は体育館に入った。

体育館では反復横跳びや上体起こし、長座体前屈、握力、選択者にもよるが、20mシャトルランを測定している。

ちなみに俺や真は持久走を選択したのでシャトルランはしていない。

弾幕測定は体育館のステージ側で行っていた。

赤紫色の幕のようなもので覆ってあり、おそらくその中で測定しているはずだ。

この幕が結界なのだろう。

「で、どうやって入るんだ?」

「そりゃまあ、紫に頼むしかないだろ」

真がそう言った直後、後ろの空間が裂け、真の頭にげんこつが放たれた。

「って~!!」

真は頭を押さえながらその場にしゃがみ込んだ。

「先生を呼び捨てにする悪い子は誰かしら?」

声のする方を見ると、金髪ロングで中華風の導師服を着た女性が裂けた空間から上半身を乗り出し真を睨んでいた。

彼女は八雲(やくも) (ゆかり)、幻想郷学園を設立した主な教師の1人である。

真はBBAと言うことがあるが、その言葉とは程遠く、可憐な女性のように見える。

ただ、1000年以上も生きているらしく、真がBBAと言うのはそのためだろう。

「あたた・・・B・・・じゃなかった。紫先生、俺たちに弾幕測定するとこ見せてくれないすか?」

「ん?あら、岳じゃない!スポーツテストは終わったのかしら?」

「あ・・・はい。終わりました」

ぎこちなく答えたのには訳があった。

俺は紫が苦手なのである。

紫曰くスキマと言う空間を裂き好きな所に移動することが出来るらしいのだが、これで俺は何度も被害を受けた。

弁当のおかずや弁当そのものを取られたり、1番驚いたのはトイレに入って用を足している時、目の前に紫の顔があったことだ。

紫曰く、反応が面白いからつい弄りたくなってしまうとのことらしいのだが、正直困る。

「先生!俺たち弾幕測定を見てみたいんですよ。だから入れてください!」

「嫌よ」

紫はそう言うと、スキマの中へ戻っていった。

真がその後を追ってスキマの中に入ろうとしたが、それより早くスキマは閉じてしまった。

「くそっ!このままじゃ来た意味がなくなる!岳!お前も何か言ってやってくれ!」

俺はため息をすると、口を開いた。

「美人で綺麗な紫先生、どうか弾幕測定を見せて頂けませんか?」

「そんなんで入れてくれたら苦労し」

突然真の声が聞こえなくなった。

理由は目の前のスキマから現れた紫が、俺の襟を掴んでスキマに引きずり込んだからだ。

「痛っ!」

唐突に手を離された俺は床に倒れこんだ。

どうやら紫が俺を結界の中へと入れたらしい。

どうして結界の中にいるのがわかったのかと言うと、倒れた俺を霊夢と魔理沙が見下ろしていたからだ。

「何でここにいるの?」

「あぁ、真と俺で弾幕測定の様子が見たいって紫先生に頼んだんだよ」

俺は立ち上がりながら霊夢に説明した。

しかし、あんな言葉で入れてくれるとは・・・

「真は・・・居ないか」

「今結界の外で土下座してるわね・・・」

紫が外の様子を見ながら呆れたように言う。

「ま、先生に対する言葉使いも知らないような悪い生徒を入れるわけにはいかないわね。さぁ、測定を再開するわよ。まだ終わってない生徒は並びなさい。岳はいい子だから見学を許可してあげたけど、くれぐれも邪魔しちゃダメよ?」

「わかりました」

俺は見られない真の分も弾幕測定を見ることにした。



弾幕測定が終わり、俺は霊夢たちと共に教室へと戻った。

「で、どうだった?」

教室の席に座りながら真は俺に話しかける。

「想像と違ったな。綺麗だったよ」

弾幕測定の時見た弾幕はとても綺麗なものだった。

「霊夢や早苗はすっげえ張り切ってたんだぜ」

「は!?そんな訳ないでしょ!?私はいつも通りだったじゃない!」

「俺も見たかったなぁ!畜生!あのクソBBA!」

そう言うのと同時に、真の後ろに現れたスキマから手が出てきて後頭部を殴り飛ばした。

あまりにも強烈だったのか、真は机を巻き込みながら前のめりに倒れた。

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