魔王様。俺様卒業
俺様(笑)
「何浮かない顔してんだ兄貴。」
いつもの玉座に腰掛ける俺様に弟が歩み寄ってくる。
珍しい、心配してくれてるのだろうか。と少し暖かい気持ちになると弟はため息をついた。
「部屋が陰気になるから、やめろ」
今の気持ちを是非とも返して欲しい。弟の口から放たれた言葉は氷のように俺様に突き刺さる。
「またあの僧侶か」
なんだかんだいって、いつも相談にのってくれるのが俺様の弟のいいところだ。
「…まぁ、な。よく分からなくてだな…どうすればいいんだ。俺様は」
「…」
一つため息をつく。こんな弟だが、自然と話すことが出来る。いい弟を持ったな。
ふと弟のほうに目をやると、なんだか凄く嫌そうな顔を此方に向けていた。
「な、なんだ。」
「いやぁ…なんというか、はじめにその一人称を直してみては?魔王様」
弟は小馬鹿にしたように言う。いつもそうだ、こいつが“魔王様”と言う時は俺様を馬鹿にしてる時だ。
でもまぁ、アドバイスをくれているようだし受け取ってやらんこともない。決してこいつのためでは……
「その。俺様って一人称、ダサいよ」
「えっ……」
弟が無表情に投げた言葉に俺様は固まる。
「いかにも魔王らしくて格好いいとか思ってるのか?」
弟は首を傾げる。悪意のない、寧ろ俺様の為を思って言っているという表情だ。
「ま、魔王は俺様と言うものではないのか……?」
少し震えた声で問う。弟は呆れたように溜息をついた。
「さぁ。知らないけど、俺様はダサいよ、変えな」
ああ…弟に否定されるのは慣れてしまっていたけれど、一人称すら否定されるとは、屈辱というか素直に悲しい。そして、その一人称をずっと使ってきた事を思うと恥ずかしくなってくる。
「な、何にすればいいんだ…」
力のない小さな声で問うと、弟は驚いた顔をした。
「ま、まぁ、ここは普通に俺だろ。」
「俺……か……。」
考えるような仕草で唸る。
「意外に素直だな」
「…っ‼︎あ、いや、これは、別に、」
顔を赤くし手を左右に激しく降る。その様子を見て弟がぷっと吹き出す。
「なっ、わ、笑うなっ!!」
俺は頬を抑え若干涙目になりながら自室に駆け込んだ。
(なんでいつも兄貴の相談にのってんだ)
「まあ、応援してないわけじゃないんだがな…」
小さく呟き、弟も自室に戻っていった。
弟も大概ツンデレ
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