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魔王様が恋をしました  作者: 藍哀 蒼碧
II : そのころ勇者様は…
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勇者様。頑張る

いやはや。

人通りが少なく、暗い路地。

建物と建物の間に狭い道がある。その道を塞ぐように、少し紫がかった黒いローブに身を包んだ細身の人が立っていた。フードを深く被っていて口から上が見えない為、性別を特定するのは難しい。

勇者は鞄から通常のトランプ程の大きさのカードを取り出した。このカードは裏商店街の会員証。つまり、ローブの人物が塞いでいる道の奥が裏商店街だ。勇者はローブの人物に近づきそのカードを見せる。


「あいことば。」


そのカードを見たローブの人物は、小さな声でそう呟いく。勇者はローブの人物に身長を合わせる為、少し屈みローブの人物の耳元に顔を寄せた。しばらくしてローブの人物は頷き、道を開ける。勇者達は狭く暗い道の奥へ入って行った。


建物は古くさく、商店街の賑やかさなど欠片もない。しかし店は全部見て回るには一日じゃ足りないと、思うくらいに多い。勇者達は目当ての店へ真っ直ぐと向った。



からんからん


勇者は入り口の上に斧がぶら下がっている店の扉を開ける。それに気付き、剣の手入れをしていた女性が顔を上げた。勇者だとわかるとにっこり笑う。


「イラッシャイ。勇者御一行」


女性は勇者達に笑いかけると手に持っていた剣を置く。そしてカウンターに肘をついた。


「アタラシイ装備も入荷したから、チャント見て行ってね」


女性は楽しそうに、ニヤリと笑う。


魔法書、見たことのない形をした武器、強そうな防具、怪しい薬。色々なものが並ぶこの店に勇者達はよく来る。そこらへんの店で買うより、裏商店街の方が強いものが揃ってたりするからだ。


『ボクこれがいぃー』


ふと魔法使いは勇者から離れ綺麗なローブと魔法書を手に取る。ローブは光を受け、紫色に光っていた。


『な、なんだ、そのカッコいいローブ…』

『魔法使い専用だよぉ』


そんな呑気な話をしながら勇者達は自分の能力に合う、気に入った装備を買った。

女性に軽く御礼を言うと、勇者達はその店を後にする。



『じゃあ、とりあえず。レベル上げしていきますか』

次の日、勇者達は宿屋にいた。皆が準備をする中、上の空な僧侶が気になったのか勇者が声をかける。


『どうした』


僧侶は二回ほど瞬きをすると勇者の方を見た。


『いえ。何も』


僧侶は表情一つ変えず勇者に返す。少しの間、勇者の目を真っ直ぐに見てから何も言わず準備を始めた。


(あの魔王は…いい人、なんじゃないか?)


あの時見せた、優しさなのか皮肉なのかわからない行動。それは人の心や感情を知らない僧侶には難しい問題だった。


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