第130話 初めてのベッド
荷ほどきとベッドの組み立てが終わり、一段落。朝から慌ただしかった家族にやっと落ち着きが見えて来た。
「ありがとうございます。渚沙、ベッドができましたよ~」
セレスが渚沙をベッドに寝かせる。すると、渚沙の表情がくしゃりと歪んだ。
「あ~!」
「あらあら、ベッドは嫌ですか?」
「あ~!」
まるで同意するかのように泣き声を上げる渚沙。
その様子が微笑ましく、思わず口角が上がるが、流石にセレスも疲れてきているだろう。
「俺が抱っこしてみるよ」
代わりに俺が抱っこしてみると、渚沙は泣き止みはしたが、まだちょっと不機嫌な様子。
「一説には赤ちゃんは嗅覚で母親を認識しているだとか。お父さんの匂いもいいけれど、やっぱりお母さんの匂いの方がいいのかもしれないわね」
「そうなんだ!セレスさん、なにか匂いが付いている物とかないの?」
「匂いですか?そうですね……とりあえずこれなんてどうでしょう?」
そう言ってセレスは自分が来ていた上着を脱いで渚沙の下に敷いた。
すると渚沙は顔に寄った皺を緩ませ、またすやすやと寝息を立て始めた。
「よかった寝てくれた」
渚沙が寝てもやることはたくさんある。渚沙に関係する行政書類などを確認しなければ。
保険証に母子手帳、近くの小児科の診察券。必要な物は一通りそろっているので問題は無さそうだ。
「次の検診は年明けか、少しはゆっくりできそうだな」
「渚沙がいる生活に慣れないとですね」
「そうだな」
すやすやと眠る渚沙を見ながらそう思いに耽る。
「なにか私達に手伝えることはありませんか?」
「ありがとうございます、二人とも。今のところは大丈夫です。ですが、今後確実に手を借りることになりますから、その時はよろしくお願いしますね?」
「分かりました、お母様」
渚沙の様子を見ながら思いついたことを調べる。それを幾度か繰り返していると、先ほどまで眠っていた渚沙が泣き声を上げる。
「うあ~!」
「どうした?渚沙」
「多分おしめかと、さっきご飯を食べましたし」
嗅覚に集中すると確かに臭う。早速おむつを取り替える。
「……ちゃんと男の子だな」
「なにいっているんですか?風邪を引いてしまいますから、早くやってあげてください」
おむつを取り替えてあげると、また気持ちよさそうに寝る渚沙。
これを三時間おきに一回か、頑張ろう。そう覚悟を決める俺であった。
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