港町ボルフェアとハスメのホットサンド
まだ冒険者ギルドに入れない
扉を抜けるとそこは船の上だった・・・・・・。
とりあえず周りを見てみるとどうやらここは港に向かう船の甲板通路のようだ。
進行方向にある港にはたくさんの人が行き交っているが見え、止まっている船は半分が帆船で半分が外輪船(だったかな?)遠くには白亜の城がかすかに見えた。
周りには同じような扉が有りそこから出てくるのは似た感じの服装をした人たちだった。
この人たちはおそらくプレイヤーなんだろうな~と思いつつ後ろを振り返るとベットと机のある部屋がある。
とりあえず部屋の中に入りメニューを出して持ち物の確認をしてみることにした。
『ショートソード』
片手でも扱いやすい初心者向けの片手剣
ATK+7 耐久∞
『単発式片手銃』
初心者でも手入れがしやすい片手銃
構造は簡単だが装填と弾薬の交換は手動でしなければならない
DEX+10 装填数1 耐久100/100
『冒険者の服』
厚手の布で作られた上下セットの服
DEF+3
『革の胸当て』
左胸とわき腹を保護する鞣した革で作られた軽鎧
DEF+5
『革の靴』
鞣した革で作られた靴
DEF+2 AGI+1
『片手銃用通常弾』×30
片手銃に使用できる銃弾
使用後は薬莢(素材)が残る
ATK15
『召喚石(未)』
未契約の召喚石
『初心者用ポーション』×5
冒険を始めたばかりの初心者向けのポージョン
あまりおいしくない
HPを10%回復
所為金1500MG
「そういえば確か召喚は冒険者ギルドでクエストを受けないといけなかったな、あとは弾はレシピは初期であるの確認できたけど素材はどこで手に入るんだろう?火薬はギルドに行けばいいのか?」
インベントリから銃と弾を1つを取り出してみてどんなものかと確認してみると、
単発式なので装填数は1発となっておりどうやら撃った後は薬莢を手動で出さないといけないみたいだ、両手を使わないと銃弾の入れ替えだできない構造だし牽制で使うにも難しいかもしれない。
「今のままだと戦闘中に銃弾を装填するの難しいかもしれない」
それに弾丸のレシピには薬莢も必要になってるみたいだし薬莢は使い回しができるってことか?
それとも薬莢には耐久度があるのか?
銃は装備するとDEXが上がるみたいで弾丸の方にATKが付いている、βテストのほうでは銃はATKが上がったとあったけどこれって正式版になった際の変更ってことか?
あと銃弾の表記も+がなくて数字だけってことはステータスに依存しない威力になるのか?
「まあ、今は単発式だけどマガジンとかリボルバー式の物も後からできるはず、というかガトリングのスキルもあるからできないわけないよな」
さてそろそろ甲板の方が騒がしくなってきたようだしそろそろ港につく頃かな?
ここは港町ボルフェア
最初に訪れる町の一つでブラムベルズ王国の中で貿易の拠点となっている港町である。
ちなみにプレイヤーが最初に訪れる町の1つで近くに海に面した水洞窟と大きな港ある港町ボルフェア、
もう一つが鉱山と隣接している港町ツォルフェア、どちらの町から始まるかは最初のスキルで特定のスキルを持っていると固定され、それ以外はランダムで始まるとのことだ。
町の特徴としてはボルフェアは木材や毛皮などが入手しやすいが鉱石系は入手しにくい逆にツォルフェアでは鉱石系や重火器、魔導鎧のパーツなどを手に入れやすいが木材や毛皮などが入手しにくいいため一長一短だ。
ある程度クエストなどを進めれば連絡船を使って行き来したり徒歩で行くことも可能である。
ボルフェアとツォルフェアのちょうど中間地点にルスターヌという町があるので一緒にプレイしたいが最初の町が違う場合などそこを待ち合わせの場所にする人も多いらしい。
召喚術の契約をするクエストが今のところボルフェアでのみ確認されているせいか初期スキルで召喚を持っていると確定でボルフェアから始まり、魔導鎧のスキルを持っていれば確定でツォルフェアから始まる
船が港に着いたので他のプレイヤー達と一緒に降りるてみると船の上で見たより人の数が多い。
それだけではなく船からの荷を降ろし馬車に乗せるNPCたちもいて慌ただしく動いているのが見える。
しかし右を見ても人、人、人、左を見ても人、人、人、正面を見ても人、人、人、たまに人の波をかき分けて逆に歩いてくるのもいるのでなかなか身動きがとりづらい。
とりあえず町の中に入りさえすれば自由に動けるようになるはずなんだが・・・。
人の波に流されるように港を離れ街中についた・・・・・・がここはどこだ?
なんとか人の波の中から脇道に出ることはできたのでほっと一息つき改めて通りを見てみるが目の前の人の波は途切れてない。
「これで予約とかでも購入できないとか言ってたのかよ」
配信開始直後の一斉ログインのせいだと思うが、
「多すぎるだろ、これ」
途切れることもなく流れていく人を見ていると、
「よお、アンちゃんそんなとこでぼおっとしてないで何か買って行かないか?焼き立てだぞ」
声をかけられ振りかえってみると道沿いにある屋台からガタイの良い海の男風のおっちゃんがこっちを見ていた。
「アンちゃんさっきの船から降りてきた冒険者だろ」
「ああ、さっき港についた船から降りてきたんだが思った以上に人がいるもんでびっくりしてるよ」
とりあえずこのまま人の波に流されながら冒険者ギルドとか探すのは無理そうだ。
何を売っているか気になるし屋台のほうに近づくことにした。
「俺たちも驚いてるところさ、数日前に冒険者たちが大勢来るって話があって準備してたりしてたんだが、まさかこんなに大勢で来るとは思ってもなかったぜ」
「なんだかすみません、こんなに大勢の人が一度に来てしまって」
屋台に近づいて話してみるとどうやら焼いた魚をパンで挟んだものを売っているようだ。
「どうだい?アンちゃんこいつを買わないか?1つ10MGだ、うまいぞ」
「へ~、それじゃあ一つもらおうかな、ところでこれはボルフェアの名物?」
「おう、港町ボルフェアの特産ハスメを使ったホットサンドはここの名物さ、熱いからきおつけるんだぞ」
屋台のおっちゃんから商品を受け取って食べてみるとどうやら表面を焼いたパンでハスメという白身魚と
レタスそっくりな野菜を挟んだホットサンドのようだ。
さすがに『鑑定』のスキルはもっていないのでハスメという魚のことはよくわからないが特産というだけあってかなりおいしい。
「へ~、特産だけあってこのハスメって魚おいしいんだな」
「おうよ、俺が朝一で海から取ってきて焼いてるんだからうまいに決まってるだろ」
なかなかおいしかったので後で食べようと思いもう2つ買うことにした。
それからこの町や冒険者ギルドの話を聞いてみるといろいろと教えてもらえた。
大通りから少し離れた宿がサービスが安くて良い宿だとか、最近森の奥から来る魔獣などが増えて街道沿いで見かけるようになったとか、町から出て海岸沿いに進むとボルフェア水洞窟というのがあってそこは夕方だけ太陽光が洞窟内を照らして絶景になるといった雑談を話し続けていると、
「だいぶ冒険者たちが町の中央に入って行ったみたいだな」
その言葉でとおりの方を振り向いてみると人の流れがまばらになっていた。
「ごちそうさまでした。さてそろそろ冒険者ギルドに行ってみます」
「また来てくれよな、アンちゃんなかなか面白いやつみたいだしな」
「また、ハスメのホットサンド食べに来ますよ」
お土産に買ったホットサンドをインベントリにしまいながら冒険者ギルドに向かうことにした。
「そういえばオッチャンの名前聞いてなかったけど、大丈夫だろう。だいたい同じ場所で屋台やってるって言ってたしまた会えるだろうし」