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第十五話 夢の設計図③

子供達はみんなアレクの前に集まって座った。

「ねえねえ早く!」

「お話聞きたいよぅ!」

みんなワクワクしながら待っている。

「よし、じゃあ始めるぞ!」


 アレクは台本を開いた。


「それじゃあ簡単にあらすじを説明するから!」

子供達は真剣な眼差しでアレクの方を見る。


「モンタージュー家のロミオとキャピュレットー家のジュリエットは家が敵対していた。ある時、仮面舞踏会でロミオとジュリエットは出会い恋に落ちた。

だけど2人の家は仲が悪い。2人は秘密でお互出会って話しそして愛し合った。そして2人は秘密に結婚したんだ!

だけど ロミオがジュリエットのいとこティボルトを殺してしまって追放されるんだ。

ジュリエットは別の男性と結婚させられそうになる。

そこで ロレンス神父が飲んだら仮死状態になる薬を持ってきてジュリエットに秘密の提案をするんだ。

この薬を飲んで死んだことにして、2人で駆け落ちするという計画。

だけどそのことを知らせる手紙がロミオに届かなかったんだ!

ジュリエットが本当に死んでしまったと思って ロミオは悲しみ自殺してしまう。

そこで ジュリエットが目が覚めて ロミオが死んでしまったことにショックを受けて後を追って自殺してしまう。

2人が死んでしまったことを知った家族たちはお互い仲直りをするんだ」


子供達は黙ったままだった。


「それじゃあ、二人とも死んじゃうの?かわいそう」

初めに口を開いたのはピィだった。

「なあアレクー。この台本って脚色するんだっけ?」

とジャック。

「ああ、その予定だ。この話ならば有名だから知ってる人が多いし、アレンジしたらアレンジしたで面白がって分かってもらえると思う」

「じゃあ、ハッピーエンドにしようよ!」

とピィ。

「私も、ハッピーエンドがいいな」

デイジーも言う。


「分かった!みんなどんな風な内容にしたいか意見を言ってくれ!」

アレクは鉛筆とチラシの紙を出した。

「じゃあさ!いっぱい持って帰ってきたサーベルで戦うシーン入れてくれよ!」

「じゃあ、やっぱりカリブの海賊やりたい」

とダリアが言った。

「あのね、僕は持って帰ってきたピエロの帽子かぶりたいな」

とアルが言う。

「僕も僕も!猫ちゃんのカチューシャかぶりたい」

「じゃあ私はお姫様!」

クリスとピィが口々に話す。


「ピィはセリフ覚えられないだろ……」

コールが呆れたようにそう言った。

「頑張るもん!」

「そうは言ってもなあー。まだアルファベットも読めないんだし」

「ピィ、ちゃんと頑張るもん!」

ピィは拗ねた表情をする。


「じゃあさ!ピィは歌うのが得意だろう?セリフはちょっと少なめで歌うシーンを入れよう!」

アレク がそう言うとピィは途端に表情を輝かせた。

「うん!ピィお歌、歌う」


 アレクはみんなの要望をメモして行く。

カリブの海賊がいて、サーベルで戦うシーンがあって、ピィは歌を歌う役、アルはピエロの帽子をかぶって出てきて、最後はハッピーエンド。


「そうだなぁ……舞台はカリブの港町、ロミオとジュリエットの家はお互いに商人でライバル同士、ピィは酒場の歌姫 なんてどうだろう?

ジュリエットを海賊たちが誘拐してロミオが助け出して最後はみんなでハッピーエンドとかどうかな?

実はジュリエットと海賊のダリアが友達だったので 一芝居打って 誘拐 劇をしたっていう設定で、みんなどうかな?

うーん、それからどうしよう……

そうだ!アル、ピエロの格好で解説役とかしてくれないか?

クリスは猫の格好でロミオと仲良しの猫とかどうかな?」


「さんせいー!」

「面白そう!」

「やろう!やろう!」


子供達は次々と口を揃えてそう言った。

「じゃあみんな、アレンジした台本を考えるまでちょっと待っててくれよな!」

アレクは屈託のない笑顔で笑う。


「頼んだぜ、座長!」

ジャックがそう言った。


「……はぁ!?座長?」


子供達は全員 アレクの方を見ている。

「まあお前が言い出したから、お前が座長が適任なんじゃないか」

「……コールまで!」

アレクは若干引きずった表情でコールの方を見た。

「じゃあアレクが座長がいいと思う人!」

そう言ってダリアが手をあげる。

「はーい、はい!はい、はい、はーい!」

ピィが立ち上がって、ぴょんぴょん跳ねながらそう言った。

「賛成!アレクが適任じゃないか」

とエース。

「僕も、アレクが座長なのがいいな」

アルはにこにこ笑いながらそう答える。

「私も!」

「ボクも」

デイジーとクリスが次々に手を挙げた。


「……ぇえ!?」

困惑するアレクに、コールはポンと肩を叩いた。

「諦めろ!満場一致だ」

「マジかよ!」

アレクは頭をポリポリと搔く。

「分かった!じゃあ俺、頑張るから」

アレクがそう答えるとピィは万歳をして喜ぶ。

クリスやデイジーたちは拍手をし始め、ジャックは口笛を吹いた。


「ピィお歌頑張るね!」

「僕も、ピエロの解説役頑張るよ」

「じゃあ俺は、サーベルをピカピカに磨いておく!」

「ちょっと、みんな気が早いんじゃない?アレクの台本ができたからじゃないとお芝居の練習できないわよ!」

「そうね、明日はテントの材料を取りに資材屋さんのお手伝いでしょ。みんな早く寝ましょう」

「えー、興奮して寝れないに決まってるだろ!」

「ジャック、あなたは早く寝ないと!明日も牛乳配達はあるんでしょ」

「えー、そうだけど!」


子供達は口々に喋って大騒ぎをしている。

その様子を見て、アイリスは微笑んだ。

明日はみんなにお弁当作ってあげないと。きっと力仕事になるからいっぱい食べたいはず。


 夜みんなが寝静まる時間、アレクは1人台本を読み直しセリフを考えていた。

シェイクスピアの物語はとても有名だから、セリフを引用して キャラクターの名前と衣装を合わせればアレンジしてもそれだとわかるはずだ。だけど、どうアレンジしよう……


「お前、いい加減寝ろよ。明日は忙しいんだぞ」

コールにそう言われて、アレクはランプの明かりを消した。


――翌日――

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