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第3章 [21]

 

 ―――――


「それで、アベル先生方はいつまで王都に?」


 夕食を終えると5人はラウンジに移動し、食後のお茶を振舞いながらソフィアナが言った。


「私達は明日、あさってと王城内で会議やら集会やらに出席して、その後は丸一日お休みをいただいて、その次ぐ日に王都を発つ予定です。」


「最後の一日は土産物なんかを見て回る予定ッス。あ、それでソフィアナお嬢様にちょっとお聞きしたいんですけど、今王都で女の子達に流行っているものって何ですか?クロムの街で働いてる女の子にあげたいんですけど。」


「あら、それは良いですわね!…あ、それならば。髪を結う紐など、いかがでしょうか?王都では今刺繍を散りばめた結紐が年齢問わず流行っておりまして、値段も様々ですわ。髪を結うだけではなくて色々と使えますし。」


「それは良いですね!どこへ行けば買えますかね?」


「服屋さんや布屋さん、雑貨屋さんでも置いて有りますわよ。少々高級なものなら服の仕立て屋さんに行くと良いですわね。」


 ソフィアナとアベル、デニスの3人は王都の街の話に花を咲かせている。


 そんな3人からは少し離れた位置で、サティアナとカーティスの2人は少し声を潜めてサティアナの修行について語り合っていた。


「サティ、修行はどうだい?そろそろ霊気も様になってくる頃だろう?」


「はい、霊気を練るのは少し慣れてきました。いまはそれを維持するのに苦労しています。」


「うん、良い傾向だな。それを聞いて安心した。」


「叔父上はどれくらいで霊力を手に出来たのですか?私はまだ霊力と言えるものは持ててない気がするのですが…。」


「霊力か…。まあどんなに頑張っても半年はかかると言われているな。日々の訓練によって段々出来ていくものだからな。…急がず、焦らず、これ大事だ。俺も半年はかかったよ。でもなサティ、一番大事なのはその後だ。」


「あと?」


「ああ。霊力を手にしたら、次はその解放速度をなるべく上げることだ。普通は霊力を手にすると、次は技に行きたくなるだろう?」


「そうですね!自分の技を磨くこと!」


「そうだ。でもな、その前にやらなくちゃいけないのが、技を出すまでの時間をなるべく短くすることだ。霊気を練り上げる速さ、練り上げた霊気を霊力にする速さだ。その速度は魔物を相手にする時に発揮される。」


「ああ…あの時叔父上は手袋を外してからすぐに技を出してましたもんね…。」


「ん?…ああ、あの時か。そうだな。俺は手袋を外す間に霊力を解放させると言う目標を持って修行したからな。大体あれくらいで霊力を出す事は出来る。逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「なるほど…。確かにそうですね。魔物は待ってくれませんものね。」


「隙を見せたら殺られる様な敵と対峙する場合、一番必要になってくる技術だと俺は思ってる。」


「心得ました。叔父上のご助言、しっかりと実行させていただくことにします!」


「おう。しっかり励むんだぞ。コツは、切り替えをしっかりすることだ。」


「切り替えとは?」


「霊気を練る準備、霊気を練り上げたあと、それを霊力として解放する瞬間。その一つ一つの段階をしっかり切り替えることだ。ダラダラやってたら時間がいつまでもかかるからな。それぞの段階に境界を設けるのは、時間短縮の面でも精神的な面でもとても有益だと思う。」


「わかりました。いまお話しくだされたこと、意識してやってみます!」


「おう、その気概で頑張れ。焦らずな。」


 サティアナの方にポンと手を乗せて笑顔を送ると、そろそろお暇しようと部下達に声をかけるカーティスであった。



 ―――――――――



 次の日、めざめの神殿。

 修行前に再度、サティアナは昨晩カーティスから言われた事を思い返す。



(私も何か…手袋を外す間に霊気を練るとか、そういうのやってみよう。ま、でも今は。練った霊気を維持しながら大きくて綺麗な塊に出来る様に!)



 一方、やるべき事が決まったサティアナの横には未だ不安を払拭できずにいるシャルロッテの姿があった。

 彼女は普段から表情があまり変わらないので、周りにも気づかれないが、めざめの神殿での修行では毎回苦労していた。

 今までそういった苦労をほとんどしたことがない王女は、表向きは問題ないと言う様な表情をしていても、裏では上手く打開策を見つける事が出来ずにいた。


 幼い頃から刷り込まれた教育により、最も高貴な身分ゆえ誰かに教えを請うことも上手く出来ないでいた。


 誰かに命令するならば簡単であっただろう。しかしこのめざめの神殿において、それは絶対にしてはならないと己に決めていた。

 その結果、袋小路に入り込み、人知れず苦しんでいたのだった。

 教師の二人もそんなシャルロッテに近づこうとはするが、シャルロッテがなかなか心の扉を開けられないでいたので中に踏み込む事が出来ずにいた。

 王家の者とそれに従う者。逆になった立場は、鎖の様に彼らを縛るのであった。



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