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セルフ・イントロダクション5

 「過剰な期待はよしたほうがいいな、学生時代は苦労したからいまはマイペースみたいな人もいるだろう。まあ、いろいろ話してみるといい。彼らは彼らなりに苦労しているからな。おまえなんか大企業での出世争いなんて興味ないだろ、でも彼らにとっては切実な問題さ。そういう配慮をすることを忘れてはいけない。おまえはいつも自分が世界の中心みたいなところがあるから気をつけたほうがいい。みんな見えないところで苦労しているものだ。だから相手の立場も考えてあげる必要があるってものさ」

 「ランチ行列しているみたいですけど」

 「鳴くまで待とうホトトギスよ」

 「はじめから試練があるんですね」

 「人生には壁が必要よ、まあ、待ったぶんだけよろこびも大きいっていうだろ」

 「そんなもんですかね」




 「こんにちは、相変わらずきれいだね、千優ちゃん」

 「あっ、きょうハンカチもってくるの忘れたから、嫌な予感したんだ」

 「悪寒(おかん)じゃなくてうれしいよ」

 「相変わらず口が減らないのね、正儀という悪党!」

 「なにそのいいぐさ、人がせっかく就職が決まったから顔を出したのに」

 「だって、この間のこと彼に話したらキツクいわれたから。マスコミの連中は生活が派手だって、女はダマすし」

 「ひどい偏見だなぁ、彼だってマスコミじゃないか。確かにきれいな女の人はよく見るから目は肥えているけど、ダマしゃしないよ。君は聞きそびれているようだからもう一度いうけど、FMクリエイトの社員に決まったんだ」

 「この間の夜にひどい夢を見たから、あなたは私の目のまえに現れると思った。私に話しかけないでください」

 「そんなにバリケードを敷かないでよ、僕は話がしたいだけなんだ」

 「だけど、初対面の人と食事を一緒にしたことを彼が驚いていたわ。ナンパされるなんて君らしくないって」

 「僕はお腹がすいていただけなのに」

 「そうよ、あなたひとりで食事をすればよかったのよ、私もうかつだったわ」

 「OK、仕事の邪魔はしないよ、こんど機嫌がいいときに声をかける」

 「私、機嫌がよくならないと思う」

 「じゃあ、彼に早く指輪をもらうんだな、それなら僕と話せるだろ、つまらない女だ」

 「私の勝手でしょ、迷惑なんだから」

 「とことんかわいくない女だな」

 「私の視界に入らないでくれる」

 「店の前を通らなきゃ会社にけないんだ」

 「あっちから遠回りすればいいじゃない」

 「わけのわからないことをいう女だな、まっすぐ歩けば10歩ですむのに、なぜ迂回しなきゃいけないんだ」

 「私はとにかくあなたを見たくないの」

 「よくわかったよ、じゃあな……、まったく手がつけられないな」


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