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魔晶石の守護者、試される覚悟

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(……あれは発動させるわけにはいかないっ!)


俺は、魔法使いタイプの守護者を睨みつけ、全身の魔力をさらに高めた。その時


――俺の右腕に宿る深紅の炎が、周囲の魔力を喰らうかのように、さらに激しく、そして禍々しいまでにその輝きを増した。それは、もはや単なる炎の塊ではない。極限まで圧縮され、高速で振動する、純粋な破壊エネルギーの奔流へと変貌しようとしていた。革手袋が、その強大な魔力に耐えきれず、ミシミシと悲鳴を上げ始めている。


「――炎よ、穿て! 終焉のエンド・ソーン!」


俺は、そう叫ぶと同時に、右腕から、レーザー光線のように鋭く、そして細く絞られた深紅の炎の槍を、数条同時に放った。それは、魔法使いタイプの守護者が掲げる杖の先端――闇のエネルギーが収束している宝珠――と、その魔力を供給しているであろう両手の関節部分を、寸分の狂いもなく正確に狙っていた。

師匠の古文書にあった、古代エルヴンの「魔力脈破壊マナ・ヴェイン・ブレイク」の術理を、俺なりに、より破壊的に応用したものだ。


シュババババッ!


深紅の炎の槍は、守護者の魔法障壁を紙のように貫き、目標へと到達した。杖の宝珠は甲高い音を立てて砕け散り、両手の関節部は溶解し、魔力の供給が完全に遮断される。詠唱途中だった広範囲破壊魔法は、行き場を失った闇のエネルギーが暴走寸前で霧散し、周囲に衝撃波だけを残して消滅した。


「グゴゴゴゴッ……!?」


魔法を阻止された魔法使いタイプの守護者は、苦悶の機械音のようなものを上げ、大きく体勢を崩す。その赤い目が、信じられないといったように激しく明滅した。俺は、その隙を見逃さなかった。


爆炎連破フレア・バースト・ラッシュ!」


足元で連続的な爆裂を起こし、一瞬でその懐に飛び込むと、炎を纏った拳と蹴りの連打を、無防備になったその胴体に叩き込んだ! 一撃ごとに、守護者の白銀の装甲が砕け散り、内部の魔力回路がショートする火花が散る。そして、最後の一撃と共に、魔法使いタイプの守護者は、大きな音を立ててその場に崩れ落ち、完全に沈黙した。


「リオン君……!」


エリアーナが、息を呑んで俺の戦いを見つめている。


残るは、弓兵タイプの一体。そいつは、他の守護者が倒れたのを見て後方へと距離をとりながら、矢継ぎ早に魔力の矢を放ってきた。


「逃がすか!」


俺は、その矢を全て爆裂加速で回避し、一直線に弓兵へと迫る。弓兵は、最後の抵抗とばかりに、最大出力の矢を俺に向けて放ってきたが、俺はそれを深紅の炎の盾で受け止め、そのままの勢いで弓兵の身体に炎の盾を叩きつけた。


ドガァァァン!!


弓兵タイプの守護者もまた、炎に包まれ、吹き飛んでいく。そして、壁に激突し、動かなくなった。


そして、アストリッド教官。彼女もまた、俺が他の守護者たちを圧倒している間に、戦斧タイプの守護者との激しい攻防に終止符を打っていた。彼女の長剣が、守護者の首元を正確に貫き、その動きを完全に止めていたのだ。その額には汗が光り、肩で息をしているものの、その佇まいは王国最強と謳われた魔法剣士のそれだった。


ついに、四体の白銀の守護者全てが、沈黙した。


広間には、破壊された守護者の残骸と、焦げ付くような魔力の匂い、そして、俺たち五人の荒い息遣いだけが残されていた。死闘を乗り越えた安堵と、極度の疲労感が、一気に押し寄せてくる。


「はぁ……はぁ……。や、やった……のか……?」


フィンが、その場にへたり込みながら、信じられないといった表情で呟く。ロイも、壁に寄りかかり、荒い息を整えていた。


エリアーナは、俺の元へ駆け寄ってきた。その瞳には、涙が浮かんでいる。

「リオン君……! ありがとう……! あなたがいなければ、私たちは……本当に……!」

彼女は、言葉にならない感謝と、そして俺の無事を喜ぶ気持ちで、胸がいっぱいになっているようだった。その真っ直ぐな瞳に見つめられると、俺も少しだけ、照れくさいような、そして温かい気持ちになる。


「……アッシュフォード」


アストリッド教官が、剣を鞘に収めながら、俺に近づいてきた。その表情は、疲労の色こそ見せているものの、厳しく、そしてどこか複雑な光を宿していた。

「……君は、一体どこで、これほどの戦闘技術と、あの規格外の炎魔法を習得したのだ? あの動き、あの魔力制御……はっきり言って私よりも遥か高みにいる。君は、一体何者なんだ?」


彼女の問いは、当然のものだろう。俺は、もはや言い逃れのできない状況に追い込まれていた。だが、俺が何かを答える前に、広間の中央に鎮座する、巨大な魔晶石が、突如として、これまで以上の強い輝きを放ち始めたのだ。


ゴゴゴゴゴ……。


地響きと共に、魔晶石の周囲の床がゆっくりと沈み込み、そこには、地下へと続く螺旋階段が現れた。そして、魔晶石そのものからも、まるで俺たちを誘うかのように、柔らかな光の道が、その階段の先へと伸びている。


「これは……!」


俺たちは、息を呑んでその光景を見つめた。この魔晶石は、単なる動力源ではなかったのだ。それは、この遺跡の、さらに奥深くへと続く道を開くための、鍵でもあったのかもしれない。


そして、その道の先に、俺が探し求めている「師匠の手がかり」や、俺自身の力の謎を解く鍵が、眠っているのだろうか。


アストリッド教官は、俺への追及を一時中断し、その新たに現れた通路を、鋭い視線で見据えている。彼女の胸中にも、新たな期待と、そして警戒が渦巻いていることだろう。


俺はその光り輝く魔晶石と、その奥へと続く未知の道を見つめた。

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