69.こっちだよ
「7時半か。マリーの初心者講習は、朝の混みあう時間が過ぎたあとだったな…。9時過ぎでいいか」
軽快な俺は、時計を確認して呟いた。洗面化粧台を用意する。
「ピカピカだな。これは朝から気持ちいい」
感動な俺は、ピカピカな洗面化粧台を確認しながら呟いた。歯磨きを行う。
「こっちもピカピカだ」
ピカピカな俺は、ピカピカな歯を確認しながら呟いた。洗顔して髪を整える。
「服は、このままでいいな。あとは金を持って…」
爽快な俺は、身なりを整えたあとに部屋を見回しながら呟いた。ポケットに違和感を覚える。そして、
「あっ、入れっぱなしだった」
うっかりした。
「金は大丈夫だよな?」
冷静な俺は、財布の革袋をポケットから取り出して疑問に呟いた。中身を確認する。
「大丈夫だ」
安堵な俺は、頬を緩めて呟いた。革袋をポケットに仕舞う。
「よし。それじゃあ、屋台の飯を食いに行こう」
期待な俺は、心を弾ませて呟いた。一階のサリーの下に向かう。
「サリーさん。鍵を頼む」
「はい。行ってらっしゃい」
「行ってきます」
平穏な俺は、カギを差し出して話した。鍵を受け取るサリーは、笑みを見せて話した。歓喜な俺も、同様にして話した。宿を出発する。路地から西大通りに出る。朝日を浴びている街並と人々の健やかな光景を目にする。
「こっちの世界の朝は、ゆっくりしてるな」
新鮮な俺は、頬を緩めてゆとりがあると呟いた。
『ガラガラガラ』
「朝から馬車が目の前を通り過ぎるなんて、なんか贅沢だよな~」
右側から車輪の音が届いた。感激な俺は、思わず前方を通過して行く馬車を見送りながらにやけ顔で呟いていた。朝の光景をにやけ顔で眺めつつムーン・ツリーへとゆっくり向かう。環状通りに到着する。
「あれがサリーの言ってた屋台か。冒険者もそれなりにいるな」
高揚な俺は、程よい数の屋台と冒険者を確認して呟いた。
「屋台を見たらまた腹が減ってきた。情報収集は今度だな」
空腹な俺は、思わず腹を擦りながら呟いていた。環状通りを渡る。石畳の広場に到着し、背の低い看板を発見する。その下に移動する。
「ムーン・ツリー広場か。そのまんまの名前だな」
「「お兄ちゃん」」
平穏な俺は、木製で暖かみのある看板を確認して捻りが無いと呟いた。背後から2人の女性の声が聞こえた。
「ん? 俺のことか?」
困惑な俺は、声が近いと上半身を背後に捻りながら疑問に呟いた。誰も見当たらない。
「「こっちだよ」」
足下から2人の女性の声が届いた。慎重な俺は、体を背後に向けて足元を確認する。ワクワクした表情で膝を抱えてしゃがんでいる2人の女性を発見する。
右側の女性は、髪の毛が明るいオレンジ色。可愛らしい顔立ちで鼻にインディアンペイントのような山なりで白色の化粧がある。左側の女性は、髪の毛が前髪のみ三角形に白色で他の部分が黒色。美人な顔立ちをしている。2人とも村人風な服装。
「「やっと見つけた!」」
「うわっ!」
歓喜な様子の2人の女性は、俺に飛び付きながら強く話した。想定外な俺は、思わず左足を後方に引いて声を強く上げていた。飛び付いた2人の女性は、両腕と両足を俺の首と腰に器用に巻き付ける。俺をきつく抱きしめ、頬擦りを俺の頬に開始する。時折、俺の頬をペロペロと舐める。
「どうしてこうなった?」
混乱な俺は、思わず何処かを見つめて疑問に呟いていた。夢中な様子の2人の女性は、しばしそれらを続ける。放心な俺は、思わずくすぐったいとぞぞ毛を立ててしまう。両腕を緩める2人の女性は、俺を歓喜の笑顔で見つめる。
「かっ、かっ、顔が………、近過ぎるのと痒い」
複雑な俺は、思わず2人の女性の顔を確認しながら顔を拭きたいと話していた。瞳の色の違いに気付く。
「なんて奇麗な瞳だ」
不思議と安堵な俺は、思わず2人の瞳に魅入られて宇宙を見ているようだと呟いていた。可愛らしい女性の瞳は、アメジストのような神秘的な紫色。美人な女性の瞳は、トパーズのような力強い黄色。
「ここまで、本当によく頑張ったね」
「これからは、ずっと一緒だよ」
涙ぐむ美人な女性は、優しく話した。同様な様子の可愛らしい女性は、明るく話した。慈愛な様子の2人の女性は、再び俺をきつく抱きしめる。そして、
『『ぐう~~~』』
「あっ、お腹鳴っちゃった」
「私も…」
可愛らしい女性と美人な女性は、うっかりしたようだ。
「はっ。ちょっ、ちょっと待て!」
理解な俺は、正気を取り戻したと強く話した。両腕を2人の女性との間にねじ捻じ入れて押し放す。
「「にゃんっ!」」
「にゃんっ?!」
押し放された2人の女性は、俺の右太腿を踏み台にして空高くジャンプすると同時に声を強く上げた。再び混乱な俺は、思わず2人の女性を見上げると同時に声を疑問に強く復唱していた。
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