22.3倍のスピードを超える
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予定調和な俺は、視線をオルバスに向ける。体を俺に向けるオルバスは、ファイアボールを無詠唱で三連射する。三つ火球が俺に偏差射撃の軌道で飛来する。
(まずは2倍だ!)
好奇心な俺は、頬を緩めて強く思考した。視線を前方に向ける。走る速度を前傾姿勢で2倍へと引き上げる。赤色のオーラが後方にたなびく。
『ブオ ブオ ブオォォォ』
俺の背後を通過する三つの火球から轟音が届いた。
(体に違和感はない!)
実感な俺は、思わず笑みを浮かべて強く思考していた。視線をオルバスに向ける。
「はっは! 走り抜けたか! 言うだけのことはある!」
表情を醜く崩すオルバスは、挑発の態度を見せて声を上げた。冷静な俺は、視線をオルバスの向こう側のアウラに移す。
(準備できたな?)
慎重な俺は、確認を取るような目付きで尋ねるように思考した。アウラは首を縦に振る。
「今度はどうだ!」
目を見開くオルバスは、ゲームを楽しむかのようなふてぶてしい大声を上げた。左腕を素早く伸ばしながら手の平を見せてファイアボールを無詠唱で六連射する。六つ火球が俺に偏差射撃の軌道で飛来する。
(本気だ!)
本番な俺は、笑みを浮かべて強く思考した。直ちに剣を逆手持ちにする。剣を地面に力強く突き刺すと同時に体を反転しながら急停止し、急発進しつつ剣を引き抜いて飛来する火球の左側を弧を描くように走り抜ける。剣を順手持ちに戻してオルバスを鋭く見つめる。
(3倍のスピード!)
本気な俺は、奥歯を噛み締めて強く思考した。走る速度をより前傾姿勢で3倍へと引き上げる。赤いオーラが後方に尾を引くようにたなびく。
「フッ」
爽快な俺は、ニヤリと鼻を鳴らした。オルバスから約7メートル手前で剣を振り上げる。
「間合いが甘いわ!」
勝利を確信したかのような醜い笑みを浮かべるオルバスは、左腕を素早く戻すと同時に右腕を伸ばしながら手の平を見せて強く声を上げた。一瞬にして直径6メールほどの逆巻く火球が俺の前方に出現する。
(盾は最強!)
冷静な俺は、盾を前方に構えて剣を下げながら強く思考した。速度を維持して火球内部に突き進む。
『ゴオォォォ』
逆巻く火球から轟音が届いた。同時に盾から金色の粒子が溢れ出す。粒子は俺の全身を包むようにしながら後方へと流れる。
「馬鹿め! 血迷ったか!」
轟音の中でオルバスの有頂天な声が届いた。
(自分を信じろ!)
勇敢な俺は、盾をきつく握り締めて強く思考した。左足を地面に力強く着地する。盾を左側に振るうと同時に折り曲げる右足を重心と共に前方に運ぶ。火球は引き裂かれるようにして拡散する。
「貴様! なぜ無事だ!?」
(3倍を超える!)
驚愕な様子のオルバスは、疑問に強く声を上げた。超本気な俺は、左足を踏み切りながら強く思考した。困惑な様子のオルバスは、両腕を前方でクロスしようとする。
「遅い!」
「グウエッ!」
超越な俺は、右足をサイドキックのように伸ばして声を上げた。3倍のスピードを超えるサイドキックがみぞおちに突き刺さるオルバスは、体をくの字にしながら唾液を吐き散らしつつ醜い声を大きく漏らした。後方へと吹き飛ぶ。
「やれ!」
【グリック!】
冷静な俺は、直ちに声を上げた。左側からアウラの魔法を放つ声が届いた。吹き飛ぶオルバスの周囲にピカピカと複数の小さな爆発のような閃光が発生する。閃光はオルバスの全身を円形に包み込む。
『ドゴォォォン!!!』
「ギャアァァァ!!!」
閃光は広がると同時に爆音を上げた。オルバスは引き裂かれる様子で断末魔のような悲鳴を轟かせた。閃光は地上から半円状に広がり留まる。俺とアウラは顔を見合わせる。
「余裕だな!」
「当然よ!」
満足な俺は、サムズアップしながら強く話した。得意気な様子のアウラは、腕組しつつ強く話した。
(そう言えば、さっきのグリックって知らない魔法だったな。天才か)
感動な俺は、アウラを見つめて妄想は絶好調と思考した。腕を下ろすアウラは、リラックスし始める。
(名残惜しいが、そろそろ帰るか。あまり長く妄想してるとマリーに変人扱いされそうだしな)
「おのれ~!!」
愉快な俺は、まともな人間だと思考した。突如、オルバスの奇声のような大声が届いた。リラックスな俺とアウラは体をびくつかせる。体を閃光に向ける。閃光の中に立つオルバスの体は欠損している。
「うそ!? まだ生きてるの!?」
杖を胸元に両手で構えるアウラは、前のめりで疑問に強く声を上げた。唖然な俺は、右手で頭部を掻く。
「はあ~。認めたくないものだな。自分自身の天才ゆえの過ちというものを」
困惑な俺は、思わず肩を落として呟いていた。首を左右に振る。
「仕方ない」
冷静な俺は、強引に妄想を解除しようと呟いた。姿勢を戻す。
「おいおい! いくら天才の俺でも、これ以上の妄想はタイムオーバーだ! 変人扱いされる!」
「もっ、妄想!?」
平静な俺は、一歩踏み出して閃光の中のオルバスに強く話した。小さく肩を跳ねるアウラは、顔をこちらに向けながら疑問に強く声を上げた。
「貴様らの顔は忘れんぞ! 忘れんぞおぉぉぉ!!!」
挑発の姿勢を見せるオルバスは、全身を灰のように崩しながら声を轟かせた。やがて全てが灰のようにして閃光と共に消滅する。
「ふう、ようやく消えたか。あとは余分なものは残ってないよな」
安堵な俺は、リラックスして呟いた。周囲を見回す。
「はあ、びっくりしたわ」
脱力するアウラは、杖を下ろして呟いた。右手を口元に当てる。
「でもおかしいわね。なんで悪魔が現れたのかしら? ルーティもめちゃくちゃ強いし…」
困惑な様子のアウラは、首を傾けて呟いた。俺に歩み寄る。
「あなた、よく無事だったわね?」
「当然だ。足は飾りじゃないからな」
俺をじっと見つめるすアウラは、首を傾けて疑問に尋ねた。得意な俺は、顔を戦場痕に向けて腕組しながら仁王立ちして返事を戻した。
「あっ、そうだったわ。左手…」
「足があるからこそ、3倍を超えられるんだからな」
声を漏らすアウラは、視線を移しながら呟いていた。納得な俺は、誇らしげにして話した。
「ねえあなた、さっきから何を一人でブツブツ言ってるの?」
「うん、うん」
困惑な様子のアウラは、顔をしかめて疑問に尋ねた。余韻な俺は、二度頷きながら声を漏らした。
「まあいいわ。ところで、なんでここに居るのよ?」
「おかしなことを言うな。そんなの3倍を超えてるからに決まってるだろ」
「はあ?」
開き直るかのようなアウラは、再び首を傾けて疑問に尋ねた。唖然な俺は、顔をアウラに向けて返事を戻した。氷のような表情のアウラは、軽蔑するかのような声を疑問に漏らした。顔を俺からテーブルセットの跡地に向ける。
「ああっ! カップラーメン! あれ限定品だったのよ! どうしてくれるのよ!?」
「言いたいことは分かるよ。やっぱり、カップラーメンは拘りだよな」
「弁償しなさい!」
「任せろ! 今度、また妄想してやるからな」
「あなた! さっきからずっと、私をバカにしてるの!?」
顔を俺に勢いよく戻すアウラは、まるでクレーマーかのようにして疑問に大声で尋ねた。同情な俺は、同感と返事を戻した。顔を赤くするアウラは声を荒らげ、同意な俺は快く返事を戻した。プルプルと震えるアウラは、身振り手振りを付けて疑問に強く尋ねた。冷静な俺は、体をアウラに向ける。アウラの額を右人差し指で小突く。
「痛っ」
顔が真っ赤なアウラは、よろけると同時に声を漏らした。額を両手で押さえる。平静な俺は、剣と盾を地面に下ろす。
「ちょっと! 女神の私になんてことすんよ!」
「アウラ、ありがとう。楽しかったよ」
「ちょっ!」
「またな」
踏み止まるアウラは、再びクレーマーかのようにして強く話した。感謝な俺は、心からの優しい微笑みを見せて話した。困惑な様子のアウラは短く強く声を漏らし、満足な俺は人差し指と中指を合わせて立てて小さく手首を傾けて別れを告げた。瞬間移動のようにして姿を消し、現実の体に戻る。
「ちょっとー! いったいなんなのよーー!!」
感無量な俺は、虚ろな意識の中でアウラの切実な叫び声を確認した。
(妄想はやめたはずなんだが…。そうだ、絶好調だったな!)
大満足な俺は、天才と思考した。
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