28.また何食べてんだ
煌めきは、やがて静かに収まる。
「安心したわ」
笑顔を見せるマリーは、察するかのように話した。長髪を右手で整えながら姿勢を戻して両手を下腹部の前に揃える。
「それでは、犯罪歴は無いようですので登録はこれで無事に完了致しました。冒険者カードはそのままお持ち帰りください。次回からはそのカードをお忘れにならないよう、ご注意ください」
「ん? もう終わり?」
「はい」
「…」
カードを見つめるマリーは、視線を俺に移して楽し気に話した。困惑な俺は、思わず目を丸く開いて疑問に尋ねていた。楽し気な様子のマリーは、首を小さく傾けながら返事を戻した。混乱な俺は、思わず言葉を失っていた。お辞儀を行うマリーは、背後に振り向いて前屈みになる。
「よいしょ」
立派なお尻を見せているマリーは、倒れている椅子と上半身を起こしながら声を漏らした。椅子をカウンターに戻して俺に軽く微笑み、再び背後に振り向いてこの場所から離れて仕事を始める。
(困ったな)
呆然な俺は、思わず視線を落としながら左手を顎に当てて思考していた。視界にカウンター上の白色のカードが映る。カードを右手に取る。
(本当に困ったな…)
困惑な俺は、無地のカードの表側を確認して思考した。手首を返して裏側も確認する。無地だ。
(せめてギルドの説明ぐらいはあると思ってたが…)
「これも最高だぜ!」
複雑な俺は、カードをパンツの右ポケットに仕舞いながら想定外と思考した。バーのカウンター側から先程の女性の冒険者の声が強く届いた。引き続き複雑な俺は、思わず顔をそちらに向けてしまう。白いナプキンを胸元に付けている冒険者は、口の中の物を満足気に頬張る。
「お待たせいたしました。こちらも本日のサービスですよ」
淑女なバーテンダーが、分厚いステーキの載る鉄板焼きの皿を冒険者の前方に用意して話した。淑女なバーテンダーと立ち位置を交代する紳士なバーテンダーは、銀色のソースボートを右手に用意している。
「貴重な食材ですよ」
紳士なバーテンダーは、ソースボートをステーキ上に運びながら魅惑に話した。静かに傾けられるソースボートから食材をふんだんに摩り下ろして作られたのであろう焦げ茶色でとろみのあるのソースが優雅に流れ落ちる。
『ジュッワアァァァ』
「うっひょ~、うまそう!」
湯気を上げる鉄板から凶器の音が届いた。目を大きく見開く冒険者は、ステーキを前のめりで見つめて声を強く上げた。口元の涎を右の袖で拭う。
「これ知ってるよ! 最近噂の肉に見えて実は肉じゃないってやつだろう。サンキュー!」
ステーキに夢中な冒険者は、フォークとナイフを左右の手に用意して再び声を強く上げた。優しい目を見せる紳士淑女なバーテンダー。圧勝かのような笑みを浮かべる冒険者は、ステーキを大きめな一口サイズに切り分ける。肉汁とソースの滴る大きめな一口サイズのステーキを頬張る。直後、背筋を伸ばして目を大きく見開く。続けて両手両足を縮めながら大きく見開いた目を力強く閉じる。
「う~~~、めえぇぇぇ!!!」
唇が肉汁とソースでキラキラと潤う冒険者は、再び目を大きく見開いて万歳を両手両足で行いながらヤギのような声を高らかにして強烈に響かせた。
「まーじで溶ける!」
歓喜な様子の冒険者は、姿勢を直ちに戻して強く話した。フォークを残りの大きなステーキに突き刺す。肉汁とソースの煌めくステーキを口元に運ぶ。潤う唇の優しい一口が、ステーキを溶かすかのようにして消滅させる。益々潤う唇の優しい二口三口が、ステーキを続け様に大きく消滅させる。
(また何食べてんだ??!!)
狂気な俺は、思わず両手を凶器にして疑問に激しく思考していた。体も女性の冒険者に向ける。
(この際、あそこで一杯やりながら情報を集め…、いやいや、さすがにいきなり飲んだくれはダメ…、いやいや、冒険者ならそれぐらい許され…、いやいや…、いやいや…)
超葛藤な俺は、思わず全身をあれこれと動かしながら思考していた。
(ああもう、ステーキ食べたい!)
純粋な俺は、思わず力む両腕を下側に勢い良く振り下ろして胃もたれなんて気にしないと欲望を強く思考していた。
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