20.風
平静な俺は、狭い草原の中央に移動する。両腕を左右に広げながら息を大きく吸い込みつつ突き向ける青空を見上げる。
「う~ん、空気は上手いし、いい天気だ~」
幸福な俺は、思わず表情をお爺ちゃんかのように緩めて声をしみじみと漏らしていた。顔を戻して両手を腰の左右に当てる。周囲を改めて確認する。
「ここは、森じゃなくて林な感じだな」
好奇心な俺は、自然を満喫しながら呟いた。体を右側に向ける。
「さっきの奴は、あっちに行ったんだよな…」
不安な俺は、草木の芽吹く林を覗き込むようにしながら見通して呟いた。林は、右側の灰色の岩山と共に遥か遠方へと続く。
「大丈夫そうだな」
慎重な俺は、姿勢を戻して明るく呟いた。右側の灰色の岩山を気に掛ける。顔を上側へと向けながら岩山を見上げつつ体を右側に向ける。
「でっかいな~。灰色の岩山って珍しいのか? 日本の山は、ほとんど緑色だし…。でも最近は、ソーラーパネルで輝いてるところもあるか。いつか土砂崩れで全部流されて、最終的にはハゲ山の茶色になるんだろうけど…」
感動な俺は、更に顔を上側へと向けながら岩山を見上げつつモニュメント・バレーの岩山と日本の山を思い出して呟いた。
「今となっては確認できないか。ついでに、頂上も確認できないな」
哀愁な俺は、首を直角へと曲げながら洞窟内に光をもたらしている目の届かない山頂をそれとなくイメージして呟いた。首の角度の限界を迎える。
「それより」
煩悶な俺は、首が痛いと呟いた。首を戻す。
「はあ~、奥に草原が見えたな」
苦痛な俺は、思わず首を回しながら息を吐き出して虚ろな景色を思い出しつつ呟いていた。体を背後に向ける。短い林の向こう側の草原を真っ直ぐ見つめる。
「あの真っ直ぐ先に街道があのか」
興奮な俺は、思わず女神の当時の話と様子を思い出して呟いていた。得意な様子の女神は、当時と同様に右腕を真っ直ぐ伸ばしてポーズを決める。
「ここで、また真っ直ぐかよってツッコミを入れる奴は負けだろうな~。女神の思う壺だ。真っ白は何回も言ってたが、真っ直ぐは確か道の話の時しか言ってなかったしな~。マツだけならいいが…………。マツだけ…、マッだけ…、真ッだっ……。発音が難しいな~。まつ、まっ、ま真っ痛!」
「クスクス」
「うわっ、くすぐったい。痛いしくすぐったいし、さっきからおかしな風だな~」
冷静な俺は、皮肉を流調に呟いて舌を強く噛んだ。右の耳元へとそよぐ風の嘲笑のような微かな音を捉えた。急遽に右耳を押さえて周囲を見回しながら不服と呟いた。一輪のたんぽぽが揺れている。
「くだらない。また舌を噛むから止めよう」
浄化な俺は、不服な顔を俯き加減で左右に振り、前向きな顔に仕上げて皮肉も程々にと呟いた。顔を起こして改めて短い林の向こう側の草原を真っ直ぐ見つめる。
「前に進もう」
『ヒュン』
勇敢な俺は、両手を強く握り締めて果敢に呟いた。前方へと吹く風は、頷くかのような元気な音を立てた。
果敢な俺は、真っ直ぐ歩き始める。木々を颯爽と躱す度に心が躍る。暖かな青い香りを覚えて足取りを軽くする。広がりいく草原に導かれるかのように駆け出して短い林を抜ける。全貌を露にした青々とする草原に思わず足を止めてしまう。青は、果てしなく続くかのように壮大かつ全てを受け入れるかのごとく優雅にそよぐ。
「これは凄い!」
『ヒュルン』
感動な俺は、圧倒されながらも青を見渡して感嘆の声を強く上げた。前方で吹く風は、青と自由に戯れつつ楽し気な音を立てた。平穏な俺は、思わず頬を緩めて青に誘われるかのように歩き始める。
「こんな草原、日本には無いだろうな~」
『ヒュルルン』
爽快な俺は、歩きながら青を見渡し続けて絶賛と呟いた。前方で吹く風は、纏まりを見せ始めて進行方向を俺へと変化させると同時に得意気な音を立てた。俺にダイブする。
「うわっ!」
『ヒュルルーン』
混乱な俺は、思わず歩きを止めて声を強く上げていた。通り過ぎる風は、元気溌溂な音を立てた。舞い戻り、俺の体を柔らかく包み込みながら両腕を押し上げようとする。
「ははっ、ここは、最高だーーー!」
『ヒュルルルーーーン!』
感激な俺は、両拳を固めて笑顔と両拳を空へと突き上げると同時に雄叫びを強くを上げた。柔らかい風は、両拳と共に上空へと舞い上がると同時に爽快な音を強く立てた。
「本当に気持ちいいな~。高原みたいに感じるけど、う~ん、やっぱり違うんだろうな~」
『ヒュルン』
幸福な俺は、姿勢を戻しながら遠方の正面から右寄りに連なる峰と正面から左側に続く地平線を眺めて高原好きと呟いた。爽快な風は、舞い戻ると同時に右の耳元で優しい音を立てた。再び俺の体を柔らかく包み込みつつ両腕を押し上げようとする。
「のんびりしたいが、ここは異世界だ。まずは街に行って宿を探そう」
「ウン」
困惑な俺は、両腕の柔らかい風に微笑みを見せて同意を求めるように話した。右の耳元の風は、頷くかのような微かな音を立てた。再び幸福な俺は、表情を明るくする。
「行こう!」
『ヒュルーン!』
果敢な俺は、顔を前方に向けて声を強く上げた。柔らかい風は、前方へと道を示すかのように駆け出しながら元気溌剌な音を強く立てた。勇敢な俺は、青の中を更に真っ直ぐ歩き始めた。
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