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女王の呪い唄  作者: 西季幽司
第一部「幽霊坂からの招待状」
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密室殺人①

 それから一度、廊下が明るくなった。

 俺と高田夫妻が屋敷に到着したのだ。そこから暫く何もなくて、二時六分になって、俺が応接間から出て来た。俺は直線階段ではなく、屋敷の奥にある階段を使う為に廊下を真っすぐ歩いて行った。二階に向かったのだ。

「あの長い階段は使わないのですか?」と安達に聞かれた。

「ええ。この屋敷に住んでいた人間なら分かりますけど、あの階段、危ない上に長くて疲れるのです。屋敷の人間なら、奥の階段を使います。兄の事故以来、あの階段、全然、使っていません」と俺が答えると、「あの階段は駒子伯母様が颯爽と現れる為につくった階段ですから」と美晴が説明してくれた。

「駒子? ああ、そうか。ここに春野駒子が住んでいたのですね」

「ご存じでしたか?」

「春野駒子と言えば大女優でしたからね。この辺りに住んでいたことは知っていたのですが、この屋敷だったとは今、知りました。と言うことは?」

「幽霊坂の侍従屋敷です」と俺が答えると、隆俊叔父が「これ!」と渋い顔をした。

 隆俊叔父は一種の悪口、陰口だと思っているようだが、俺は幽霊坂の侍従屋敷と呼ばれることが嫌いではない。なんか恰好良い。

「ほう~ここが、かの有名な幽霊坂の侍従屋敷ですか~」と安達は妙に感心した様子だった。

 話をしている内に、モニターの中に俺の姿が現れた。二階の志功の部屋を確認し終わって降りて来たのだ。二階から降りて来ると、真っ直ぐに書斎に向かった。

「二階にいなければ書斎ですからね」と俺が説明する。

 モニターにある時刻表示は二時十二分になっていた。そこで志功の遺体を発見して、皆を呼んだ。俺が書斎に入って一分後に、橋本弁護士を先頭に、菅野天音、美晴、高田夫妻、そして隆俊叔父が書斎に向かってかけて行く姿が映っていた。

「なるほど」と安達は頷いた後で、「書斎の窓には鍵がかかっていました。廊下には防犯カメラがあって、書斎に出入りしていた人間を録画していたとなると・・・」と言った。

「となると?」

 皆、興味津々と言った顔で言葉の続きを待った。

「書斎に出入りした人間は阿舎利隆俊さんと志尊さんのお二人だけです。お二人の内、どちらかが志功さんを殺害したと考えるのが妥当でしょうね。でなければ密室殺人事件になってしまいます」

「ふざけるな! 俺じゃない」、「冗談じゃない!」俺と隆俊叔父が同時に叫んだ。

「ふむ」と安達は腕組みすると、「もうひとつ分からない点がありますね」と言った。

「分からない点?」と橋本弁護士が聞く。

「阿舎利隆俊さんと志尊さんのお二人の内、どちらかが殺害したのだとすると、凶器のナイフはどうしたのでしょうね?」

「俺じゃないって言っているだろう!」と隆俊叔父が切れるのを無視して、「凶器のナイフがどうしたのですか?」と橋本弁護士が聞いた。

「書斎に無いのです」

「ああ、そう言えば」

「書斎にないと、どうなるのです?」と美晴が聞いた。

「部屋は密室だったのですよ。防犯カメラの映像を見る限り、お二人共、ナイフを持っているように見えない。じゃあ、ナイフは何処に行ったのでしょう?」

「俺じゃないって言っているだろう!」と隆俊叔父がまた切れる。

「窓を開けて、庭に放り投げたのでは?」と美晴が言うと、「なるほど。庭を探してみましょう。まだお二人の犯人説は消えませんね」と安達が言うので、「しつこいな。俺じゃないって言っているだろう!」と三度、隆俊叔父が切れた。

 警察官と消防隊員が駆けつけて来たところで、防犯カメラの映像をチェックするのを止めた。防犯カメラのチェックを終えた安達が部屋にいる者の顔を見回しながら言った。「さて、それでは個別にお話しをお伺いしましょうか」

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