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38 悪役令嬢とお昼寝

今日はお茶会当日。天気が良いため外ですることになった。

庭の大木の下にレジャーシート?のような高そうなマットが敷かれている。

「今日はお天気が良くて気持ちが良いですね」

アリシアは私の隣に座ると楽しそうに笑う。

「そうね」

「ピクニックみたい」

と言ったエリーゼはアリシアの隣座る。

「カイル様はこちらへ」

エレノアは何故か、カイルを私の隣に座らせようとしてきた。カイルはエレノアに促されるまま私の隣に座る。


「お姉様、このクッキー美味しいですよ。食べてみてください」

アリシアが私の腕を引きながら、口元にクッキーを持ってきた。

「ありがとう」

私はアリシアに食べさせてもらうかたちで、クッキーを食べた。

「…美味しいわね」

レモンの風味がする、甘過ぎずさっぱりとした美味しいクッキーだ。

「こちらも美味しいですよ」

アリシアが嬉しそうに私の口元に持ってくる。

「大丈夫よ、アリシアが食べなさい」

アリシアは少しシュンとした。ちょっと可哀想になってきちゃった。

「ほら、アリシアの好きなケーキよ。あーん」

アリシアが好きな苺のケーキをフォークで切って、アリシアの口元に運ぶ。よく、口の周りにクリームをつけているから一口サイズにした。

「お姉様が食べさせてくださったからいつもより美味しいです」

アリシアは頬に手を添えて、満面の笑みを浮かべた。機嫌が直ったようで良かった。

「パトリシア、私には?」

カイルがニコニコしながら自分の口を指差す。

カイルの隣でエレノアが目を輝かせている。そういえば、エレノアは恋バナとか好きだしこういうシチュエーションが好きなのかな?

「カイル様は食べさせてもらわないと食べられないんですか?」

「お子様ですね」

セシルとエリーゼが、冷めた目をカイルに向けている。

「婚約者なんだからこれぐらい普通だよ。ああ、お子様には分からなかった?」

カイルは本当に色んな人と喧嘩するな。このまま揉めてるのも面倒だし、仕方ない。

「カイル様、どうぞ」

食べさしをあげるわけにいかないから、クッキーを一枚取りカイルの口元に運ぶ。

「ありがとう、パトリシアは優しいね」

カイルは嬉しそうに笑う。これで大丈夫だろう。


木漏れ日が気持ちが良くて、眠気がやってくる。

「ふわぁ」

私と同じように、アリシアも眠たくなってきたようだ。

「アリシア、寝てもいいのよ」

私がそう言うと、うつらうつらしながら

「…眠くないです」

とアリシアは応える。いつもは眠たくなると、甘えて膝枕を要求してくるのに珍しいな。そっか、みんながいるから恥ずかしいのかな。

「兄様、私も眠たい」

エリーゼがエリオットの服を掴み目を擦る。

「帰る頃に起こすから寝てれば」

「うん、それ貸して」

エリーゼもなんだかんだ甘えん坊なのかな?と微笑ましく見ていたら、エリオットから借りたジャケットを適当に丸めて枕にして寝始めた。高そうな生地なのに…

「ほら、アリシアも寝ましょう」

私が膝をポンポンとすると、アリシアは横になった。頭をそっと撫でていると、規則的な寝息が聞こえてきた。

「本当にアリシアに甘いね」

カイルが小声で言った。

「…そう…ですか?」

私はアリシアの頭を撫でたまま返す。アリシアの体温で私も、うとうととしてきた。

「パトリシアも寝ていいよ」

カイルのその言葉を聞いたあたりから私は眠りについたようだ。


目を覚ますとエリオットとセシルも眠っていた。

私の肩にはカイルが着ていたジャケットがかけられていた。

カイルとエレノアの姿が見えない。お迎えが来たのかな?なんて思いながら辺りを見回すと少し離れた所で二人で話しをしている。気になるけど、アリシアはまだ眠っているため動けない。

もしかして、エレノアはカイルの事が好きなのかな?二人が上手くいけば婚約解消になるかも。でも、あんな残虐性のある男とくっつけて良いのかな?と悶々としていると

「眉間にシワが寄ってるよ」

とエリオットに眉間を指で押された。いつの間に起きていたんだろう。

「おはよう、エリオット」

私は笑顔を取り繕う。

「ああ、二人が上手くいけば婚約解消に…とか考えていたの?」

エリオットもエレノアとカイルを見つけたのか、それにしても察しが良いな。

「…ははは、良くわかったわね」

「君は分かりやすいからね」

エリオットが眉を下げて笑う。そんなことはないと…いや、アリシアやセシルに心配されるほどには分かりやすいのか?

「まあ、そこが君の良いところじゃない」

エリオットは優しいな。

「ありがとう」

私達が起きたのに気がついたのか、エレノアとカイルが戻ってきた。

「二人とも起きてたんだね」

エレノアもカイルもいつもと変わらない様子だ。何を話していたのか気になる。

「カイル様とエレノアは何してたの?」

エリオットが聞いてた。二人は顔を見合わせ笑った。

「みんなが寝てしまって、退屈だし、起こしてしまうのも悪いからあっちで話していただけだよ」

うんうんとエレノアが頷いている。話していた内容が気になる。

「うーん」

アリシアが目を擦りながら身体を起こした。

「お姉様?」

「おはよう、アリシア」

寝起きでポヤポヤしている可愛い。アリシアが起きてから、セシルとエリーゼも起きた。

「ん…寝てた」

セシルも寝起きでぼーっとしている。

「あれ?兄様何でジャケット着てないの?」

「お前に貸してたからな」

エリオットはエリーゼに枕にされていたジャケットを軽く振って羽織った。

そういえば、私もカイルからジャケットを借りていた。

「カイル様、上着ありがとうございます」

私は肩にかかっていたジャケットを軽く整え、カイルに渡す。

「どういたしまして」

と言ってカイルはジャケットを羽織った。


日も傾いてきて、そろそろお開きとなった。

私達は屋敷に戻る。

一番後ろを歩いていた私は、どうしてもカイルとエレノアが何を話していたのか気になってしまい少し前を歩くカイルの袖の裾を引いてしまった。

「ん?どうしたの」

カイルは振り返ると優しく笑いかけてきた。

「その…カイル様は」

なんて聞けばいいんだろう。さっきみたいに、ただ話していただけとか言われたら追及できないよね。

「うん」

カイルは、私の次の言葉を待つ

「カイル様は…エレノアの事が好きなんですか?」

しまった、直球で言ってしまった。しかも今のカイルは割とパトリシアに好意的なのに。

「パトリシアはそんな事を心配していたの?」

カイルはクスクスと笑う。よくよく考えたら、さっきの発言だと私がカイルの事を好きみたいじゃん。

「…やっぱり、何でもないです」

恥ずかしくなってきた私は走ろうとしたが、腕を掴まれる。

「私が好きなのは、パトリシアだけだよ」

本当に恥ずかしげもなくよく言えるな。

「お姉様ー」

アリシアの声が聞こえ、私は走る。

後ろから、カイルの楽しそうな笑い声が聞こえる。


結局二人が何を話してたのか聞けなかった。



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