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87 悪役令嬢と香水

エレノアが戻ってくるよりも先に、侍女達がお茶を出してくれた。

エレノアはどうしたんだろう。お茶を飲みながら、扉を見ているとガチャっと扉が開いた。

「お待たせしました」

エレノアが沢山の小瓶の入ったケースを持って来た。

「エレノア様、それは?」

エレノアがケースから小瓶を出してテーブルに並べた。並べられた小瓶は十本、色とりどりの小瓶はとても綺麗だ。

「こちらは香水のサンプルですの。先日のお礼に皆さんにプレゼントしたかったのですわ」

「皆さんにって、俺は何もしてないけど?」

「そんなことありませんわ。それに母が、新作なので皆さんに是非使っていただきたいと言っていまして、気に入ったものがありましたら、おっしゃってください。後日お贈りしますわ」

「そういうことなら、お言葉に甘えておこうかな」

セシルが一つの小瓶を手に取った。私も赤色の小瓶を手に取る。

「そちらは、私も気に入っていてとても良い香りがしますの」

蓋を開けて香りを嗅ぐ、バラの香りの物だ。キツイ感じもなく良い香りだ。

「本当に良い香り、エレノアの香りがするわ」

「喜んで頂いて光栄ですわ。よろしければ他の香りも試してください」

私が気持ち悪いことを言ってしまったのに、エレノアは笑ってくれた、優しいな。

「お姉様、こちらの香りはどうですか」

アリシアが持っているのは、白い小瓶。香りはバニラのような甘い香りがする。

「甘い香りがするわね。可愛いアリシアにぴったりね」

「エレノア様、私はこちらにします」

一つしか嗅いでいないのに、即決して良いの?まぁ、アリシアが気に入ったみたいだし、いっか。

私はさっきまで、セシルが持っていた深緑の小瓶を嗅いでみる、ミント系の爽やかな香りがする。この香りは、セシルというよりも

「これ、ミシェルに合いそう」

「僕に?トリシャちゃんに選んでもらえて嬉しい。僕、これにするよ」

ミシェルは香りを嗅いでいないのに、即決した。男の子だからあまり香水は興味ないのかな?

「パトリシア、私に合うものも選んで欲しいな」

「僕も、姉さんに選んで欲しい」

「私も是非。ね、兄様」

小瓶が私の前に集められた。使うのは自分達なのに、本当に私が選んで良いのかな?

とりあえず、手前にあったピンク色の小瓶を嗅いでみる。ベリー系の甘酸っぱい香り。

「これはエリーゼ」

「ありがとうございます。ベリーの良い香りがします」

「エリーゼのとアリシアのを一緒に使っても、良い香りになりそうね」

「ベリーとバニラ、相性抜群ですわね。母に相談してみます」

私が適当に言っただけなのに、気を使わせてしまったかな?

残りの香水も順番に嗅いでいく。黄緑の小瓶はティーツリー、黒色の小瓶はムスクの香り。オレンジの小瓶はシトラス系の香り。紫色の小瓶はラベンダー、茶色の小瓶はスパイス系の香り。そして、青色の小瓶はマリン系の香りだ。

「うーん…セシルはティーツリー、カイル様はムスク。エリオットはラベンダーかしら」

「…ありがとう。姉さん」

「パトリシアと会うときは必ずつけるよ」

「気になってたやつだ…ありがとう」

気に入ってくれたようで良かった。でも、お礼は私ではなくエレノアへ言うべきでは?

「パトリシアはお決まりになりまして?」

自分のを決められてなかった。どれにしようかな、どれもいい香りだったし

「お姉様、私と同じ香りにしましょう」

アリシアが袖を引いてきた。可愛い、アリシアはお揃いにするのが好きだな。バニラか、良い香りだったしそれもいいかも

「パトリシアは私と同じ香水が合うと思うよ」

カイルがニコッと笑った。ムスクも良い香りだったけど、うーん悩む。

「同じものを選ぶのも良いですが、せっかくですし、違う香りを選んだほうがよろしいかと」

「姉さんにはこれが合うと思うよ」

セシルが選んでくれたのは、マリン系の香りの物だ。これも爽やかな良い香りだった。みんなと被らないし、良いかも。

「ありがとう、セシル。エレノア、私はこれにするわ」

アリシアは少しむくれてしまって、申し訳ないけど、同じ家にいるからいつでも貸し借りできるから、たまにお揃いにしたいな。

「では、私は一度片付けに行ってまいりますわ」

エレノアが小瓶をケースに戻して、部屋を出ていった。


「あまり香水を使ったことがなかったのだけど、つけるのが楽しみね」

「え?お姉様、香水を使っていなかったのですか?」

香水を使っていないのって、そんなにまずいことだったのかな?一応部屋にはあるけど、つけようと思ったことがなかったからな。

「普段から良い香りがしていましたので、てっきり香水をつけていらしていたものだと」

良い香り?自分で自分の香りってよく分からないけど、よく温室とかに行くから薬草臭い気がするんだけどな。

「薬草の匂いではなくて?」

「いえ、薬草の匂いではありません。言葉では言い表せないのですが、とても良い香りです!!」

アリシアが力強くそう言った。

香油とか化粧品の香りかな?香水をつけるならその辺の香りの組み合わせを考えてつけないといけないな。



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