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昴くんは思春期 2

 スターキッドはルナ・ターミナルへ降りるためのファイナルアプローチに入ってる。

〈アイリーン下に集まっているのはTVクルーだよ、何故集まってるのかは分からないけどもしかしたらアイドルみたいにもてはやされて質問責めに合うかも知れないね〉

「別の意味で拘束されるのですね」

 新月さんがボソリと言う。

「嫌だなぁ、さっさと買い物済ませて冥王星へ行きたいのにね」

「僕はワクワクする事が起きるのは好きだよ」

 昴くんの隠された一面が表に出た発言だった。

 アイリーン達がスターキッドを駐機させて地上に降り立った途端に周りを囲まれる。

「地球人類守護軍リーダーのキャプテンアイリーンさんですよね、サイン下さい」

「キャプテンアイリーンさんはスターキッドを旗艦とした海・天・冥王星連合艦隊を結成して地球防衛連盟艦隊に決戦を挑むのじゃないかと噂されてますが本当でしょうか」

「これからの戦況見通しに付いてコメントを頂きたいのですが、何か一言お願いします」

 機材を抱えたインタビューアーが口々に質問してきた。

「えっ、何がどうなってそんな話しになってるのですか?凄い勘違いをしてるんじゃないかしら、それよりうち達は先を急ぎたいのだけど」

(どうしよう、えらいな事態になってるようなんだけど訂正する時間が惜しいわ)

「あー、私は九論という者でアイリーンの保護者的立場にある者だが、アイリーンは見ての通り普通の少女である上にご存知の通り今の我々にとって時間はプラチナより貴重な存在になっている。よって1時間後に文書で回答するので質問内容と連絡先を教えて欲しい。我々の行動理念を多くの人々に知ってもらうためにもインタビューには必ず応じると約束するのでこの場は解散して欲しい」

 この九論の機転の利いた回答でTVクルーは引き上げて行く。

 アイリーン達に恐れをなしている様にも見えた。

 しかしまだ1人だけ残っていて帰りそうにない。

「私はフリープラネットの記者でピエロといいます。身分証はこちらです。邪魔にならないようにしますので同行させて頂けませんか」

 ピエロと名乗った人物が携帯端末を見せながら言う。

「良いわよ」

 アイリーンはチラッとも見ないで即答する。

 ただ目はピエロの顔に釘付けになっていた。

〈「「良いのかよ」」〉

(だって、あの時の『ピエロ』でしょう。お化粧してないけど分かるわ、あっそうかあの時の事を知ってるのはここではうちだけなのね…ってことはうちに会いに来たと思って良いのよね何かしたら返り討ちにしてやるんだから)

「皆は何語を喋ってるの?さっきからの会話が僕にはさっぱり分からないよ、誰か日本語に翻訳してくれないかなあ、これから先もこんなんだったら嫌だなぁ」

「昴くんにはブレインが無かったわね、不便ね冥王星まで行けばイノマンから貰えると思えるのだけど」

 新月さんが同時通訳しましょうかと伝えようとしてる。

(頭のリボンが…あっ、スーちゃん…)

「愛鈴さんリボンが動いているけど、おもちゃなのかなあ」

「違うわよ説明が難しいから放っておいたのだけど新種の宇宙生物なの危険じゃないわよ馴れたら可愛いんだからね、あっ…昴くんに飛んでっちゃった、そのままで大丈夫だからねスーちゃんに好かれたのかもね。好きにさせてあげてね」

「すごいね、リボンが蝶々に変身して飛んで来て頭に着地したみたい…まだ動いてる。こそばゆいよ~、あー耳まで下りてきた。これって?」

「凄くかっこいい、スーちゃんが昴くんの耳でヘッドフォンに変形してるよ、でも何でヘッドフォンなのかなぁ」

「あっ、回りの人たちの言葉が分かるようになったよ、このヘッドフォンに変形したスーちゃんって変形生物の力なんだよね、素直に喜んでいいんだよね、後で見返りとか要求されないかなぁ」

「大丈夫だと思うよ、うちも結構長くスーちゃんを頭に付けたままだったけど何もなかったし」

「確かに、昴くんの異国の言葉が聞きたいと言う要求に答えたように思えるな、と言うことは、ある程度のテレパシー能力があるのかもな…」

「九論、目を輝かせない怖いわよ今にもスーちゃんを分解しそうで」

(昴くんとか言う少年の思考をどの辺りまで読み取っているのか確かめてみる方法が何かないものか今後の課題になったな)

「そのスライムもどきを分解しても何も面白いことはないだろう、それより私、アイリーンの宇宙服の下にある背中の傷痕がどうなっているか見てみたいものだな」

「唐突に何の脈絡もないことを言い出さないで欲しいわ、身震いがしたわよ」

(そうなのよね、冥王星でサロメのムチ打ちで背中にケロイド状の傷ができたのよね、まあうちには見えないから忘れるようにしてたのに思い出させないで欲しいわ)

「脈絡はあるさ、昴くんもアイリーンが着ている宇宙服の下にある傷跡を見たいだろう」

 ブフォッ

「今のは何の音よ、ギヤッ!昴くん鼻血、鼻血が出てるわどうしたのよ一体何が起きた…のって、昴くんそのメガネどうしたの?そう、スーちゃんがまた変形したのね、一体何を望んだの?ねえ昴くん正直に答えなさいな」

「僕じゃない、僕は無実だ!」

「他人の言葉にも影響されるのであれば問題があるな、対策はどうしたものかな」

「昴くんも思春期だものね仕方ないわ誰も責めたりしてはダメよ、アイリーンさんも許してあげてね」

「新月さんがそう言うなら仕方ないわね、でもなんでなの」

「思春期の少年は、アイリーンの背中の傷痕を見たいと思った。だからスライムがその望みを叶えた。透視メガネになってな」

「それって九論がそう言ったからだよね昴くんが悪い訳じゃないと思うわ、でも昴くんは二度とみんなの前でそんなオジサンみたいなことをしないでよね、その時はうちも仕返しするからね」

(みんなの前じゃなければいいんだ)

 昴くんは少しだけスケベ心を抱く。

「仕返しって?」

「うちもスーちゃんを使って昴くんの裸を見てやるってことよ」

 ブフォッ

〈「「ブフフ」」〉

「昴くん鼻血出し過ぎだよー、もう3人共何がおかしいのよ、あら嫌だ!スーちゃん鼻血舐めないのよティシュで拭くから…あ~あ、綺麗に舐めちゃってから…血の味に目覚めなければいいのだけど」

「そうか、そう言うことか分かったかも知れんぞ」

「何がよ九論、勿体振らないで早く言いなさいよ」

「あのスライムもどきの食料が何なのか疑問だったのでな、今まで何も与えてなかっただろう」

「九論スーちゃんって言ってねそうねご飯あげても食べなかったし、仙人みたいに霞でも食べてるのかと思ってたわ…冗談よ、何よ皆そんな白い目で見なくてもいいでしょう九論が早く答えを言わないからよ」

「あいつは取り付いた人間の老廃物を食料にしているのではないかと思うぞ。アイリーンもあいつを身に付けていた時はいつもより汗をかいても直ぐ乾いたり肌もすべすべだったんじゃないか」

「う~ん、良く分からないけど否定も出来ないわね、まだ分からないことが多過ぎるわ」

「それもそうだな」

「ねえ、愛鈴さん怒らないで聞いてさっき背中の傷跡って言ってたけど、何もなかったよその…すごく綺麗な背中だったよ」

「そうか、それなら傷も癒す新種のスライムということになるな」

「すみません、今の新種のスライムの事を記事にしても良いですか」

 自称フリージャーナリストのピエロがこれは仕事ですとアピールしてくる。

「昴くんやうち達の事を書かなければいいわよ、原稿は先に必ずチェックさせてね」

「ありがとうございます」

「スーちゃん昴くんの思考や回りの人の言うことを勝手に読み取って手助けしたらダメよ、昴くんに取っては有難迷惑になるんだからね、分かりましたか」

(((迷惑じゃないと思う)))

 3人の男性は思った。

「ピコピコ光ったわ、分かったみたいね」

「スーは超能力アシスト生物かも知れんな」

「何よそれ」

「スーが取り憑いている人間の思考を読み取って、超能力で望みを叶えてやるんだ代わりに栄養を貰っている共生と言う奴だな」

「うちがスーちゃんと一緒にいた時に色々思ってたけど何も望みは叶えてくれなかったわよ」

「何か望んだのか?」

「光一お兄ちゃんに会いたいとか」

「無理だな」

「バイオキッドに会いたいとか」

「無理だな」

「美味しいお菓子が食べたいとか」

「曖昧だな」

「地球で普通に生活したかったなとか」

「パラドックスが発生してるかも知れんな」

「あとは…」

「アイリーンそれ全部今考えているだろう、それにアイリーンはスーの力を借りずに超能力が使えるではないか、だから多分手を出さなかったのだろう、もしかしたら超能力を使っていれば手助けをしてくれたかもしれないな」

「昴くんは超能力が全く使えないから手助けしてた訳ですね」

〈僕も新月さんの考えに賛成です〉

「何にせよ今の昴くんには危険すぎることに間違いないだろう、超能力を行使する時には鍵を必要とすれば良い」

「鍵って何よ」

「例えば詠唱だな、アイリーンが操縦席でこそこそ見ていたアニメの主人公が魔法を使う時には魔法陣を書いたり長い詠唱を唱えたりしてただろう、頭の中で思っただけでポンポン発動していては堪ったもんではないからな」

(九論ったら見てたのね、それとも見てたのはアニメのほうかしら)

「詠唱ねぇ~、分かったわでもスーちゃんが理解してくれるかしら、頼んでみるしかないわね」

「詠唱の言葉は僕に考えさせてよ」

「分かったわ後でスーちゃんに伝えてね、スーちゃん分かりましたか、魔法のお手伝いする時は言葉を聞いてから実行して下さいね…ピコピコ光ったわ分かったみたいよ」

(((本当だろうな)))

 アイリーンにとっては二度目のルナ・ターミナル観光が始まろうとしているのだが、今回も、危険がいっぱいの要素を含んだままでいる。

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