デート(?)とその後、散々です
誤字脱字などのご指摘を頂きましたら順次直していきたいと思います。
ネタバレ含みますが、風邪ひきのあれ、やってみたかったんです。魔が差したんです。
許してください( ´・ω・`)
彼との条件を呑み一緒に出かけたはいいが彼は唐突に彼女の地雷を踏み抜いた。
(・・・・・・本が好きな理由、ねぇ・・・ただ好きだからって言えたらどれだけ良かったことか。・・・・・・現実逃避、というのが1番近いかな・・・・・・思い出したくもないこと思い出しにちゃいそうだからここでやめね。・・・ほんと、辛気臭い空気は好きじゃないわ)
物思いに彼女が耽っていた時だった。
ポツポツとまばらに水滴が降ってきたと思った時には時すでに遅し。
その時には既にバケツをひっくり返したような大雨となっていた。
思考に囚われていた彼女の反応は数瞬遅れた。
「おい!なにしてる!行くぞ!」
そう言って彼は彼女の腕を掴み、軒下に引っ張って行く。
彼女はハッとして叫ぶのだった。
「ほ、」
「ほ?」
「本がァァァァァ!」
「は?」
「こんな大雨じゃ本がダメになってしまうわ!あんなオンボロなテントじゃ防ぎきれないわ!本にとって水分と紫外線と炎は大敵よ!下手したら乙女のお肌よりもか弱いのよ!?なんてこと!退避と後片付けを手伝わなければ!時間との勝負よ!レイル様!ついてきたなら付き合って頂きますよ!」
「ちょっ、待てよ!」
そう言うと彼女は彼には目もくれず、雨の中飛び出し本の元へと走っていった。
あれから数十分後。
雨はすっかりと止み、今は後片付けが終わった所だった。
「お嬢ちゃん達、手伝って貰って悪かったね」
「いえいえ!全ては本のためですから!」
そういう彼女の隣で彼はへばっていた。
「これは、鍛え直さなければな」
「そうだぜ、坊ちゃん。お嬢ちゃんに負けてたんじゃダメだなぁ」
男はそう言うと豪快に笑い出す。
その声に釣られるかのように他の所からも笑い声が聞こえてきた。
それはもちろん、彼女からも。
彼は年相応というべきか、少しムスッとした顔をしてそっぽを向いた。
「・・・くちっ」
そこへ可愛いクシャミが聞こえた。
「ちょっ、ルーニャ!濡れたままでいるから!早く戻るぞ!」
耳聡くクシャミを聞き取った彼は彼女を引っ張り、屋敷に連れ帰った。
あれから数日後。
彼女は案の定、体調を崩し寝込んでいた。
「その、エルルーニャ嬢のお見舞いに来たのですが・・・どうしても、ダメですか?」
「ええ。大変無礼と存じ上げますが、お許しください。いくら殿下といえど、婚約者といえど、今の娘に合わせることは出来ません」
「そう、ですか・・・分かりました」
そう渋々ながらも納得して彼が帰路につこうとしたとき、階段からドタドタという足音が聞こえてきた。
「おとーさま!おとーさま!ルーニャからはなれちゃメッてあれほどいいましたのに!どうしてルーニャをひとりにするんですか!さびしくてかなしいです!ルーニャのことはどうでもよくて、そこのおにーさんのことのほうがだいじなんですか!?」
足音が聞こえたと思ったら階段から彼女が忙しなく降りてきて、彼女の父親の背中に抱きついた。
そうして、駄々をこねる。
それは普段の彼女からは想像もできないものだった。
これが通常の5歳児なのだろうが、如何せん普段の彼女とミスマッチすぎた。
彼も彼女のその様子に困惑気味である。
そんな彼を見ながらも父親は苦虫を噛み潰したような顔になる。
「殿下、娘は体調を崩してコレになってしまったので会わせられなかったのですよ。年相応とはいえ、普段との差がありすぎるので」
「あ、あぁ」
「おとーさま、このおにーさんだれですの?ルーニャしってますわよ!しらないひとをおうちにいれちゃ、ダメなんです!メッ、ですわよ!」
「知らない人じゃないよ。ルーニャの将来のお婿さんだよ〜」
「おむこさん!ルーニャのおむこさん!それではいまはこんやくしゃさんですの!?」
「そ、そうだよ〜」
普段との差に戸惑いながらも彼は父親の後ろに引っ付いたままの彼女の頭をしゃがんで撫でる。
それに気を良くしたのか彼女はフンフンいいながらも彼の方へトテトテと歩いていくとぎゅっと抱きついた。
「おにーさんはルーニャのおむこさんですわね!おむこさんとおよめさんはギューってするのです!そうするとあいしあってる?っていうのです!ずっとなかよしです!うそもなしです!ルーニャたちはとってもいいふうふさんです!」
「そ、そうだね〜」
抱きついきた彼女を抱っこしながらも彼は戸惑ったままだった。
普段の聡明な彼女を相手にしていたせいか、彼女がまだ5歳児であるという事実が抜け落ちていた。
彼女の精神年齢は下手したら20代は超えてるのでは?と思えるほどの性格だったからだ。
だが、こうやって相手にしていると、見た目も、中身も、紛うことなき5歳児なのだな、と彼は実感した。
「おにーさん、いいにおいですぅ〜」
そう言いながらも彼女は猫などが自らの大切なものに香り付けするように彼の首筋にグリグリと頭を擦り付ける。
そうして、何度も何度もグリグリしていたのだが、その力も段々と弱まり、ついには彼に抱かれてスースーと健やかな寝息を立てる始末。
「・・・こ、これはどうしたらいいのでしょうか?」
「あぁ、私めがお預かりしましょう。娘もこの様子ですし、殿下もお帰りになられては如何でしょうか?」
「あ、あぁ。帰らせてもらうことにするよ。エルルーニャ嬢が元気になったらまた、知らせてくれ」
「分かりました」
数時間後。
眠りに眠った彼女の体調は回復していだ、なにより、精神的ダメージが酷った。
(やってしまったぁぁぁぁ!あれはもう、ない!転生だからかもだけど熱で理性が失われると元のルーニャちゃんが出ちゃうわ。今はじめて知った!やだわ〜・・・・・・記憶取り戻して、初めて体調崩したものね。しょうがない。しょうがないのだけど・・・なんであの人、毎度毎度いいタイミングでくるかな!?この前のセルバンテスとの言い合いの時もそう!本当に最凶で最高なタイミングで来るわよね。もう、悪魔よ悪魔!しかもなによあれ!あの甘え具合を初日に出せてたら完全にOKじゃない!あれがあれば恋するふりも行けたわよ!なんで今なの?!あり得ない!ルーニャちゃんよ!あの時に出てこようよ〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、人生リセットボタンが欲しい)
ルーニャ「羞恥死ってこのことを言うのね」
レイル「( ◜௰◝ )」
ルーニャ「。゜(´∩ω∩`)゜。」