闘技場(2)
「お前と、試合に出てみようと思う」
その台詞の、理由がわからない
この男が僕と組むメリットが思い浮かばない
左目の輝きが僕を竦ませる
生理的な嫌悪
僕は意味もなく、この男を嫌っている
それは身体からくるものなのか、それとも心からくる嫌悪なのか
はたまた別の―――モノからか
「メリットは?」
ボソリ、と問いかける
本当ならここで断る必要はない
むしろ、受けた方が楽になる
盾にも、囮にも使えるのだから
でも、生理的な嫌悪がそれを邪魔する
「単純に戦力が増える。囮にでも、盾にでもなろう
何なら、私一人でやってもいい」
「違う・・・あなたのメリットはなんだ!?」
これを聞かないと
これで金とか、勝利する事での名誉だったらいい
でも・・・
「お前を見極める」
何故?
何故何故何故?
なにを見極めるというんだ
一体何が目的なんだ?
「あとはいい加減、この闘技場には飽き飽きしてな
そろそろ脱走でもしようかと考えていたんだよ」
脱走
わかりやすい目的
でも、それが嘘っぽい
さて、どうするべきか
「他にもお前に興味があるだけだ」
興味!?
いったいなにに興味を持ってるのだろう?
自分で言うのもなんだが、僕に興味を持つなんて、心当たりがない
余計にこの男が胡散臭く見える
ここは断ろうか
「断らせていた「お前に拒否権なんざない。ただ、言っておいただけだ」
ホントになんだこの男?
どうする?
なんだかこの場にいるのも少し危険な気がしてきたぞ
とりあえず、ここは無視して放置の方がいいか?
「おいおい、そんなに怯えるなよ・・・」
にやにやと、嫌らしい笑顔を向けてくるそいつ
やばい、な
なんかすごく気持ちわるい
さっさと逃げよう
後ろから笑い声が聞こえてきたけど、不気味すぎて、振り返ることができなかった
「なんだったんだろう、あの人」
両側が布の店で覆われた通路で、一人呟く
オースもアモルも返事をしない
ここでは喋らないと決めておいたからだ
だけど、返事が返らない事がそごく不安だった
一人、思考をまとめていく
あの人は、僕に興味があると言っていた
いったい僕の何に?
僕が他の人とちがうところなんて
そんなにないと思うのだけど
僕以外にだって、一人で闘技に出る人はいただろうし・・・
もしかして・・・オース・・・か?
僕の剣が普通じゃない事に気付いたのか?
だから僕と出て確かめようと?
でもどうして気づいたんだ?
なんとなく、そんな気もするけど、確証には至らない
これからどうするべきか?
わからない
あの人の事を思い浮かべるとあの左目が思い出される
自然と、身体が震える
あの目だ
あの目で気づかれたんだ
明日は試合なのに・・・どうする?
なんの対抗策も、逃げる策も思い浮かびそうにない
今の僕は、闘技場からどうやって逃げ出すかよりも、
あの目から逃げる事を考えていた
金色の
魔を表す色の瞳
全てを見透かすような瞳は、それだけでも恐怖を引き寄せる
何年魔術と向き合っていてもわかる
あの目は、普通じゃない
なんか、違う法則が司っている
普通の法則に生きる僕らは
どんなに頑張ったところで、アレには勝てないだろう
だから・・・逃げないと
作「はいはい出てきた謎の人物」
ア「いや・・・なんなのさ、あれ」
作「んー・・・一応あの男は闘技場から抜け出したら合わせるつもりはないから・・・ただのモブ?」
ア「さんざん引っ張っといてそれかい!」
作「あの男は未来でマギアにちょっかいかけまくるよ、本編では出てこないけどね!」
ア「そういえばマギアって出てくるのか?」
作「一応首都編で出す・・・と思う
今は打倒ガイスト目指して修行中(まだ謎の男とは会ってない)」
ア「出てこなくてもいいと思うんだが・・・」
作「どっちかっていうとガイストはヒッキーでマギアは目立つタイプだからねー行動がお互いに読めないんじゃないかな?」
ア「そんな事はどうでもいいんじゃないか?」
作「そだね。では、次回『闘技場』
これで闘技場が終わればいいけど・・・終わんないかもなぁ・・・」