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43話 テンプレその1 街へ行く途中で馬車が襲われていた!




あれから少し仮眠を取った後、出発して朝日が眩しくなる頃樹海を抜けた。

木々が疎らになり草原に変わり、風にそよぐ草の向うに茶色の地面が見え始めたのを期に休憩する事にした。魔力は桁外れでも体力は普通の幼児並みのユウリを気遣っての事だ。


「疲れた~ 身体中がキシキシ言ってるよ~」


「お前は疲れる程歩いて無いだろうが!俺の背中で寝息たててたじゃないか!背負うこっちがキシキシ言うわ!」


確かに出発してからユウリは1歩も歩いていない。

歩かせるのが危険だという事もあるがユウリの歩みに合わせると樹海を抜けるのに1日かかってしまうからだ。その為ラーヴァの悔しそうな視線を浴びつつシリウスがずっと背負って来たのだ。

ラーヴァを先頭に、ユウリに足を治して貰ったロロ、シリウスとユウリ、最後尾にキリルが歩いて来た。


「そうだけどさ、ずっとおんぶされてるのも辛かったんだよ~やたら力入るし揺れるし、枝が当たるから気を付けていないとだめだったし。道へ出たら少し歩きたいよ!」


「ならば、わら、私と一緒にゆっくり歩いて行くかえ?ここまで来れば街道も近いしロロでも案内が出来るであろ」


妾と言いかけて、言い直したラーヴァがユウリの髪を撫でている。





「ん?」


「…血の匂いがするな。こっちが風下という事は…街道の方からだな」


「人の匂いじゃな。魔物の気配はせぬから人間同士の争い事じゃろう。せっかくユウリと道行きを楽しみにしていたものを、無粋な人間よの」


ラーヴァに寄りかかってクッキーを頬張っていたユウリがピクッと反応すると、シリウスとラーヴァも察して索敵していた様だ。



「こ、これはまさか…テンプレの王道キングオブテンプレ⁉ど、どうしよう!助けに行かないと!いやでも絶対面倒事の序章だよね…私的には関わったらヤバい気がするけど…シリューどうしよう!」


極力この世界の人間とは関わらない事を約束しているユウリは動けない。ロロの時は転移の場所にいたから仕方ない。怪我をしているロロをスルーするなんて出来なかった。だがこの場合は?まさか無いだろうと思っていたファンタジー小説のテンプレシチュが来るとは!


「てん…何だって?何言ってるか判らないがそんなに慌てなくても良い。争い事にわざわざ首を突っ込む事はしないさ…だが、俺達の行く方向に死体が転がっていてもなあ…様子だけでも見に行って来るか」


「死体⁉人が死ぬの⁉そこを通るの?そ、それは嫌かも…」


青くなって怯えたユウリをラーヴァが膝に乗せて抱きしめてくれた。


「犬っころ!ユウリを怖がらせて何とする⁉さっさと行って片付けてきやれ!ユウリの視界に汚らわしい物を置いて置くで無いぞ!跡形も無く綺麗にしてくるのだぞ!」


「いやいや、あんたの言ってる事の方がヤバいっての!とにかくちょっと見て来る。社会勉強だキリルも一緒に来い」


「…判った」


一瞬嫌そうな顔をしたが行く事にしたらしい。


「あの!俺も行きます!もしかしたら街の知りあいがいるかもしれないんです。定期馬車の馭者をやってる奴がいるんです。もしかしたら…」


ロロが不安そうな顔をしてシリウスに訴えた。


「…現場に着いたらキリルの側を離れるなよ。俺は先に行くからな!」



「シリュー!人対人って事は争いの理由があるはず!やられている方が善とは限らないんだからねっ ちゃんと見極めてよ!」


ユウリは気になった事をシリウスに言った。


「おう!」


シリウスは加速装置のスイッチを…ゲフン。

身体強化をして物凄い速さで走って行った。

キリルはロロと並んで街道に向かって走って行く。人間嫌いのキリルがロロの足に合わせて走るなんて、どういう風の吹き回しかと首を傾げたのは内緒だ。





道の向うの争いが気になって落ち着かないユウリをラーヴァが捕まえて膝に抱き上げ髪を鋤き始めた頃、ロロが走って帰って来た。


「ハアハアッ ユウリさ、ユウリ様!お願いです俺の友達を助けて下さいっ 俺、俺何でもします!だから俺の友達をっ」


帰って来るなりロロはユウリの前で両手を着いて頭を地面に擦り付けた。



「ロロの友達がどうしたの?怪我したの?」


「野盗に追われて馬車が横転したらしいんです。友達は馭者見習いで前に乗っていたんだけど倒れた時に馬車の下敷きになったらしくて…足が、足が抜けなくて血がたくさん出てて変な風に足が曲がってて!お願いします!あいつをトマスを助けて下さい‼」



「ちょっとお待ち。その場には他にも人がいるのであろ?この幼い姿のユウリが高度な治癒をしたら回りはどう思うかの?ユウリは目立つ訳にはいかないのじゃ。人の口に鍵はかけられぬ。街へ行った時にどうなるか考えてみよ」


幼いユウリが高度な治癒を使えると噂になれば、利用しようとする者が出てくる事は容易に想像出来る。ラーヴァはユウリの身に危険が及ぶのではないかと危惧していた。


「それはっ…でもシリューさんがユウリ様でないと完治は無理だと‼何とか馬車のお客に見えない様にします!避難する様に遠ざければ大丈夫だと思います。だからどうかユウリ様!トマスを助けて下さい‼」


「ラーヴァ…私はロロの友達を助けたい。見ず知らずの人達の事故なら見ない振りをしたかも知れないけど、ロロの友達なら私にとって見知らぬ人じゃ無くなったの。だから治療した後の事はその時に考えよう!そして何かあったら助けてくれるでしょ?ねラーヴァお願い!」



「主殿に言われたら妾は何も言えぬ。仕方ないの…主、いやユウリの事は私がしかと守るゆえユウリのしたい様にするが良い」


「ふふっ ありがとうラーヴァ、じゃなかったラヴィ!じゃあ急いで行こう!」


やるき満々のユウリは走り出したが何歩も行かないうちに草に足を取られて転びそうになった所をラーヴァが抱えてそのまま走り出した。


「先に行くからの!ロロも早く来るのじゃぞ!」


「は、はい!…ってまたこのパターンか!」






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