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1話: 付いていたモノとついてない僕


サブタイ変えました。話数も入れるの忘れてました。



「なっ⁉なんでっ...なんでついてるのよー!!!」



少女特有の甲高い叫び声に僕は目を覚ました。覚ましたと言っても瞼は開かず、小指一本も動かす事が出来ない状態で冷たい床の上に寝かされているようだ。



ここどこだろう…

瞼が開かないのに回りの状況が見えるという不思議。まるで天井にカメラがついていて、僕の視覚とリンクしている感じ。そして今僕は自分の姿を真上から見下ろすという、幽体離脱的な体験をしていて、

僕は生まれたままの姿、つまり真っ裸だった…。


身長165cmの体は青白くぼんやり光っていたがそれは良い、いや良くは無いけどそれよりも、なんで僕は全裸なの⁉

生まれた時から家族以外は見た事は無い筈の僕の、僕の大切なまだまだ発育途上、これから大物になる筈のムスコが寒そうに晒されていて、10才くらいの美少女が腰までの長い金髪を振り乱しながら、大切なムスコを指差して叫んでいたのだ。



「なんで!なんでこんなもんが付いているのよー!」



理不尽です。



「まあまあ姉さん少し落ち着いて下さい。彼も意識が戻った様ですし、まずは何か暖かい紅茶でも、っとその前に…」



少女より若干背の低い少年が突然現れ、少女を「姉さん」と呼んでいるという事は姉弟なのだろう。その少年がフワッと手を振ると僕の体が軽くなり、動かせる様になった。そっと目を開けて見れば、目の前にそっくりな顔をした少年少女が立っていた。少女の指先は今だにムスコを指差し確認し、彼女の視線もまたムスコにロックオンされたままだった。



「とりあえず着ていた服で良いよね」



少年がまた手を振ると淡い光が僕を包み、一瞬後にはペパーミントグリーン地に銀糸の蔓草模様のロングドレスを着ていた。



「なんなのそのセンスの欠片もないドレスは!」



はい。確かにセンス最悪です。だってこれ学校の物置にあったカーテンだもの。


文化祭のクラス出し物で『眠りコケ姫』のお姫様役だった。その最中に気絶した、んだよ、ね?




いつの間にか整えられていた白木の椅子とテーブルの上には白いティーカップ。

すでに座っている少年と今だに突っ立っている少女。




「あ、あのここは?どうして僕はここにいるのかな?そして君たちはいったい…」


そう、我が身に起こった不可思議現象、ムスコを見られたショックで混乱の極致にいた僕は、真っ先にしなければならない一番大事な質問を忘れていたのだ。

状況に流されやすい現代っ子の見本ですね。そうですね。



「ああ、落ち着いて。貴方も座って喉を潤して下さい。色々、本当に色々と話さなければならない事がたくさんありますから」



少年はそう言うと『たくさん』というところでチラッと少女を見た。



「な、なによっ!」



「後程姉さんにもたくさん伺います」



「私は何もしてないわよっ」



「とにかく後程伺いますから。ええ色々ね。まずは彼の事からです」



「ぐっ!いいわよっ」




少年は僕が紅茶を飲んで落ち着いたのを見計らって話し出した。





「始めに言っておかなければならない事があります。もう何となく理解しておられる様ですが、貴方は今日、高校の文化祭の演目中に天井から落下した照明器具の下敷きになり死亡しました。御愁傷様です」



「は?えっ?死んだ⁉ちょっと待って!確かに体育館でお芝居してたけど、そんな事は…」



僕は体育館の舞台を思い出してみた。『眠りコケ姫』のクライマックスで眠り続ける姫(僕)を王子様役で僕の双子の姉が魔法のキスをしようと覆い被さって来て……あ



「あっあああっ!……って、あれ?でも僕は今ここに…」



「そうですね。目を瞑っていた貴方はその瞬間の記憶は無いでしょう。ですが貴方ともう一人の貴方もその時に命を落としました。まさか双子で重なりあっていたとはこちらも想定外でしたが」



何だか最後の方は聞き取れ無かったが、自分でもびっくりするくらい冷静に死んでしまった事を受け入れていた。体育館にいた筈なのに目が覚めたら知らない天井ゲフン真っ白な部屋にスッポンポンでいたのだから押して知るべし。その手の小説知ってるからね。でもスッポンポンは無かったな。(泣)




「ここは輪廻転生を管理する部屋。私達は魂の管理官なんです」



「管理官?」



「そうです。生を終えた魂が正しく輪廻の輪の中に取り込まれて浄化され新しい魂として転生される様に見守り、時には輪廻の輪から飛び出してしまった魂を回収したり、他の世界からの依頼により魂を斡旋したりしています」



「はあ。それで僕はこれから輪廻の輪?の中に入るのですか?ここは受付ですか?」



「いいえ。実はある世界から、強く七色に輝く魂を1つ探して欲しいと依頼を受けて貴方の魂をこちらへ運んだのですが…」



「ですが?」



「もう!グタグタ言ってないではっきり言いなさいよ!なんで汚らわしい毛虫が付いているのかって!私が選び取ったのは『東雲 由理』という16才の女の子の魂なのに、なんで男なのよー!」



汚らわしいって…毛虫ってひどい…

そうじゃなくて東雲 由理だって?僕の双子の姉の名前じゃないか。

という事は、僕は由理と間違えられたの?はっ、そうだ由理は?由理はどうしたんだろう!



「由理は?由理は無事ですか?由理は僕の双子の姉なんです!男女逆転劇で由理は王子役で、あの時僕の上に覆い被さって、それで、それで…」



「残念ですが、先程言った様に重なりあっていたお二人共お亡くなりになりました。そうですか、お二人は双子だったのですね。だからだったのですね」



「ちょっと待ちなさいよっ 私が引き取りに行った時はとても眩しく輝く魂が1つだけだったわ!あんまり眩しくて目がチカチカしたくらいの素晴らしい魂だったわ、間違える筈ないわ!」



「姉さん、魂を引き取る時の作法を覚えていますか?」



「もちろんよ!両手で救い上げて、目の前まで掲げて魂の質や傷を確認…するの…よ」



「そんなに眩しい魂をよく確認出来ましたね?姉さん、ちゃんと確認しましたか?」



「うっ だって早く手に入れないと他の世界からの引抜きも有りそうだって言ってたし…ま、眩しかったのよ!さっと掴んでローブに包んで持って来るしかなかったのよ!」



「はあ…姉さん…」



「な、何よ」



「双子だった様ですし、基本的な魂の形は似てると思います。亡くなった時も重なりあっていた様でなので間違えた可能性が高いですね。そもそもちゃんと作法を守っていればこんな事には」



「う、うるさいわね!じゃあ由理の魂はどこに行ったのよ!」



「多分、そのまま輪廻の輪の中に取り込まれたのでは?管理官の中には輝く魂を他世界に渡すのを良く思ってない人もいましたし」



「なんですってぇぇっ‼」



呆然としていた僕を置き去りに姉弟は話をしていたが、姉の方は大声で叫ぶと白い壁の向こうへ消えた。




「申し訳ありませんでした。こちらの手違いで貴方の運命をねじ曲げてしまった事深くお詫びします。この埋め合わせは後程お話させていただきます。出来うる限りの事はさせて頂きますから」



話の流れから察すると僕は姉の魂と間違えられてここに連れてこられたと。原因は姉の魂の眩しさに目が眩んだあの少女管理官が確認もせずに魂をひっ掴んでローブに包んで持って来てしまったと。僕は姉のとばっちりで死んだの?



「改めてお話をさせて頂いてよろしいですか?突然の事でお互いに自己紹介もしていませんでしたね。私は管理官のレインと言います。そして貴方を連れて来てしまったのが姉のレイラです」



「あ、僕は東雲 悠里しののめ ゆうりです。えっと東雲 由理の双子の弟で16才です。あの、僕はこれからどうなるのでしょうか?」

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