6/16
06 転送装置を作ったぞ……誰が試すの?
「ついに、世界初の転送装置を開発したぞ」
「テセウス博士、これで、地球の裏側でもあっという間ですね」
「さあて、誰が装置を試してみる?」
「……」
「……」
「誰もいないのか? じゃあ、ワシが自ら実験台になろう。スイッチを押してくれ」
──ブウゥ~ン
「どうだ? あれ? なにも起こらないぞ」
「テセウス博士……残念ながら失敗のようですね」
「博士! 地球の裏側の研究所から電話です」
「もしもし……?」
『実験は大成功ですよ! こっちにテセウス博士が現れました!』
「……」
「……」
「……どうやら、ワシの実験は成功したようだな」
「これって成功なんですかね?」
「向こうにもワシがいるらしいから、成功じゃろう」
「でも、これってスワンプマンじゃないですか?」
「あ! 地球の裏側から電話ですよ。テセウス博士からです」
『もしもし、実験は成功じゃな! それじゃワシ、今から転送でそっちに帰るからな』
「あ、博士。ちょっと、それはやめたほうが……」
────ブウゥ~ン
(おわり)
博士は全部で何人になるの……?
※スワンプマン:分子レベルのコピー人間が、同一人物といえるかという思考実験。




