13 ロジハラ一休
「一休、この屏風のトラを退治してほしい」
「では、将軍さま。その屛風のトラを追い出してください」
「よし、それでは……」
「……と言うと思うでしょう?」
「なんと……!?」
「私がそう言えば、本物のトラを出すおつもりでしょう? その手は喰いませんよ」
「ほう。しかし一休、ワシが本当にトラを出すとは限らんぞ?」
「……と申されますと?」
「お前が出せと言わぬ限り、トラが出るかどうかは確定せんのじゃ」
「いいえ、将軍さま。事前にトラを用意しているかどうかは、もう確定しているのでしょう?」
「いや、確定しておらん。これはシュレディンガーのトラなのじゃ」
「そうですか。では降参いたします」
「え、そんな簡単に負けを認めるの? もっと、こう、ポクポクチーンとかしないの?」
「いいえ、私の負けです」
「いいのか? みんなに、わしが一休に勝ったと言いふらすぞ?」
「どうぞご自由に。問答は修行の1つですが、勝った負けたは問題ではありませんので」
「参った、一休。わしの負けじゃ。降参降参」
「勝ち負けにこだわるのは、将軍さまが俗物ですからね。仕方ありませんね」
「ぐぐ……ロジハラやめろ! 一休」
「また、私の勝ちのようですね、将軍さま……(ニヤリ)」
(おわり)
とんちって、へ理屈というか、ロジハラ?




