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異世界王国と放浪少女と百合  作者: 山木忠平
2章 商人と親子
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宝探し 10

「金貨~金貨~、金貨がいっぱい~♪」


「"金貨五百"か。ま、まずまずなんじゃないか」



 持ち帰った宝石類の換金も終わり、やっとのんびりする時間が出来た。

 袋一杯に詰め込まれた金貨に、二人はご満悦といったところだろうか。


 ちなみに換金はいつもの冒険者ギルドじゃなくて、またあの何とかって商会まで行ってきた。

「ギルドでいいんじゃないの?」とは思ったけど、フローラの希望だったし、なにより彼女自身が交渉役を買って出てくれたからね。


 話も割とあっさりまとめてくれて、そのうえ大金なのにその場で用意させちゃったというわけだ。



「そうだね~。お金が一杯で嬉しいよね~。

 ……ところで、フローラはああいう堅苦しい話しは慣れてるの?

 やけに冷静というか、経験者って感じだったよね?」


「えへへ~。あれはねぇ、パパのマネなの。

 よく商談してるパパの隣で、お話を聞いてるんだ~」



 なるほどね。モンスターと戦ってた時よりも生き生きしてた理由が分かったよ。

 フフ、これならメンドーな交渉とかは全部任せられるね。



「へ~。あんなつまらない話、ボクなら二回目で拒否ってるよ。フローラは凄いね~。

 あ、一応確認だけど、お義父(とう)さんのことは解決でいいのかな?」


「うん! 三等分しても利子くらいは払えると思うの!

 残りは継続してもらえる分があるから、ゆっくり返していけるはずだもん」



 継続分というのは、制圧した鉱山の採掘権? みたいなものだね。

 結局コボルト達をどうしたのかって話にもなるけど、まずは宝石の運搬係として一緒に街まで連れてきたんだよ。


「街に入れるのは無理だろうなぁ」と思ってたら、門番も普通に通してくれたし。

 やっぱり友好的なら獣人ってことで受け入れられるっぽいね。



 それでさよならかと思えば、今後彼らが掘り出す物を商会が買い取ることや、その利益は折半で送金もしてくれるという話になった。

 事前に労働条件とかその他諸々を聞き出していたフローラは、やっぱり凄い。


 鉱山を勝手に売ったりしてもいいのかと疑問に思うかもだけど、この国? 領主? が支配してるのは、街と周辺の村、それに街道くらいなので問題にもならないらしい。

 僕と同じく隣で置物(おきもの)してたニコラから聞いた話なので、きっと正しい。きっとね。


 おっと、そろそろ話を戻さないとね。



「三等分? んーと、ボクはいいよ。それも返済用にしちゃって」


「あっ、あたしの分も使えよ! ……まずはそいつが片付かないと、なんか落ち着かないからな」



 何があってもフローラ優先だろうに、相変わらず言い方が不器用だね~。

 ――なんて言ったら怒られそうだから、口にはしないよ。



「二人とも…………うぅ、ありがとぉ。パパもよろこんでくれるとおもぅ。

 というか、うちにきてぇ。おれいするからぁぁ」


「い、いや、お礼とか別にい、いいだろ? 水くさ――」


「えっ、フローラの家に!? 行くよ、絶対行く~。

 まあまあ遅い時間だし、もしかしてお泊りかな? いやもうお泊りしかないよね~」



 ニコラが照れて遠慮しそうになっていたので、とにかくゴリ押してみた。

 美少女のお部屋に入るチャンスなんて、滅多にないからね!




 ***




 ついて行った先にあったのは、閑静な住宅街。

 どこの家にも小さな庭があり、区切りとなる生垣もしっかり手入れされていたりと、見るからに裕福な人が住むエリアみたいだ。


 そこの特別豪華というわけではないものの、質素とは程遠い家がフローラの家らしい。


 まあ、外観なんてどうでもいいや。そんなことよりも部屋だよ、お部屋。

 前に彼女を送り届けた時は玄関までだったから、その先が楽しみだね!


 ……今日はフローラのベッドで寝るぞぉ、うへへ~。



「むぅぅー」


「あ、あれ? 何か怒ってる?」


「べつに…………。

 ふたりだけ楽しくお泊りしててズルいだなんて、ぜんぜん思ってないもん……」



 あの肝試し以来、ニコラとは一緒の部屋に止まってるんだよね。

 ここへ来る前に着替えなんかを宿へ取りに戻ったから、それでバレちゃったみたいだ。



「えぇっとぉ、それはでもあの……秘密にしてたとかじゃなくってね?

 話す機会がなかったというか……。仲間外れにするつもりはなかったというか…………」


「……とくべつに、今回は信じてあげましょう。でも、お泊り会するのならわたしも誘うように。わかった?」


「う、うん! もちろんだよ!!」



 あんな安宿に招待するくらいなら、フローラの家に泊まった方がいいと思うけどね。

 ま、連日押し掛けるのも迷惑か。よーし、狭いベッドだけど三人で川の字作っちゃうぞ~。



「なら、さっそく明日行っちゃうから――んん? 開いてる……。

 パパもう帰ってきてるのかな?」



 ドアに手をかけたフローラが不思議そうに首をひねってる。

 帰ってる? んーそんなことはないから、鍵のかけ忘れだろうね。



「パパーー? ニコちゃんとアーちゃんがきてくれたよー?

 どこにいるのー?」


「……ふーん、これが新居か。悪くはないな」



 父親を呼びながら奥へ歩いていくフローラに続き、キョロキョロと家の中を見回したニコラも進んで行く。


 どうやらニコラも来るのは初めてっぽいね。

 その割には遠慮がないけど……友達の家に来た時ってそんなものなのかな?


 経験値が少なすぎて僕には判断がつかないよ……ドキドキ。



「ぉ、お邪魔、しますぅ……」



 おぉ、本当に女の子の家に上がってしまった……へへ。

 ――いやいや! まだ家の入口なんだよ? 悦ぶのは早過ぎるよね!


 彼女の私室に案内してもらえるはずなんだから、そこからが本番じゃないか…………ぐへへぇ。



「あれー? パパいないのかな? でもカギは開いてたし……」


「もしかして空き巣か? あたしが見てくるから、ここで待ってろ」



 僕がトリップしてる間に話が進んでるよ。なるほど、空き巣の可能性ね。

 思ったよりも簡素というか、物が少ないように見えるのは盗られた後だからなのかな?


 まあ例えそうだとしても、今この家にある"生命反応"は僕達三人分だけだから逃げた後なんだけど。



「まずはこの部屋からだ――は? うわぁああっ!?」



 誰もいないはずの部屋を覗いたニコラが、何故か腰を抜かしそうなくらい驚いている。

 え? ホントに泥棒がいたの……? いや、そういう驚き方でもないね。どうしたんだろう?

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