宝探し 3
二匹のコボルトを倒して進んだ先で待っていたのは、四体のモンスター。
相変わらずのワンちゃん達なので、つまりはちょっと数が増えたよってだけだね。
こういう巣穴みたいなところだと仕方がないのかもしれないけど、同じような事を繰り返すのは退屈だなぁ。
雑談ついでに少し気になってたことでも聞いてからにしようかな。
「ねえねえ、ちょっと聞いていい?」
「なんだ? ははーん、二体相手にするのは荷が重いかぁ。
まあ自信がないってんなら、あたしがもう一体……といってやりたいが、三対一ってなるとあたしでもさすがにな――」
「いや、そういうのじゃなくてね。あのコボルトっていうのもモンスターなわけでしょ?
でもその"モンスター"ってどうやったらというか、どこからそう呼ばれるものなのかなー? って、ちょっと気になってさ」
「んん……? どういう意味なんだ?」
実のところ、モンスターというものの基準がよく分かってないんだよね。
というのも、街にはそこにいるコボルトみたいな獣耳や尻尾なんかが生えたモフモフな人? が普通に生活してる。
街の住人である彼らがモンスターって認識されてるとは思えないし、そこら辺はどうやって区別してるんだろう?
「――って事が聞きたかったんだけど、実際どうなの?」
「そんなのあたしら――ドワーフや人間……ついでにエルフもだな――に敵対してんならモンスターで、そうでないなら獣人に決まってんだろ」
なるほどなるほど。どうやら獣人という枠があるみたいだ。
多分、モンスター以外はそこに入るって認識っぽいけど、曖昧というか、どうもフワッとしてる気がする。
んーまあ、フワッとだいたい、それっぽく分かればいいか。
獣人かぁ、そういえば前にどこかでそんな言葉を聞いたような気がしないでもないよ。
「なるほどね。うんうん、よく分かったよ。ありがと」
ただ、そこまで彼らに興味が湧かなかったからなのか、忘れてたみたいだ。
エルフやドワーフみたいに美少女してたら、接触しようとしてたかもしれないね。
え? 「獣人にも可愛い子がいるんじゃないか」って?
うーん、何というか動物に寄り過ぎてるんだよねぇ。僕からすると、オスとメスの判別すら難しいくらいでさぁ……。
「ああ。――って、んなことわざわざ聞くってことは、この辺りの出身じゃなかったのか?」
「えぇ? あ、えーと…………うん、実はちょっと遠いところから来たんだ。
だから、この辺の事はすこーしだけ疎くて……」
彼女達にとっては当たり前の事を聞く僕を不思議に思ったんだろうね、少し困る質問が返って来てしまったよ。
転生の話なんて信じてもらえないだろうし、出来ればこの世界の住人っぽく装っていきたいよね。
ま、今まで上手くやってたわけだし、これからだって問題なくやれるさ。
「やっぱりか。どうりで世間知らずなわけだ」
「エ゛ッ?? や、やっぱり……?」
「で、どうなんだ? 獣人やモンスターは、アイリスの故郷だと違うのかよ?」
「そ、そうだねぇ、同じ……だったかな? どうだったかなぁ……」
何故かすんなり納得されてしまい逆に困惑だけど、この話を続けて困るのは僕なので、もう触れないでおこう……。
えー、ということでね。質問の答えでも考えよっか。
と言っても、前世には獣人やモンスターなんてものはいない普通の人間社会だったわけだけど……うーん、考え方って意味では――。
「あー……うん、"同じ"かも? 要するに、敵対的かどうかで区別するってことだもんね?
なら、大体同じようなものだよ」
「ほーん、そうなのか。変わらんもんだな」
何故か敵対してくる人なんてモンスターも同然だよね。
この世界のモンスターみたいに討伐対象とかにはならないけど。
いや、いっそのことスッパリと狩ってしまった方がいいのかもしれない。
無駄に嫌な時間を過ごさずに済むし。何なら、その方がお互いのためだったり…………なんてね。




