上官がアレだと、ストレスがマッハで貯まるようです。
まだ少しこんな感じで続きます。
ちなみに、次はワンコを出す予定です。
ベルさんが進みだして暫く......
「うおおおおお!振り子形の大型武器が!だー!今度はギロチンの刃が飛んできたーーー!」
ベルさんは魔王城の罠を満喫中のようです。
「うお!しかも何でここは床がネバネバしてんだよ、だああああ!レイス!ドレインタッチしてくるんじゃねぇ!だりゃあ!」
「ちっ!」
「こら!エルンスト、ちっ!って何だ、ちっ!って」
「気にするな、構わず先に進め」
「気になるわ!って......この音は...水?何処から...っておわああああい!何で放水なんて...(ドッポーン!)ゴボゴボゴボ...」
そして何故かある、魔王城の川に流されていくベルさん、まあ多分生きているでしょう。「なかなか死なんなぁ」
「いやいや、一応味方だし、殺しちゃ駄目でしょ?」
「そうですね。一応あんなのでも私の上司なので、生きてもらわないと困ります」
そこには、いつの間にか深い青の髪のショートカットに眼鏡をかけて、キツい目付きのキャリアウーマンみたいな女性魔族がいました。
「ああ、ヤハルマーラ副官か、お帰り」
「ただ今帰還しました魔王様」
「ああ、楽にしてていいぞ?」
「それでは」
そう言うと、ヤハルマーラは十六夜やアイリがいる場所へ向かいそこに座った。
エルンストさんも慣れているのか、平然としています。
「(びっくりした、ビックリした。いつの間に来てたんだよ)」
平然としていたのではなくて、顔に出さなかっただけのようです。
「お帰り、ヤハルマーラ」
「十六夜様もおかわりなく」
「相変わらず神出鬼没ね」
「おほめに預かり恐縮です」
そう言いながら、ヤハルマーラと十六夜さん、アイリさんは優雅にお茶をし始めます。
その横にいるぬこ親衛隊は無視していますが、まあ良いでしょう。
そんな唐突に現れたヤハルマーラはさて置き、エルンストさんは、魔王城の罠を発動させる為にベルさんを探します。
どうやら、城の半ば辺りまで流されたらしいです。
「さて、次はどんな罠を発動してくれよう」
そんなエルンストさんは、結構陰湿とか思われるかも知れませんが、罠で人を嵌めるというのは人にもより、賛否両論有ると思いますが、ゲームになるくらい楽しい物なのです。
「ぜー、ぜー、......やっと流され終わった......あの陰険エルンストめ...」
「...」
次の瞬間、ベルさんの頭の上に、大きなタライが落ちてきました。まるでどこぞのお笑いみたいですが、当たると実際痛いのでベルさんは頭を抱えています。
「ベル!テメェ!ワザとやってるだろう!?」
「さあな?」
憤慨するベルさんを他所に、適当に返事をするエルンストさん。
「お前、着いたら絶対に一発殴ってやるからな!」
「...罠を致死性の物に変えていいのか?」
「止めんかアホンスト!」
「誰がだ!」
今までの罠の中には、多少即死できる罠もあったような気がしますが、そこはベルさん、なかなか頑丈なようです。
「そうですよエルンスト様、ベルさまは生かさず殺さず生殺し半殺し全殺しが良いかと」
放送から聞こえてくる声に驚くベルさんですが、即座に反論してきました。
「ちょっと待てヤハル!全殺しは俺が死んでるじゃねーか!殺す気か!!」
「......何か?」
憤慨していたベルさんですが、副官の冷たい声に肝が冷えたのか、硬直します。
「現場で、人の考えた作戦をことごとく台無しにしたのは、何処の何方でしたっけ?」
「いや、それは...現場の判断で......」
「それに誰が、指揮官が先陣切って突っ込んでいけと言いましたか?」
「いや、あれは味方の士気向上の為に......」
「上げなくても、我が軍は有利でした。まかり間違って、貴方が捕まった方がかなり問題になります」
「いや、捕まるなんてそんな真似は...」
「貴方は筋肉バカなんですから、可能性は十分に有ります」
「お前、俺の副官だよな?」
「煩いですよ。無能上官」
「ちょ!おま!」
「良いから、半生、半殺し、全殺し何でも良いんでなってください」
「良い訳あるかー!てかだから全殺しだと俺は死んでる...おわ!」
そんなベルさんに、近くの川から同じぐらいの大きさの、デッカイ魚が飛びかかってきます。
どことなく、ピラニアっぽい顔して獰猛そうです。
「だー!キラーフィッシャーを放つ奴がいるかー!」
「噛まれて反省しなさい」
「噛まれたら死ぬわー!」
......副官さんは、余程腹に据えかねていたようです。
「そして暫くの間、ヤハルマーラさんは罠を最大限に使って、ベルさんを追い詰めていきましたとさ、メデタシメデタシ」
「めでたくないわー!………っていい加減に罠を止めろー!ヤハル!
」
「………先に、アナタが倒れるか、罠が尽きたらそうしましょう」
「謝るから許してー!」
「許しません、タップリ味わいなさい!!」
そう言いながら、上官であるベルを追い詰めるヤハルマーラさんは実にいい顔をしていたそうな。
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