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サイバーパンク・サムライ──TS社畜モブは原作知識で無双する  作者: 東山スバル
どん底だから上がるだけ

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3/5

003 車に向けて撃ちましょう

「ここだね」


 リタと少女は、数人のチンピラがいる広場にたどり着く。人数差もある上に、チンピラには不相応なライフルまで持っている。さすが、関東の裏社会に影響力を持つ〝関東七王会〟といったところか。


「とりあえず、あそこに隠れるよ」

「う、うん」


 リタは物陰に隠れ、ちょうど近くに車があるのを視認する。一か八か、これでチンピラどもを轢いてしまおうか。いや、時間がシビアなほどにない以上、それ以外の方法はない。


「あの車で轢くよ、あのチンピラどもを」

「え?」

「大丈夫。オートマだったら運転くらいできる」


 リタは物陰から物陰へ素早く動き、車の影に隠れる。一応鍵が開いているか確認するも、やはり閉まっていた。窓ガラスを拳銃で割ってしまおう、と銃をぶつけようとしたとき、


「リタ、ピッキングなら任せて」


 ここで、名前も知らない少女がそう宣言する。彼女はかがみながら、車のロックを解除した。警告音も聞こえない。千載一遇の大チャンスだ。


「かがんでいてね」


 それだけ言い残し、リタはペダルを踏む。轟音を張り上げたセダンは、そのまま一番近くのチンピラを轢く。


「ぐぉ!?」


 情けない声とともに、戦闘が始まる。最初は慌てふためいていたチンピラたちだが、車がこちらに向かってくるのを知り、銃弾を乱打してくる。


「うぉおおおおお!!」


 当たらないなんて確証、どこにもない。だが、殺さねば殺されるだけ。リタは声を張り上げ、次々とチンピラを轢いていく。肩・耳に銃弾がかすったが、アドレナリン全開のリタには届かない。

 その結果、

 リタと少女は車から降り、死に絶えつつあるチンピラを尻目に、箱からロケット・ランチャーとその弾丸を3発持ち出すのだった。


「これだけあれば大丈夫。装甲車といっても、4発の弾丸には耐えられないからね」

「り、リタ……。貴方、おかしいくらいに手際が良いね」

「だから言ってるでしょ。神のお告げだよ」


 取り合うつもりもない。細かい説明は、前提条件の〝サムライ・スピリット〟を手に入れてからで良い。

 リタはランチャーと弾丸を後部座席に載せ、少女に、


「後ろに乗って。これで、装甲車を撃ち抜く。分かった?」


 そう無茶振りをし始める。


「わ、分かった。やれるだけやってみる」


 裏路地から車で飛び出て、リタは記憶のままに〝ラセツ・カンパニー〟の通り道へ向かっていく。


「あの装甲車に載せてある、〝サムライ・スピリット〟はふたつ。どちらも強力な人工物だけど、ここで確認しておこうか。君、サムライ・スピリットがどんなものか知ってる?」

「え、知らないけど……」

「あれは、様々な能力の複合型だよ。サムライのごとく死を恐れなくなり、身体能力を爆発的に上げる。そして〝カタナ〟があれば、更に戦闘能力を上げられる。ただ、カタナはヒトを選ぶ。当分は銃火器を使うことになるだろうね」

「……リタはもう、死を恐れてないと思う」

「おれ……私のそれとはまるで別物さ。たとえ致命傷を負っても、痛覚がしばらく麻痺して動けるくらいだからね」

「そんなトンデモ兵器が、本当にあるの?」

「あるさ。なければ、このふざけた世界を維持できない」


 リタは警察が通らない道を巧妙に渡り、高速道路へ入っていく。七王会はヤクザの癖に、ETCカードを持っているらしく、特に止められることもない。


「装甲車が見えたら言う。それまでに、AIかなにかでランチャーの撃ち方を知っておいて」

「う、うん」


 高速に入ってしまえば、多少速度を出しても問題ない。27年間生きてきた甲斐が、ようやく表れているような気がする。


 すると、


「いたか……ッ!!」


 リタは、ラセツ・カンパニーの装甲車を目で捉える。第7区画というスラムを通っているだけあって、護衛の車はひとつもない。大チャンスだ。


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