↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイバーパンク・サムライ─TSモブ金髪ギャルは原作知識で無双する  作者: 東山統星
どん底だから上がるだけ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/21

001 死にゲー転生

『サイバーパンク・サムライ』という洋ゲーがある。

 サイバーパンク化された勘違い日本を舞台に、〝サムライ・スピリット〟という魔力的な力を持った連中が、陰鬱なストーリーを進めていくゲームだ。死にゲーとしても評判が高く、最初にプレイしたときは理不尽に死にまくった。ただ、後半になるにつれて主人公〝コウタ〟は雪だるま式に強化されていく。そして、ストーリーをクリアして平和な日本を取り戻すという、暗いストーリーに似合わないハッピーエンドで終わる。

 私が愛した、たったひとつのゲームの話だ。

 *

 サトウ・リタの人生は、生まれた瞬間から詰んでいた。

 小学校では給食のパンを毎日踏みにじられ、中学では制服を川に捨てられた。イジメが原因で不登校になり、通信制の高校へ。歯を食いしばって卒業し、通信制の大学もなんとか出た。22歳で社会に出たとき、リタは確信していた。ここからだ、と。

 甘かった。

 入社した会社は、朝5時起きの深夜2時就寝が当たり前のブラック企業だった。3時間睡眠を5年間続け、仕送りを求める毒親からの電話に怯えながら、それでも歯を食いしばって生きてきた。逃げ場など、どこにもなかった。

 そして27歳の朝、駅の階段で足を滑らせた。

 頭が地面に向かって落ちていく、その刹那。時間が止まったような感覚の中で、声が聞こえた。


『資本主義の奴隷に成り果てた、哀れなヒトの子よ。このまま奴隷のごとく働かされ、自分の人生が全くもって無意味だと知る定め。それならば、いっそのこと変化を求めてみませんか?』


 走馬灯にしては、妙だった。幼い頃の記憶でも走るべきところに、知らない声が響いている。


『変化を恐れることなかれ。貴方がもっともプレイしていたゲーム〝サイバーパンク・サムライ〟の世界へ行き、そこで幸せを掴み取るのです。たまたま貴方の悲しき人生を覗いてしまったから……それだけですよ。サトウ・リタ』


 ベキッ。

 頭蓋骨が砕ける音を、リタは他人事のように聞いた。

 *

 目を覚ますと、雨だった。

 どんよりした空から、ポツポツと雫が落ちてくる。全身が鉛のように重く、立ち上がるだけで頭がぐらつく。それでもリタは、とりあえず屋根のある場所へと這い上がった。

 そこで、見てしまった。

 雨に濡れたネオン看板が、目の前でギラギラと輝いている。見間違えるはずがない。なにせリタが高校時代、バイト代をはたいて買った——あの『サイバーパンク・サムライ』の、仰々しいロゴだったのだから。


(まさか、本当に……)

「リタ。なにぼーっとしてるの?」


 少女の声に、リタは弾かれたように振り返る。黒髪をポニーテールにまとめた、メガネの少女がこちらを見ていた。


「なんでもない」


 とりあえず話を合わせておく。どうやら仲間らしいが、名前も知らない。知らないなら、合わせるしかない。

「もう、しっかりしてよ。これから〝新世界同盟〟の第7区画施設を襲うんだから」


 リタは内心、盛大に舌打ちした。


(新世界同盟は、この世界の2大勢力のひとつ……。おれとこの子が突撃したって、蜂の巣になるのがオチ。さて……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。