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神様!!
『⋯⋯⋯⋯』
返事しないっていうことはさっきの話聞いていたんでしょう?
『聞いていたんじゃないわ。皆川さんが呼んだ理由を調べただけよ』
やっぱり私のプライバシーは無いですよね?
『小さい事は気にしちゃ駄目よ』
プライバシー問題は小さいですかね?
ナンシーがあまりにも可哀想過ぎるんじゃないですか?
ナンシーが生きてたらさっき全員死んでたんじゃないですかね?
それにもしナンシーが生きていたら、この国が滅んでいたんじゃないかと思ってしまいました。
私も怒髪天を衝くっていうのでしょうか。
ナンシーの両親をプチッとやってしまいたかったです!!
思わず実行しかけてしまいましたよ。思いとどまりましたけど⋯⋯。
心の中ではプチッとやってました!!
それにナンシーには自分が別邸に住んでたっていう記憶自体がないんですけど。
ちょっと神様返事してっ!
『あぁ⋯⋯⋯⋯うん。そうだね⋯⋯』
他人事だと思ってっ!!
ちょっとイラッとしたので極大魔法を打ち上げてもいいですか?
『ちょっと、皆川さん!! それはヤメて!! この星が壊れてしまうわ』
「壊れちゃえばいいのよ」
って思わず口をついた。
「皆川さん⋯⋯無関係な人を死なせるのはどうかと思うんだけど⋯⋯?」
それは、まぁ、そうですね⋯⋯。
プチッとやる時はナンシーの両親だけにしておきます。
『是非そうしてちょうだいね!!』
了解しました⋯⋯。
それはそうと海外へ行くこと、考えてくれました?
『考えることは考えたわよ。
皆川さんにナンシー・マッカートっていう身分を捨てる覚悟があるのなら海外へ行ってもいいと思うけど?』
身分を捨てる? どういうことです?
『う〜ん⋯⋯とね。
残念なことにこの大陸の中では他所の国にもナンシー・マッカートの噂を知っている人って結構いるのよ。
それも、実際よりかなり酷い噂になっているのよね⋯⋯。テヘペロ♥』
い、異世界にもテヘペロなんてあるんですかっ?!
『情報収集は生きていくうえで大事よ』
そ、そうですね⋯⋯。
「え⋯⋯っと、話を戻して、元々ナンシーは父親から外出を制限されていたのよ。だから学園くらいしか行っていなかったの。
だからね、ナンシーの顔を知っている人はほとんど居ないのよ。
前にも言ったことあると思うんだけど、行くだけなら転移でも飛んででも行けると思うのよ。
でも、身分証が無いと色々不便で、生活が出来ないのがこの世界なの』
なるほど。
『身分証を作る事はできるのよ。私、神だし』
あー⋯⋯問題の一つは片付くんですね。
でも、二番目に必要なのは現金ですようね。先立つものがないと生きていけないですもんね。
『う〜ん⋯⋯それもナンシー・マッカートの予算を現金化すればいいだけだからそれも問題ないと思うの。
それがあれば十分暮らしていけると思うし、実際のところ魔法が使えればどうにでもなると思うのよ』
そんな簡単にいきますか?
『簡単かどうかは解らないけど、皆川さんは地球で働いていたでしょう? ナンシーなら無理だろうけど、皆川さんなら問題ないんじゃないかな? と私は思うんだけど。
皆川さんがマッカート家に拘る必要はないでしょう?
ナンシーの身分を捨てる覚悟があるのなら意外と簡単にできると思うわ。
皆川さんもここでの生活は無理だと思ったのでしょう?」
いや、まぁ、さっきはちょっと頭に血が上りましたけど、実際のところ私には関係ないのでこの家でぬくぬくと食いつぶしてもなんとも思わないんですけど、流石にナンシーにとって酷い話だと思ってしまうので⋯⋯。
それに私がここにとらわれる必要もないですしね、ナンシーの両親もナンシーが出ていけば万々歳でしょうし、私も外の世界を知りたいかなと。
『なら行動しましょう!!』
ナンシー。あなたの親、捨ててもいいかな?
皆川晴夏として生きてもいいかな?
ナンシーはなんとかして歩み寄りたいって思っていたみたいだけど、あの親たちじゃ無理だよ。
親の愛を欲しがっていたけどあの人達がナンシーを愛してくれることはないと思うわ。
この子なら絶望を知ったらきっとすべてを破壊していたと思うんだけど、さすがに私にはそれはできない。
実のところ、どうでもいいとしか思えない。
あるのは一宿一飯の恩義くらい?
え〜〜っと何泊したっけ?
ん〜〜〜っ⋯⋯。
先の見えない生活ってちょっと不安なんだけど、ここに居るのは不愉快すぎる。
せっかくの異世界だし⋯⋯。
楽しまなくちゃ損だよね?
ここに居ると結婚相手も見つけられないし⋯⋯。
行ってもいいよね?
行っても見つけられないかもだけど。結婚相手は。
行けば、安定のない生活かも?
でもここで一人ぼっちで暮らすよりもマシだよね?
行くのならば、綺麗サッパリ捨てるべきよね。
よし、行くしかないよね。
そうに決まっている。
ナンシー、ごめんね。許して。
短くてすいません。




